「ワイヤレスな未来」へと進むApple

Appleユーザーが日々便利に利用している製品やサービスには、Appleならではの体験が数多く含まれる。たとえば、iPad ProのApple Pencilだ。紙の上にペンで書くように、iPadに手を置いて自然に書けるが、そのパームリジェクションにはAI(人口知能)技術が用いられている。

すばやくキレいな写真に仕上げてくれるカメラのイメージ処理、バランスの良いステレオサウンド、AirPodsの使い勝手、A10プロセッサの効率的な動作など、iPhone 7シリーズではAppleならではの体験の向上が随所に広がっている。見た目に大きな変化はないものの、iPhone 7のパフォーマンス、ディスプレイ、カメラ、スピーカー、接続性などユーザー体験に大きく関わる部分は「7」にナンバリングが変わるのにふさわしい進化を遂げている。これらはスペックを見ただけでは分かりにくいし、噂やリーク情報では伝わってこない。使っている様子を見たり、また実際に使ってみて、その良さを実感できるものである。

話し声の振動を感知して、通話やSiriとの会話の際に周辺のノイズを自動的にキャンセル

また、iPhone 7シリーズはRetina MacBookやiPad Proに連なる製品といえる。キーノートで再生されたAirPodsのビデオの中で、Jony Ive氏が「私たちはワイヤレスな未来を信じている。全てのデバイスが直観的につながる未来である」と語りかけてくる。Appleは、USB-Cポート1つしかないMacBookでワイヤレスなノートPCの使い方を提案し、iPad ProのApple PencilではLightningポートに差し込むだけでBluetooth接続を完了できる手軽なワイヤレスを示した。そして3.5ミリ・ヘッドフォンジャックが省略されたiPhoen 7シリーズである。しばらく前にTim Cook氏がインタビューでAR(拡張現実)への関心を示したことが話題になったが、将来ワイヤレスの自由さがARやVR(仮想現実)を一般の人でも使いやすいものにする可能性だって考えられる。

私たちの多くはまだ、Ive氏の言う「ワイヤレスの未来」の入り口に立っているだけである。ワイヤレスの活用には、まだしばらく困難が伴うことになるだろう。だが、Appleがヘッドフォンジャックを省いたように、ユーザーもそこから踏み込む勇気を持つことでワイヤレスの未来が開けていく。そしてモバイルの進化が加速する。