――映画では、見た目は人間とまったく変わらない「アマゾン」を食用としてビジネスに利用する設定が非常にショッキングでした。人間の倫理観に挑戦するドラマとしては、Season1、Season2に匹敵か、それ以上の衝撃度があるかもしれません。

そうでしょうね。あの設定は脚本の高橋(悠也)くんが考えたアイデアですが、OKが出た以上は、どんな描写でもオブラートに包まず表現します。それが『アマゾンズ』の世界なんです。映画でもかなり残酷だと思われる表現があるかもしれませんが、『アマゾンズ』の完結編を作るからには最後まで取り組み方を変えず、表現方法を貫き通すのが筋ではないかと思っています。

――石田監督としても"ノッて"作ることのできた『アマゾンズ』が映画で完結してしまうことに、一抹の寂しさがあるのではないでしょうか。

そりゃあ寂しいですよ。もう完結なんて言わないで『アマゾンズ真・完結編』をもう1本作ってほしい気持ちもあります(笑)。でも、もう1本くらい観たいなあ、とか言われているうちが華かな、とも思いますので、ちょっと余韻のようなものを残しながら、これで終わりにするというのがいいタイミングなのでしょう。

――それだけに、映画『最後ノ審判』は、石田監督をはじめ『アマゾンズ』全スタッフ・キャストが全力を注いで作った作品といえますね。

適当にやっているか、魂を込めて作っているかどうか、お客さんには伝わってしまいますからね。そこは絶対に気を抜くことができません。本気で作品を作っていると、スタッフ・キャストの思いが画に出てしまうんですよね。不思議と。「本気で作る」というのは、映像作品にとって基本であり、忘れてはならない大事なことなんです。

――改めてお聞きしますが、『アマゾンズ』は石田監督にとって、どのような作品になりましたか。

そりゃあもう、わが監督人生の中でのベスト1ですよ! 30年間この仕事をやってきて唯一、棺桶に入れて持っていきたい作品です。出来上がった作品そのものもさることながら、撮影現場がとても楽しかったんです。まあ、僕に付き合わされたスタッフやキャストはたまったもんじゃなかったかもしれませんけれど(笑)。撮影をしていて、疲れたとか、やめたいとか、明日休みたいな、なんて思ったことが一度もない、すばらしい現場でした。

――見事『アマゾンズ』を完結まで導いた石田監督に、このタイミングでぜひうかがっておきたいことがあります。いつかまた、従来の特撮ヒーローの常識をひっくりかえすかのような意欲的な作品の監督を依頼されたら、引き受けられますか?

もちろん、作ってみたいですね! 『アマゾンズ』は僕にとってやりたいことをやれた非常に有意義な作品でしたが、今後また、自分にとって刺激になる作品と出会えるものなら、ぜひとも取り組んでみたいと思います。

石田秀範(いしだ・ひでのり)
1962年、富山県出身。専門学校卒業後、東映テレビ・プロダクションにて『時空戦士スピルバン』(1986年)など特撮ヒーロー作品の助監督を務める。『特警ウインスペクター』(1990年)でチーフ助監督となり、翌1991年『特救指令ソルブレイン』の第19話で監督デビューを果たす。『仮面ライダークウガ』(2000年)から始まる平成仮面ライダーシリーズでも活躍し、多くの傑作エピソードを残している。『仮面ライダーアマゾンズ』ではSeason1の第1、2、7、8、12、13話、Season2の第1、2、5、6、10、11話、そして『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』を手がけた。

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