銘柄の見極め方は?

株式投資において、気になるのが投資する会社の判断方法だ。投資する会社を見極める際は「会社の価値」が基準となる。

会社の価値は、企業の「保有資産(財産価値)」、あるいは企業の「稼ぐ力(事業価値)」という点から判断できる。計算方法は、下記となっている。

会社の価値=事業価値(稼ぐ力)+財産価値(資産)-負債(借金)
=(営業利益×10)+{流動資産-(流動負債×1.2)+固定資産(投資その他の資産合計)-固定負債}

※営業利益×10……営業利益の60%(営業利益のうち40%は法人税)÷0.06(株式投資の利益は年間6%が目安のため)=10
※流動負債×1.2……流動負債はすぐに返還する可能性のある負債のため、1.2倍に設定し余裕を持たせているという。

■情報の確認方法
貸借対照表から確認……流動資産、流動負債、固定資産、固定負債、投資その他の資産
損益計算書から確認……営業利益

読み取った情報を計算式に当てはめると、企業の価値を計算することができる。上場企業の場合は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を自社のホームページで公開していることが多いので、試してみよう。

■1株あたりの企業価値の計算方法
計算した会社の価値から「1株あたりの会社の価値」を知るには、下記の式で算出することができる。

(計算した)会社の価値÷発行済み株式数=「1株あたりの会社の価値」

会社の価値、どのように計算する?

株価と「1株あたりの企業の価値」を比較して、「1株あたりの企業の価値」の方が高ければ割安。「1株あたりの企業の価値」より株価の方が高ければ、割高と判断できる。授業では、アップルやセブン&アイ・ホールディングスなどの例を紹介した。

アメリカの上場企業アップルの株価は、過去10年間で10倍に及ぶ。アップルでは、2007年6月の初代iPhone発売、2010年4月初代iPad発売、2011年10月スティーブ・ジョブス氏逝去、2015年4月Apple Watch発売、このようなイベントやニュースによって株価が変動していた。土信田氏は「2008年にはリーマン・ショックが起き、世界経済は下向きでしたが、アップルのように稼いでいた企業では、その状況でも株価が上がっていたんです」と解説した。

アップルの事例

日系企業において成長株の例として挙げたのが、セブン&アイホールディングス。1979年の上場時、セブン-イレブン(当時の社名)は株価が1,700円、株数が1,000株、投資額が170万円だった。一方、37年後の2016年現在のセブン&アイホールディングスは、株価が2.76倍の4,700円、株数が38倍の3万8,000株、投資額が1億7,860万円に増加している。「ここまでの成長株を見極めるのはなかなか難しいですが、株式投資で利益を出すためには、やはり成長を見込める株を探した方がいいです。安定的に利益を積み重ねて、一定期間で資産を倍にすることを目指すと良いと思います」と土信田氏。

セブン&アイホールディングスの事例

銘柄の売買、タイミングは?

どの銘柄をいつ売買すればいいのかを分析するためには、以下のような方法がある。

■ファンダメンタルズ分析
企業の業績や財務、業務内容などから企業価値を分析する手法

■テクニカル分析
株価の値動きや売買動向を分析し、そのパターンや投資タイミングを探る手法

これらの分析方法によって株価と企業価値を比較して、企業は以下の3パターンに分類できる。

・「バリュー」で稼ぐ企業……企業価値重視(いかに安く買うか)
・「トレンド」で稼ぐ企業……相場の勢い・強さ重視(いかに高く売り抜けるか)
・「回転」で稼ぐ企業……日々の値幅・出来高を重視(いかに利益を積み重ねるか)

■アナリストレポート
株式投資において、参考にしたいのがアナリストレポート。証券会社のアナリストが様々な会社を訪問して調査したものとなっている。

アナリスト視点では企業の稼ぐ力について「何で稼いでいるのか」「なぜ稼げているのか」「いくらで稼げそうか」「これからも稼いでいけそうか」の4つの視点で分析するという。土信田氏は「まずは、会社の価値を計算してみたり、このような視点でアナリストレポートを見てみたり、マネーにまつわる雑誌を読んでみたりすることから始めるといいです」とアドバイスした。