――駆除班の面々はアマゾンを"狩る"作業を報酬目的の「仕事」と捉えているものの、さまざまな局面で非情になりきれず、感情を噴出させることも多かったですね。演じているみなさんとしても、怒りや悲しみといった熱い感情を出されるときには、どういった部分に気をつけていましたか。

俊藤:やはり悲しいとき、憤るときは己の感情の赴くままに「ウワーッ!」と叫んでしまいます。いまの俺はこういう気持ちなんだっていうのを表現したいだけなんですけれど、だからといって大きな声を出すと、誰かがセリフをしゃべっているのが聞こえないって、石田監督から怒られるんです。「うるせえ! お前いま声出すなよ!」って(笑)。

勝也:「撮ってんだよ! わかってんだろ!」ってね(笑)。

俊藤:そういうときは、テストの段階で思いっきり声を出して、自分の感情を露わにしておくんです。本番だと声が出せないから、その感情を保ったままサイレントで表現しなくてはならない。なんてことがけっこうありましたね。

――Season1、2のエピソード中で、もっとも印象に残っている場面をひとつだけ挙げるとしたら、どれを選びますか?

宮原:私はSeason1・第1話での、高井のアクション一連です。あのシーンにすべてを賭けていた部分がありました。

勝也:演じる側として印象に残っているのは、やはりマモルとのやりとりですね。視聴者の目線だと、フクさんと母親とのエピソード(Season2)なんて、かなり衝撃を受けました。もちろん悠と仁という2人のアマゾンの物語などもありますから、とても一つには絞りこめないです。

田邉:俺もすべてのシーンに愛着があるので一つだけ選ぶのは難しいのですが、いまパッと頭の中に浮かんできたのが、駆除班が集まっているところでマモルが泣きながら「みんな仲良くしてよ!」と叫ぶシーンでしたね。

俊藤:Season1の最終回で、志藤がマモルに「5円玉」をかざすシーン、振り返ってマモルの目を見たとき、自分でも信じられないほど感情が噴出してしまったんです。僕はもともと「母モノ」か「動物モノ」でしか泣かないタイプなんですけれど、このシーンだけはテストの段階で感情が入りすぎて、カットがかかった直後、嗚咽してしまったんです。しみじみ、こういう作品に関わっていたんだなあ、俺は……と考えた途端に号泣して、そのあとクランクアップを迎えたんです。みんなが花束もらって涙を流している中、僕はさっきのシーンで泣き尽くしていたのでもう涙は出ませんと(笑)。やっぱり、マモルが自分たちと違う方向に去っていくんだな、と思ったとき、感情が「ボコッ!」と出てしまったんでしょう。Season2でも、マモルとの絡みのところでは本気の涙が出ました。

――最後に『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』の見どころを、お一人ずつお願いします。

俊藤:それでは、駆除班を代表して和也が語ります!

田邉:ええっ、いちばん撮影日数の少ない僕からですか(笑)。ええと、もともとこれで完結っていうふうに言われていて、俺たちもこれで最後だと思って、特別な思いで役に臨みました。内容にしても、配信作品に負けないくらいディープな題材を扱って『アマゾンズ』の魅力をさらに掘り下げています。『アマゾンズ』を愛する大人のファンの方たちにも、小さい子どもたちにも観てほしい映画です。

勝也:さっきマコさんも言っていましたけれど、子どもにはちょっと難しい部分があったとしても、大人になってから気づく部分があるという、そんな体験をしてもらいたいです。大人と子どもが一緒になって映画を観てくださり、「生きる」というのはどういうことなのか、深いテーマを含んでいる内容について話し合ったりしてくれたらいいですね。そして、いろいろなキャラクターたちがそれぞれの「完結」をきっちり迎えるという部分にも注目してください。

宮原:小さな子が将来大きくなったとき「昔、こんな映画を観たな」って思い出してもらえるような、印象に残る映画になっていると思います。たくさんの人に観てほしいです。

俊藤:Season1、Season2から観続けてきてくれた人にも、楽しんでいただきたいですね。最初は何も分かっていない状態から始まった悠ですが、この映画では彼なりの"結論"をはっきり出して、仁と正面から向き合います。駆除班にしても、最初はただ「狩り、開始」からスタートしていますが、Season1、2を経た今ではもう、ただ狩っているだけじゃ済まされなくなっています。「最後ノ審判」というタイトルがついていますが、いったい誰に対する「審判」が下されるのか……。「誰かを守るために戦う」という「仮面ライダー」の根源的なテーマが、日曜日の朝よりもドロドロした形で描かれているのが『アマゾンズ』なんだと思います。

『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』(監督:石田秀範、脚本:高橋悠也、監修:小林靖子)は、2018年5月19日より、全国劇場にてロードショー公開。

なお、『最後ノ審判』の前日譚にあたるAmazonプライム・ビデオ配信ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』(Season1、Season2)を再編集した『劇場版 仮面ライダーアマゾンズ Season1 覚醒』が5月5日より、『劇場版 仮面ライダーアマゾンズ Season2 輪廻』が5月12日より劇場公開。なお、マイナビニュースでは映画公開を記念して『仮面ライダーアマゾンズ』総力特集を展開している。

プロフィール
俊藤光利(しゅんどう・みつとし)
1974年3月21日生まれ。東京都出身。
1994年に俳優デビュー後、『鉄道員』(1999年)、『必死剣 鳥刺し』(2010年)などの映画、『ウルトラマンネクサス』(2004年/溝呂木眞也役)、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(2007年/クマノ隊員役)、NHK大河ドラマ『篤姫』(2008年)などのテレビドラマ、『真田十勇士』(2013年)などの舞台と、幅広い分野で活躍中。
田邉和也(たなべ・かずや)
1985年7月31日生まれ。神奈川県出身。
韓国映画『ビースティ・ボーイズ』(2008年)で俳優デビューした後カナダに渡り、インディペンデント・ショートフィルムに出演。帰国後も舞台や映像を中心に俳優活動を行い、テレビドラマ『命ある限り戦え、そして生き抜くんだ』(2014年)や映画『図書館戦争THE LAST MISSION』(2015年)など多数の作品に出演している。
勝也(かつや)
1986年11月28日生まれ。
俳優として映画『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009年)や舞台『四谷怪談2017』(2017年)などに出演するほか、『ゼクシィ』や『Fine』をはじめとする各種雑誌でモデルとしても活躍。さらにはCM『モンスターストライク 4周年スピードくじ編』出演など、幅広い分野で才能を発揮している。
宮原華音(みやはら・かのん)
1996年4月8日生まれ。東京都出身。
2011年にモデルとしてデビュー。小学生のころから空手道を学び、現在は初段の腕前。高い身体能力を生かして映画『ハイキック・エンジェルス』で主演を務め、注目を集めた。2017年、『仮面ライダーアマゾンズ』でのアクションを評価され、ジャパンアクションアワード・ベストアクション女優賞 優秀賞を受賞。

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