WOWOWプライムでスタートする『連続ドラマW コールドケース2 ~真実の扉~』(10月13日スタート 毎週土曜22:00~ 全10話・第1話無料放送)。人気海外ドラマの日本版として、未解決事件に隠された真実を掘り起こす神奈川県警捜査一課の刑事たち(吉田羊、永山絢斗、滝藤賢一、光石研、三浦友和)の活躍を描き、2016年に放送されたシーズン1に続く待望の新シーズンとなる本作。前シーズンから引き続き主人公の石川百合を演じる女優・吉田羊に話を聞いた。

吉田羊

――まずはシーズン2を迎えた感想を聞かせてください。

私自身『コールドケース』という作品と、石川百合という役が本当に好きで、シーズン2が決まったときはとにかくうれしかったです。続編というものはそれを望んでくださる方たちがいなければ成立しないわけですから、スタッフ・キャストのみなさんが多くの人に愛される作品を作り上げてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

同じものを2年後にまた作るということは一見、矛盾するような行為ではありますが、私も含め、捜査一課の面々は一度その役を生きた上で臨んでいますので、もう一段階上の、より深化した作品作りができていると実感しました。

――具体的にはどういったことでしょう。

私が演じた百合の場合、幼い時のトラウマが原因で他人との距離感が少し離れている人物として描かれており、私もそのように演じていましたが、シーズン1を通じて彼女として生き切ることで、「ここで彼女だったらどうするだろう?」と考える必要が今回のシーズン2ではほぼありませんでした。

つまり、私が台本を読んで感じたことがイコール百合が感じたことであるというか。役として(自分自身に)相談する時間が省かれ、シーンとしてどうするか考える時間にあてられたんです。

――それは役者としてはどのような状況と言えるのでしょうか。

幸福でしたね。演じていて無理がない、ということは私にとって非常に理想的で、その点で百合さんは天職というか、自分とほぼ一体化していました。彼女はを演じるということは役を生きることだと思わせてくれ、女優として私を正しい位置に戻してくれる役でもあり、呼吸をするように芝居ができるんです。もちろん、他の捜査一課メンバーとの信頼関係もシーズン1以上に絶大なものだったことも、深化を実感した理由の一つです。

――吉田さんの言葉からチームワークの良さがうかがえますが、仲が良すぎて逆に困ったことは?

そうですね…第4話で光石さん演じるネコさん(金子刑事)にまつわるエピソードがあるのですが、我々捜査一課のメンバー全員、光石さんが大好きなんですよね(笑)。ですから、ネコさんにかけるセリフに思い入れが強すぎて、ものすごく心のこもったセリフになってしまいました(笑)。

――打ち解けた雰囲気から、ともすると馴れ合いのようになってしまう不安はありませんでしたか。

みなさんプロなので、それは一切ないです。今回も複数の脚本家さんが担当していることもあって、違和感があれば、その場で監督に直談判して直したり削ったりしました。細かいことかもしれませんが、そういうところからキャラクターの印象って変わってしまうので、徹底的にやらせていただきましたね。同時に、それを受け止めてくれる監督さんをはじめスタッフのみなさんとともに、決して妥協しない、とても贅沢なドラマ作りができたと思います。

――今回のシーズンも実に多彩なゲストが出演しますが、吉田さんのなかで特に印象に残っている方はどなたですか?

今回もそうそうたる方々がに出演していただきましたが、回想シーンのみ出演された方とは会えていないんですよね。個人的には第4話「死刑囚」の佐藤浩市さんとお会いしたかったです。一緒にお芝居をした方だと、第6話「バブル」で共演した奥田瑛二さんと金田明夫さん。クライマックスでは画面から匂い立つようなお芝居を見せてくださり、まるで映画のワンシーンを見ているかのように感動した記憶があります。

このお二人に限らず、ゲストのみなさんは並々ならぬ熱量で乗り込んできていますので、受けて立つ我々も覚悟を決めないと気迫で負けてしまうし、相手の感情に引っ張られて、泣くつもりがないのにうっかり泣きそうになる場面も多々ありました。その意味では、みなさんどなたも印象に残っています。

――ところで、吉田さんが身を置く芝居の世界はある意味「虚構」とも言えると思いますが、そんな中で「真実」が見える瞬間はありますか。

あります。それを見つけるのは現場で感じる「違和感」がきっかけですね。私たち役者にとって演じていて違和感が少しでもあると、それは「作られたもの」になってしまう。けれども、私たち役者が一人一人、その違和感を解消して芝居を重ねていくと、そこで起こる感情がいつの間にか「本当」になるんです。

――なかなかひと言では説明しづらい不思議な感覚ですね。

さらに、そうやって本当の感情を持って芝居を進めていくうちに、思いもしなかったその先の展開が生まれるんです。そうして出来上がった映像を見ると、私たちが今、そこに、リアルに生きていることを実感できるんです。事実、そう感じたことが今までの役者人生のなかで何度かあります。

――それはきっと役者ならではの体験ではないでしょうか。

だと思いますね。たぶん、傍目にはそれほどわからないと思います。でも、最初に感じる違和感も含め、現場で演じている役者さんの間では共有できる感覚なんです。役者特有の第六感というか。

――もしかすると、それが俳優にとっての「真実」と言えるのでは?

そうかもしれないですね。