Windows 10の対応状況は?

Windows Phone 8.1は"Windows"を冠しているものの、OSコアはWindowsとは別モノである。それがWindows 10では、PCのWindowsと同じコアを持つようになる。低価格端末でも快適に動作するWindows Phoneの長所への影響が懸念されるが、Windows Phoneの現在の長所はそのままWindows 10に受け継がれそうだ。

2月にモバイル端末用のWindows 10テクニカルプレビューがリリースされたが、対象端末はLumia 630シリーズ、Lumia 730、Lumia 830だった。アナリストは「900番台、1000番台の機種はどうした?」と指摘したが、既存のWindows Phoneユーザーは普及価格帯で売れ筋のLumia 630シリーズが真っ先にサポートされたのを喜んだ。今日のWindows Phone端末ユーザーが、Windowsスマートフォンに何を期待しているかMicrosoftはちゃんと分かっているようだ。

Windwos 8.1で動作するWindows Phone端末は全てWindows 10へのアップグレード対象である

テクニカルプレビューでは、Windows Phoneのもう1つの大きな特徴であるタイル・スタイルのホーム画面も健在だった。タイルを用いたパーソナライゼーション、ライブタイルから得られる情報はiPhoneやAndroidにはないユニークな魅力である。

Windows Phoneを選びたくなる新たな魅力

その上で、Windows 10ではWindowsスマートフォンを選びたくなる新たな魅力が加わる。例えば、デジタルアシスタント「Cortana」だ。すでにWindows 8.1に実装されているが、対応言語が少なく、日本語にも未対応だ。

Cortanaはライバルサービスに比べてパーソナライズ性の幅が広く、アシスタントとして柔軟にユーザーの要求に応えてくれる。CortanaをWindows Phoneを選ぶメリットの1つに挙げるユーザーは多い。MicrosoftはWindows 10でCortanaをWindowsプラットフォームに深く統合させようとしており、そのタイミングで日本語対応も期待されている。

そしてユニバーサルアプリがWindows Phoneに対する人々の大きな気がかりを払拭しそうだ。Windows 10でユニバーサルアプリは、モバイル、PC、Xbox、HoloLens(ARデバイス)、IoTなど、幅広いデバイスに対応する。ソフトウエア開発者はユニバーサルアプリとして開発するだけで、UXや入力方式が異なる様々なデバイスへの最適化が行われ、そして共通のWindowsストアを通じて、これらのデバイスを使う全ユーザーにアプリを提供できる。

これは開発者にとって大きな魅力である。iPhoneやAndroidに比べると、対応アプリが少ないのがWindows Phoneの短所の1つだが、それもユニバーサルアプリが呼び水となって解消に向かうだろう。またユニバーサルアプリは共通の操作性や使用体験をユーザーに提供するので、Windows PCやXboxなど他のMicrosoft製品のユーザーがスマートフォンもWindowsで揃えるメリットは大きい。

MWC 2015では期待されたフラッグシップ機の発表は見送り、新製品を普及価格帯の「Lumia 640/640 XL」に絞り込んだのにはMicrosoftの徹底した戦略遂行ぶりが現れていた