――それでは収録曲についてお伺いしましょう。1曲目は、タイトルチューンとなる「LiTTLE DEViL PARADE」ですが、アルバム名と曲名、どちらが先に決まったのですか?

LiSA「アルバムのタイトルが先です。今回、アルバムに入れるシングル曲を並べてみたところ、自分の中の攻め曲というか、けっこうスピード感のある、音の詰まった楽曲が多かったので、その間を埋めていく楽曲は、もう少しアナログで、オーガニックな感じにしたかった。簡単でわかりやすい曲がいいなと思っていたところに、PABLOさんが、"今回のテーマとはぜんぜん違うかもしれないけど"と言って渡してくれたのがこの曲で、思わず"コレです!"って(笑)」

――まさに理想の曲だったわけですね

LiSA「PABLOさんは、これまでに何回も自分のステージに立って、一緒に同じ景色を観てもらっているので、私のやりたいことも、みんなから受け取っている気持ちも、同じステージで感じてくれている。それがすごく大きかったんだと思います」

――「LDP」というアオリが非常に印象的な楽曲になっています

LiSA「ちなみに、PABLOさんの仮歌は"USA"でした(笑)。いやいや、ここは"LDP"でしょうって。これから始まるアリーナツアーを考えたとき、みんなと一緒にやりたい音楽は何か、みんなに何を言ってほしいか? を考えたら、やっぱり"LDP"なんですよ(笑)。あと、2番のAメロ、『あれをしなさい!!(NO!) これをしなさい!!(NO!)』みたいな掛け合いも、みんなと一緒に作りたい景色を詰め込んでいるので、すごく気に入っています」

――そのほかに気に入っているところはありますか?

LiSA「Bメロも全部大好きです。ラップみたいなところ。その中でも特に『世界はいつだって僕たちを I LOVE YOU!!』が好き。みんな、私のことを愛している、世界はみんな、私たちのことを愛している。そんな風に昔は言えなかったですから。最近になってようやく、その感覚を持てるようになりました」

――「LiTTLE DEViL PARADE」ではミュージックビデオも制作されています

LiSA「ド平日の日中に、ファンクラブの子たちに集まってもらって撮ったんですけど、けっこう寒かったのに、一日中外での撮影で……。アルバムも何も発表していないのに、LiSAの新曲が出るぞって、何も知らないままに来てくれたんですけど、それ嘘だったらどうするのって(笑)。好きなものに忠実で、それに声を上げて、一緒に盛り上げようとしてくれる……そういう意味でも、すごくリアルな映像が撮れたと思っています」

――最初、制服姿の女の子が出てきたとき、一瞬、LISAさんが制服を着ているのかと……

LiSA「それはアウトでしょう。もうキビシイです(笑)」

――そして2曲目が「Catch the Moment」

LiSA「『Catch the Moment』をみんなが認めてくれたからこそ、『LiTTLE DEViL PARADE』では、自分がなぞってきた道筋、みんなが求めている、LISAといえばこれでしょうっていう絶対の得意分野を出さなくても良かった。『Catch the Moment』がある安心感。本当に心強い味方だったので、『LiTTLE DEViL PARADE』はすごくわがままに作ることが出来たと思います」

――横浜アリーナでの初披露以来、この曲の印象で変わったところはありますか?

LiSA「自分のために、そして自分の好きな人たちのために書いた曲のつもりでしたが、アニメを通して、もっと多くの人に届いている感覚があります。自分自身の視野も広がって、もう自分だけのためではなく、最近では、もっといろいろなものを背負って歌っている感じですね」

――3曲目の「LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~」はどういったイメージで作った曲ですか?

LiSA「私の中ではけっこう挑戦の曲です。こういったテンポ感のけだるい、オルタナみたいに聴かせる曲って、これまであまりなかったじゃないですか。しかも、江口(亮)さんが、さらにトゲトゲしい感じにしてくれたので、ここには意味のある言葉、メッセージのある言葉をちゃんと載せないといけないなと思いました」

――歌詞にはどんな想いを込めましたか?

LiSA「今の自分はとても幸せなんですけど、幸せな場所にいればいるだけ、余計に私が生まれ育った環境って、最初は負け犬だったんだなって。自分がその場所にいたときは、自分が"LOSER"だとは認められなかったし、幸せな場所を羨ましいと思ってもいけないと思っていました。でも、あらためて振り返ることができる今、そういう場所から這い上がる人たちの歌をちゃんと残しておきたかった」

――たとえ今はLOSERでも、将来這い上がるために生き残れ、という感じでしょうか

LiSA「LOSERだった私が、今は、みんなが羨ましいと思う、自分でも幸せだと言える場所にいる。そんな現実をもとに、もし今の自分はLOSERだと思っていても、すべてを諦めてしまわないように、希望を持てるような歌を作りたいと思いました。『希望と未来に無縁のカタルシス』ってカッコよくないですか? すごく好きなワードです」

――実際問題、LiSAさん自身は、希望と未来に無縁だったわけではないですよね?

LiSA「無縁だったんですよ! これは、被害妄想に近い感覚ですけど。岐阜の田舎者で、芸能界なんて夢の話、テレビの中だけの話だと思ってましたから。憧れはあっても、私にそんな権利はないですよね? みたいな。今でも覚えているんですけど、小学生の時に、"たまごっち"がめっちゃ流行って、クラスのみんなが持っていたんですけど、めっちゃ高くて、お母さんにお願いしても買ってもらえなかった。結局、クラスで私だけが持ってなくて……もう希望と未来に無縁でした(笑)」