ふとんケアは睡眠の質にも関わってくる

ゲストとして講演を行った、睡眠評価研究機構代表の白川修一郎氏

セミナーには、睡眠評価研究機構 代表の白川修一郎氏が出席。梅雨時(多湿環境)に、睡眠の質が低下する原因を解説した。白川氏によると、睡眠の質を改善するためには、環境や生活習慣が肝要だそうだ。それをふまえたうえで、熟睡を得るための条件の1つめは「生体リズムの正規性とメリハリ」。質の良い睡眠には、朝と日中に光を浴びることと規則的な生活習慣が必要で、これらが損なわれると生体リズムにメリハリがなくなり、睡眠の質を悪化させてしまうおそれがあると説明した。

条件の2つめは、「睡眠中の深部体温の十分な低下」。深く眠るためには、生体リズムによる体温の下降と皮膚からの体熱放散が必要となる。人間の身体は、四肢の皮膚からの熱放散や、発汗による気化熱で深部体温を低下させるメカニズムを持つ。しかし、室温が28℃以上の状態で、相対湿度が70%以上になる梅雨・熱帯夜には、これらの機能が働かず、安眠を妨げてしまう。さらに、梅雨時は暑さと多湿で寝返りの回数が増加する傾向にあるとのこと。睡眠の質には湿度が大きく関係することを、改めて強調した。

こうした解説を受け、セミナーでは塩化コバルトを使用した実験動画を公開。天日干しとレイコップRPの布団乾燥時間を比較したものだ。塩化コバルトは、乾燥した状態だと青色で、水分を吸収すると赤くなる性質を持つ。塩化コバルトを塗布した布団に水を吹き付け、冬の日中に塩化コバルトの色が赤から青に変化(乾燥)するまでの時間をそれぞれ計測した。結果、乾燥にかかった時間は、レイコップRPが1分23秒、天日干しが51分56秒だった。

塩化コバルトを用いた布団乾燥時間の比較実験

とにかく湿気がこもりがちな梅雨の布団事情

続いて、家事アドバイザーとして活動する藤原千秋氏が、梅雨時期のふとんケアについて解説。藤原氏は「寝る前の飲み物や入浴でぐっすり眠るための対策をしている人は多いのに、ふとんケアをしている人が少ない。睡眠中は、コップ1杯分の水分が汗などで身体から放出されるといわれている。この水分を乾かさずに放っておくと、布団に湿気がこもって、カビやダニが繁殖する原因にもなる。布団のカビやダニが原因になって、アレルギーが引き起こされてしまうことも多い」と注意を促す。さらに、梅雨時は気温20~30℃、湿度60~80%というダニとカビの繁殖に好適な条件になってしまう。これは藤原氏いわく「放っておくだけでカビとダニがわいてしまう状態」で、特にふとんケアが重要だ。

家事アドバイザーの藤原千秋氏。レイコップは「家事の負担も減らせて、重宝している」とのこと

また、一般的に吸湿性・放湿性に優れているため、天日干しが不要と思われがちな羽毛ふとんについて、「綿に比べると風通しがいいが、干さなくてもいいというのはまちがい。ふだんは風通しのよい日陰に干すだけで十分だが、月に1~2回程度は天日干しを」と説明。さらに、湿度の高い梅雨時期でも湿度50%以下の晴れた日には布団を天日干しすることを推奨した。

藤原氏は、ベッドよりも布団のほうがダニが発生しやすい、という誤解をしている人が多いと言及。「日本の場合、ベッドは体のいい"万年床"のような使われ方をしている場合が多い。それだと空気にさらされることが少ないので、ダニが発生しやすくなる。布団にせよベッドにせよ、万年床はNG。悪天候が続く時期こそ、湿気をため込まないよう、天日干しなどでなるべく空気にさらして乾燥させることが大事だ」と述べた。

藤原氏は、カバーや掛け布団を外して、敷き布団を半分に折りたたむなど、布団の場所を移動させるだけでも有効だと説明した。レイコップだけでなく、エアコンや除湿機、扇風機などを駆使して布団から湿気を取り除く方法も紹介した。

販売台数は累計300万台を突破

セミナー会場となったホテル「アンダーズ東京」の武市圭祐氏も出席。同ホテルでも、客室ベッドのマットケアにレイコップを使用しているとのことだ。「以前から、洗濯の徹底や空気清浄機の設置などのハウスダスト対策をしてきたが、マットケアは行っていなかった。レイコップのマットケアのデモを体験してから導入したが、驚くほどホコリが取れた。導入後は、ハウスダストを気にされるお客様からも問題なく快適に過ごせたという声をいただいている」と感想を述べた。

セミナー終了後には、レイコップのタッチ&トライ。本体重量や吸引力、布団の上での動かしやすさなどを実際に体験した

「ドライエアブロー」による、布団表面の温度変化を示すサーモグラフィー

2012年の発売以来、レイコップシリーズの国内における累計販売台数は300万台を超えた。2014年は1年間で販売台数が150万台を超え、需要も認知度も高まってきている。「PM2.5や黄砂などの大気汚染、梅雨だけでなく、景観上の問題から外に洗濯物や布団を干せないマンションが増えている。このように、日本のふとんケア事情は厳しくなっている。高齢化にともなって、布団を干すのが重労働だと感じる人が増えているのも、ふとんクリーナーの需要が高まっている一因だろう」と語るのはレイコップ・ジャパンの三澤氏だ。

レイコップ・ジャパンの社員を派遣して、一般家庭の寝室環境を調査するプロジェクト「ふとんドック」が2015年2月末にスタートしている。睡眠の質改善などふとんケアの重要性を広めるために、こうした活動も行っている。