KDDI研究所は、60GHz帯とLTEが協調動作して、データ転送する新しい通信方式を開発した。同通信方式では、LTEの通信量を最大約90%削減でき、通信混雑を避けることができる。

60GHz帯とLTEを協調動作させた新たな通信方式イメージ

これまで60GHz帯の電波は、1Gps以上の広帯域の伝送路を提供できる一方、遠くまで電波が届きにくい性質を持っているため、移動通信サービスでの利用が難しいとされてきた。解決策として、LTEのような広域通信により補完する方法も考えられるが、現在インターネット接続に広く用いられているTCP/IP通信においては、通信を始める前の処理に時間がかかるため、高周波帯通信とLTEの切り替えに多くの時間を要し、継続的な通信ができないという課題があった。

同研究所が新たに開発した通信方式では、LTEエリアであらかじめユーザーが到達するであろう60GHz帯を予測し、必要なコンテンツに先回りすることで、ユーザーが60GHz帯に入るとすぐにコンテンツのダウンロードを開始できる。必要なコンテンツの取得には、新しいネットワークアーキテクチャ技術として研究が進められている「CCN」技術を使用。同技術では、ネットワークが現在転送しているコンテンツを知ることができるほか、サーバーとの接続やネットワーク間での切り替えが不要であるため、60GHz帯とLTEとで最適なデータ転送を結合し、継続的な通信が可能となる。

同研究所では、こうした新しい通信方式をLinux OSとAndroid OS上に実装し、動作させることに成功。実機を用いた実証実験では、LTEのみを使った場合と比較して、ダウンロード時間が5分の1以下にまで短縮したほか、LTEの通信量を最大90%削減することもできたという。