NTTデータはこのほど、レセプト(診療報酬明細書)データ等を活用した糖尿病性腎症重症化予防対策を埼玉県にて開始したことを明らかにした。

糖尿病は現在、1,000万人が罹患(りかん)している病気だが、初期は自覚症状が出にくく、医療機関を受診しない人が4割近くいるという。

そのまま放置して病状が進むと、目のかすみや手足のしびれ等の症状が出るだけではなく、重症化すると人工透析等のリスクも高まる。人工透析に移行すると週3回(1回当たりの治療時間4~5時間)ほどの頻度で治療をする必要が生じ、QOL(生活の質)が低下する可能性もある。さらに重症化すると、失明や壊疽(えそ)による足の切断などのリスクも高くなる。

糖尿病の重症化を予防することは、生活の質を維持するとともに医療費適正化の効果もある。そこで埼玉県下18市町(※1)在住の国民健康保険の被保険者約100万人を対象に、糖尿病性腎症重症化予防対策事業を行う。

すでに10月から糖尿病の重症化リスクが高い人を抽出する準備を進めており、今後、医療機関未受診者や治療中断者に対する受診勧奨および通院中の方に対する食事・運動等の生活指導を行う。このように、レセプトデータ等を活用して複数の市町村が共同して実施する糖尿病性腎症重症化予防対策事業は、全国で初となる。

※1 川越市、所沢市、飯能市、狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、八潮市、三郷市、日高市、鳩山町、幸手市、さいたま市の計18市町(入間市は市単独で4月から同様の事業を行っている)。