みなさんは「スクラッチ」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか? 音楽やゴルフ、競馬、宝くじなど、さまざまな業界で使われている言葉ですが、近年、ビジネスシーンでも耳にするようになりました。そこで本稿では、ビジネスにおける「スクラッチ」の意味と使い方を紹介します。

■各業界における「スクラッチ」とは

「スクラッチ」という言葉は、実にさまざまな使い方がされています。いくつかご紹介しましょう。

・「宝くじ」  コインで削るくじのこと
・「ゴルフ」  ハンデなしでプレーすること
・「競馬」   出走取消のこと
・「音楽」   DJが、レコード盤を手で回したりこすったりする演奏方法
・「映像」   フィルムなどに付いた傷のこと

■ビジネス用語「スクラッチ」の意味

ビジネスシーンでは、「スクラッチから」という表現を用いることが多いのですが、「最初から」「ゼロから」といった意味で使われています。最初はIT業界でよく使われて、ソフトウェア開発時に既存のパッケージを使用せず、独自システムを開発することを「スクラッチ開発」と表現しました。その後、プログラム開発以外の場面でも利用され始めています。

■ビジネス用語「スクラッチ」の例文

スクラッチ
・「この案件は、もう一度スクラッチからにしましょう」
(この案件は、もう一度最初からやりましょう)
・「スクラッチからプログラムを書き直します」
(一からプログラムを書き直します)

フルスクラッチ
基本的には、「スクラッチ」と同じ意味ですが、"全く何も流用せずに一から"という事を強調したい場合に「フルスクラッチ」と言います。模型やプラモデルの世界でも使われる言葉で、キット化されているパーツを一から組み立てるのを「スクラッチ」と言うならば、粘土やプラ板などを駆使して、完全オリジナルで一から自作するのが「フルスクラッチ」です。

・「このシステムは、フルスクラッチです」
・「フルスクラッチから日数はどれくらいかかりますか?」

スクラッチ開発
情報システムやソフトウェアなどの開発をする際、既存の製品やプログラムを利用することなく、一から新しいプログラムを構築すること。時間とコストはかかりますが、さまざまな要望に合わせることができます。完全オーダーメイド。なお、強調する時は「フルスクラッチ開発」。

・「クライアントの要望に応え、パッケージではなくスクラッチ開発にした」


さまざまな業界で使われている「スクラッチ」。正しい意味を知らないと、「えっ!? 何で急に、宝くじの話しになってんの?」なんて、一人だけ話について行けなくなってしまうかもしれませんね。ビジネスの世界では、「最初から、一から」という意味であることをしっかりと覚えておきましょう。