カシオ計算機がデジタルカメラ「EXILIM」の新モデル「EX-ZR1600」の提供を開始した。デジカメとして必須の画質や機能はもちろん、自分撮りに適したチルト液晶やフロントシャッター、定評のあるメイクアップモードなども搭載するEX-ZR1600だが、最大の特徴はやはりBluetooth Smartを利用した「オートトランスファー」機能だ。

撮影した画像をスマートフォンに転送する機能を備えたデジカメは既に存在するが、EX-ZR1600はそれらの製品とどこが違うのだろうか? EX-ZR1600を企画、開発したカシオ計算機QV事業部第一開発部10開発室室長の細田潤氏と同第一開発部商品企画室の星野博之氏に聞いてきた。

QV事業部第一開発部10開発室室長 細田潤氏(右)と同第一開発部商品企画室 星野博之氏

―― EX-ZR1600のオートトランスファーは、どういったものなのでしょうか

細田氏

星野氏 「EX-ZR1600で撮影した写真を自動で専用アプリをインストールしたスマートフォンに送信できる機能です。この機能を利用すれば、スマートフォンのカメラで撮影したような感覚で、EX-ZR1600で撮影した写真をソーシャルサービスなどにアップロードすることができます」

「ソーシャルサービスに写真をアップロードする際、多くの人がスマートフォンのカメラを利用していると思います。ですが、画質の美しさやズームなどの撮影補助機能が充実しているデジカメの美しい写真が使えるのであれば、そちらを利用したいというユーザーは多いはず―― そういったニーズに答えるべく搭載しました」

―― オートトランスファーのキモとなるのがBluetooth Smartと聞きました。このBluetooth Smartを採用することで、どういったメリットがあるのでしょうか?

星野氏 「EX-ZR1600は、Bluetooth Smartでカメラとスマートフォンを常時接続し、写真を撮影すると無線LAN接続でスマートフォンに転送する仕様になっています。なので、あらかじめペアリングしておけば、機器同士近づけることや他の操作もなしに写真をスマートフォンに写真を送信することができます」

星野氏

細田氏 「カシオでは2013年に発売したEXILIM TRシリーズから、無線LANを利用した画像転送機能を搭載した製品を提供しています。ですが、これらの製品は、スマートフォンとカメラ、両者を操作しないと写真を転送することができません。これを改善しようと検討していたところ、Bluetooth Smartを使えば、スマートフォンを触らずに、写真を転送できる可能性があると気付き、その実現方法を模索してきました」

――Bluetooth Smartの採用で苦労した点はありますか。

星野氏 「カメラからスマートフォンアプリを起動し、スマートフォンに触れなくても撮影した写真を送信できるようにすること。その逆に電源がオフの状態からカメラを起動し、撮影画像をスマートフォンから見る―― という動作を実現することです。ですが、これらを実現したことでEX-ZR1600は、それぞれの機器を意識せずに転送機能が利用できるようになっています」

細田氏 「EX-ZR1600に高い負荷がかかった状態でも滞りなく動作させるのにも苦労しました。転送機能を利用している時は、負荷がかかり撮影機能が利用できない―― なんてことが起きては本末転倒です。カシオのカメラは『サクサク撮れる』ことを前提としていますので、これを犠牲にすることは許されません」

――このほか、オートトランスファーでこだわったところはありますか?

星野氏 「普通にカメラを操作しているだけで、自然に写真が転送されている、というのを実現するために、通常のカメラ処理と画像の送信処理をいかにスムーズに並列動作させるかということに苦労しました。転送機能を利用している時は、シャッターがなかなか切れない―― なんてことが起きては本末転倒です」

スマートフォンアプリ「EXILIM CONNECT」と共通のUIを採用した転送画面

―― 転送機能を備えたデジカメというと、バッテリ駆動時間が気になります。EX-ZR1600はどうでしょうか?

細田氏 「常時接続していても、カメラの電源がオフの時はデータのやりとりはしませんので、バッテリ消費は微々たるものです。また EX-ZR1600は、無線LANでのデータ送受信をきめ細かくコントロールして省電力で駆動できるよう設計されています」

―― オートトランスファーを中心について聞いてきましたが、改めてEX-ZR1600の魅力をお聞きしたいと思います。

星野氏 「若い方の中には、これまでデジカメラを使ったことがない人もいると思います。そんな方にこそ、EX-ZR1600を使っていただきたい。スマートフォンのカメラよりもきれいな写真が撮影でき、これまで通りスマートフォンで管理できるというところを体験してもらいたいです」

「また、180度回転する大型のチルト液晶とフロントシャッターを搭載しているので、自分撮りにも適した製品です。肌をより明るく、なめらかに表現する『メイクアップモード』も利用できます。女性だけでなく男性にもお勧めです」

細田氏 「ソーシャルサービスをよく利用されるお客さまにEX-ZR1600でデジカメの良さを味わって欲しいですね。撮っているうちに自然にスマートフォンに写真が保存されているという感動を味わってもらいたいなと思います」

―― ありがとうございました。

撮影画像をスマートフォンに転送する機能を備えたカメラは、近距離無線通信技術「NFC」を使ってカメラとスマートフォンを近づけることで画像を転送する製品など、すでに存在する。本稿で紹介したEX-ZR1600がこれらのカメラと異なるところは、機器同士を近づけたり、特別な操作をせずとも「普通にカメラを操作しているだけで、自然に写真が転送されている」(星野氏)というこれまでにない体験をユーザーに提供する製品であると言うことだ。本稿を読んでEX-ZR1600に興味を持ったという方は、ぜひ量販店などで実機を手にとっていただきたい。