第2弾で登場するDragon Ashは、今回の出演について最終的に第1弾のイエモンの映像も見て快諾してくれたとのこと。「コンテンツの魅力、さらにスタッフの技術力もストレートに見てもらって、ご本人たちが判断してくれました」と、映像のクオリティには絶対の自信を持っており、次の第3弾アーティストとの出演交渉のためにも、Dragon Ashの映像は「妥協したくない」と力を込める。

これまでは、ロックバンドにオファーをかけてきたが、「今はフェスも多様化しています。いわゆるゴリゴリのロックバンドもいれば、ジャズもいれば、エレクトロのダンスポップもどんどん出てきていますし、最近ではアイドルも進出してきて、ボーダレスになっている。だから、この番組も、お客さん相手に自分たちのスキルを見せるアーティストがどんどん出てきて、ボーダーは外れていくんだろうなと思っています」と予測する。

また、Huluは、5月17日にシステムのリニューアルを実施。これによって、リアルタイム配信がPCだけでなく、モバイルでも視聴できるようになった。そのため、この番組も「次なるステップとしては、ぜひ生ライブ配信をやってみたいです。Huluサイドからもリクエストがきているので、ご協力いただけるアーティストがいれば、アーカイブも残すような形でチャレンジしたいですね」と意欲を語った。

丁寧にクオリティの高い番組づくりを意識している『TOKYO BEAT FLICK』だが、それだけに、「深夜の音楽番組1本の制作費では、当然収まらない金額で作っています」。それでもテレビ番組が概ね1回で放送が終わってしまうのに比べ、配信番組は期限まで数カ月や年単位で何度も視聴できるコンテンツのため、その分の予算をかける価値があるという。

日テレで『しゃべくり007』『嵐にしやがれ』といったバラエティ番組を演出として立ち上げてきた川邊氏だけあって、コストパフォーマンスの面などから地上波で敬遠されがちなコメディやコントバラエティの制作にも意欲的だ。「今、Huluではシットコムと言われるワンシチュエーションドラマの『住住』『架空OL日記』『ニーチェ先生』といったコンテンツも、ものすごく好評をいただいています。実は企画が進んでいて、この秋冬に向けて新しいシットコムを1つリリースします」と予告した。

「バカリズムさんをはじめ、作家性の高い脚本が書ける芸人さんの才能は、まさに音楽のアーティストに匹敵するコアファンをつかめる才能だと思いますが、どうしても、地上波のゴールデン・プライムタイムでは世帯視聴率が取れなかったりします。ところが、例えば『架空OL日記』は夜中の2時過ぎの放送なのですが、Huluでの再生数が、すごい数字になっていたりしているので、才能のある方々にドラマやコメディを作ってもらうというのは、力を入れていきたいジャンルですね」と、今後の構想を示している。

川邊昭宏
1972年生まれ、埼玉県出身。明治大学商学部卒業後、96年日本テレビ放送網に入社。『THE夜もヒッパレ』などを担当し、『しゃべくり007』『嵐にしやがれ』『バズリズム』『チカラウタ』の立ち上げ、『24時間テレビ』総合演出などをへて、2016年6月からHuluも担当する部署に異動し、『TOKYO BEAT FLICK』『渡部の歩き方~グルメ王の休日~』を企画。現職は、編成局編成センター総合編成部専門副部長。

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