続いてほかのパトロールカーやレッカー車が到着。各職員によるミーティング後に、レッカー移動作業に入る。まず、滞留しているクルマを移動するために車内を確認するが、ドライバーは避難しているので、施錠されサイドブレーキがかかっている。これではレッカー移動はできない。そこで、窓ガラスを破壊し、車内に乗り込み、レッカー可能な状態にしていく。道路管理者は、緊急時には車体の一部を破壊することが許可されているそうだ。

レッカー車が到着(左)。窓ガラスに見立てたビニールを割っていく(右)

まず、最後尾の10トントラックをパトロールカーで引っ張る。以前から「なぜ高速のパトロールカーは大型4駆なのだろう?」と思っていたが、こうした事態にトルクが必要になるのかと、合点がいった。担当者によると、トルクだけでなく「さまざまな天候に対応しやすい」「レインボーブリッジなど強風が発生する箇所で走行が安定する」といったメリットもあるそうだ。

パトロールカーでトラックを後方に引っ張り、トラックとその前方の乗用車にスペースが生まれると、そこに大型レッカー車が移動。トラックの前方をつり上げ後方へと押し下げていく。続いてバスをレッカーで引っ張り、乗用車は「ゴージャッキ」と呼ばれる機材で車体を持ち上げ、そのまま人力で押していく。こうして、滞留した4車体は道路上の安全な場所へと移動された。

段差に乗り上げた車両をつり上げる

4駆のパトロールカーで10トントラックを引っ張る(左)。バスはレッカー車で牽引(右)

残るは路面段差に残された1台。そのまま後方に引っ張ると、50cmの開きに車体が落下してしまう。そこで、レッカー車のクレーンで車体前方をつり上げ、慎重に後方へ移動。前輪が開きを越えたところで車体を降ろし、安全な場所へ移動させた。

段差に乗り上げた車体前部をクレーンでつり上げ、後方に押し下げる。開きを越したところで車体を下ろした