「 客=マーケティングではない」との信条

この日の記者会見でシュルツ氏は、「お客様=マーケティング施策ではない」と言い切った。「我々がやってきたことは全てカップの中にある」と提供するコーヒーこそ、自社の戦略そのものだと説明した。

もちろん、スターバックスが市場を全く分析していないわけではないだろう。彼らのビジネスはエンドユーザーに直接接している。自分達の戦略が顧客に受け入れられたか、否かは即売上に跳ね返ってくる。提供するコーヒー、その販売状況こそが自分達の施策そのものとシュルツ氏は言いたかったのではないか。

2018年にオープンする中目黒店。周辺にはライバルが……

そう考えると、新たに開店する中目黒のロースタリーはまさにスターバックスのコーヒーがどれだけ消費者に受け入れられるのかが試される店舗だといえる。同じ中目黒にはサードウェーブでの代表選手であるブルーボトルコーヒーが先に店舗をオープンし、ドトールコーヒーも新業態店をオープンするなど、コーヒーショップは過当競争といえる環境となる。

その意味でシュルツ氏の「カップの中にある」戦略が顧客に届くのか否か、スターバックスの今後の日本での展開を左右することにもなる重要な新しい布石となりそうだ。