日本マイクロソフトは品川本社オフィスにて、社員の家族を呼び、父親や母親の働く姿を見せる「品川オフィスファミリーデー」を開催。2011年から数えて5回目となり、1,382人(369家族)が訪れた。このような取り組みは既に珍しくなっているが、日本マイクロソフトがここ数年力を入れている「テレワークスタイル」を体現した姿も実際に垣間見られた。

1F受付ではスタッフが手持ちのスマートフォンなどで家族写真を撮ってくれるスペースを設けていた

お祭りのような参加型プログラムが盛りだくさん

2015年8月17日開催の品川オフィスファミリーデーは、1階のイベントスペースで来場受付を行い、20階~22階、24階~29階で社員が働いている姿を目にしながら、19階のカフェテリア「One Microsoft Cafe」で食事したり、各フロアでイベントに参加したりする。

最初に訪れたOne Microsoft Cafeでは、Microsoft Azureなどを駆使して栽培された富士通の「キレイヤサイ」試食会、性別や国籍などの垣根をなくすダイバーシティを推進する虹色フィンガープリントペインティング、一部で話題の「How Old Do I Look」を実際に試せるブースを設けていた。

日本マイクロソフトと富士通協業の「キレイヤサイ」試食コーナー。タブレットで抽選会も行われていた

ダイバシティを受け入れるイベントとして開催したフィンガープリントペインティング

「How Old Do I Look」を実際に試す親子連れ。某日本マイクロソフト社員は「(実年齢よりも)10歳若い」と喜んでいた

ランチスペースには、日本マイクロソフトの代表取締役社長である平野拓也氏も訪れ、社員の家族と楽しそうに会話していた。そのときの話を平野氏に聞くと、「(社員の)奥様などは緊張していたらしく挨拶程度だった。でも実際に顔を合わせて話をできるのは大きい」と述べていた。

「キレイヤサイ」を試食する平野社長

家族連れ社員との記念撮影にも快く応じていた

社員の家族との談話するシーンも多く見られた

2015年8月24日から始まる「テレワーク週間2015」もさりげなくアピール

落書き用の黒板をカフェテリアに設置。筆者が訪れたときは小さなお子さんが楽しそうに描いていた

同じくカフェテリアに設けられた風船プレゼントコーナー。社内では風船を喜んで持ち歩く多くのお子さんを見かけた

その平野氏が働く社長室は、実にシンプルなたたずまいである。社長就任から一カ月半しかたってないが、社長室に持って来たのは段ボール半分だけ。卓上に並んでいたのも、ノートPC、Surface Pro 3、電話機、大きめの液晶ディスプレイといった程度。プリンターの設置を断るほど、ペーパーレスを実践しているそうだ。

社長室の椅子に座る平野氏。その部屋は一歩間違えれば殺風景といえるほどシンプルなものだった

唯一の私物(!)として引き出しの中にあるのは、のど飴。それ以外は自身の名刺など仕事関係のものばかりだ

平野氏は、オフィスフロア見学タイムに作ったと思われる社員のお子さんと交換した名刺を見せて、冗談交じりに「俺の席がなくなっちゃう」と笑っていた

続いて同じフロアにある新設の会長室も取材したが、平野氏の社長室と同じ様にシンプル。違いを挙げるなら、以前から使っている冷蔵庫とプリンターがある程度。ただ、代表執行役会長の樋口泰行氏はアイディアを壁に書き留める習慣があるため、一部の壁面を白紙で隠していた。Microsoftの動向という意味で非常に興味深いが、最後まで目にすることはできなかった(これはしかたない)。

「品川オフィスファミリーデー」を開催するメリットとして、「子供時代に学校の外で学んだ体験は大きい」と語る樋口氏

もともと「品川オフィスファミリーデー」は、樋口氏が社長の時代から、コーポレートオペレーションズ(旧社長室など各部署が統合)が中心となって始めたものだが、その様子は年々変わっているようだ。日本マイクロソフトは、数年前から社員の席などを決めないフリースタイルを導入しており、Skype for Buisinessで簡単なコミュニケーションや打ち合わせを済ませるといったように、社内での働き方が大きく変化したという。

さらに「日本マイクロソフト社内で行っていたフリースタイルを社外に広げたのが、我々が推進するテレワークの形」とも。技術革新で働き方が変わり、それを誇りと思える文化が社内に芽生えてきた。そんな自分の姿を家族に見てもらえるは嬉しいという。

話を戻して、品川オフィスファミリーデーの会場で人気を博していたのが、「マイクロソフトのIDカードを作ろう」だ。社員が使っているIDカードに、子どもの写真を印刷するというサービス。取材関係者が訪れたときは、何十人も列を作って撮影や印刷を待っていた。

26階で開催していた「マイクロソフトのIDカードを作ろう!」。とにかく多くの家族連れが訪れていた

IDカード作成の様子。まずはデジタルカメラでお子さんの写真を撮影

撮影データをPowerPoint上のテンプレートに合成し、プリンターで印刷

IDカードを首にかけてみたもののお気に召さない様子?

「楽しもう! Officeライフ」は、Microsoft Officeのテンプレートを使ってさまざまなグッズを実際に作れる体験プログラムを開催。数年前から日本マイクロソフトはOfficeテンプレートに力を入れているが、正直なところこれほど多様なグッズを作れるのかと、恥ずかしながら驚かされた。

ガスコンロやまな板、包丁などをテンプレートから印刷して作ったという。ままごと遊びに使えそうだ

他のジャンルに含まれないグッズも展示されていた。正直なところOfficeテンプレートを使う機会は少ないが、ピザの斜塔まであるそうだ

かわいいキャラクターをカードアレンジしたものも並べていた。たまたま訪れた女の子は興味津々

「天体観測ワークショップ」を題した体験プログラムは、Surface Pro 3と宇宙の美しい画像を閲覧できるプラネタリウムソフト「WorldWide Telescope」で構成している。

Surface Pro 3のディスプレイを直接タッチして星空や惑星を拡大して楽しんでいた。直感的な操作ができるのは大きなポイントといえるだろう

こちらは大画面に映し出された「WorldWide Telescope」。ちなみにMicrosoft製のアプリケーションで誰でもダウンロードして楽しめる

「お絵かき水族館」は、チームラボと日本マイクロソフトが共同で開催した体験プログラム。お子さんが塗り絵した魚の画を立体スキャナーで読み取り、バーチャル水族館に映し出すというものだ。これらのアプリケーションはWindows 10上で動作している。実際に参加したお子さんに感想を聞いたところ「ワクワクした」と嬉しそうに語っていた。

塗り絵の結果を立体スキャナーで読み取っている。制御するのはWindows 10を搭載したSurface 3 Proだった

こちらが映し出された様子。画像右上に足がカラフルなクラゲ(?)が登場した

この他にも記者向けとして、社内に設置してあったSurface HUBを披露。ちょうどMicrosoftは2015年7月に予想以上の注文件数が集まった結果、出荷時期を2016年1月以降に延期すると発表したばかりだが、筆者も本体を目にするのはこれが初めてだった。

2015年7月から法人向け受注を開始した「Surface HUB」55インチモデル。国内価格は発表されおらず、Microsoftの予定参考価格は6,999ドルだ

こちらは84インチモデル。Microsoftの予定参考価格は19,999ドル

普段はすれ違う人もまばらな社内の廊下だが、この日ばかりは家族連れがところ狭しとあふれんばかりの盛況ぶり。まるでお祭りのようだった。平野氏は自身のお子さんから仕事内容を問われ、口頭で説明すると「メールを打って人と話すのが仕事なの?」といわたと苦笑していた。職場でどのように働いているかを家族に見てもらう品川オフィスファミリーデー、日本マイクロソフトは来年以降も続ける予定とのことだ。

阿久津良和(Cactus)