【上】日立製作所の中村豊明執行役副社長兼CFO 【下】ソニーの吉田憲一郎CFO

一方で、今回の業績発表に併せて、2014年度通期見通しを修正する企業が相次いだ。8社中5社が修正を発表している。

日立製作所は売上高、営業利益、当期純利益のすべてを上方修正。「営業利益率は6.1%となるが、実行面ではもう少し高いところを目指したい」(日立製作所の中村豊明執行役副社長兼CFO)と強気の姿勢をみせる。

パナソニックは、営業利益と当期純利益を上方修正。「今回の修正により、2015年度を最終年度とする中期経営計画の営業利益目標である3,500億円を、1年前倒しで2014年度に達成する。今年度の営業利益率見通しは4.5%となるが、5%の達成が視野に入ってきた。今年度中に前倒しで達成したい」(パナソニック・津賀一宏社長)と、こちらも強気の姿勢をみせる。そして、三菱電機も売上高、営業利益、当期純利益で上方修正を発表してみせた。

これに対して、下方修正を発表したのは2社。ソニーは営業利益と当期純利益を下方修正。シャープは売上高を下方修正した。これにより、通期で営業赤字見通しはソニー1社。当期純損失でもソニーだけが赤字見通しだ。

ソニーの吉田憲一郎CFOは、「モバイル・コミュニケーション分野における営業権1,760億円減損の影響によるもの。また、コーポレート(本社機能)の高コスト体質、エレクトロニクスの低収益という課題がある。為替も全体としてはマイナスに振れている」と下方修正の理由を語った。

通期業績の2013年度と2014年度の比較(△は損失ないし減少)
売上高 営業利益 四半期純利益
2013年度実績 2014年度見通し 前年比 2013年度実績 2014年度見通し 前年比 2013年度実績 2014年度見通し 前年比
日立製作所 96,162億円 95,000億円 98.8
%
5,328億円 5,800億円 108.9
%
2,649億円 2,500億円 94.4
%
パナソニック 77,365億円 77,500億円 100.2
%
3,051億円 3,500億円 114.7
%
1,204億円 1,750億円 145.3
%
ソニー 77,672億円 78,000億円 100.4
%
264億円 △400億円
%
△1,283億円 △2,300億円
%
東芝 65,025億円 67,000億円 103.0
%
2,907億円 3,300億円 113.5
%
508億円 1,200億円 236.2
%
富士通 47,624億円 48,000億円 100.8
%
1,425億円 1,850億円 129.8
%
486億円 1,250億円 257.2
%
三菱電機 40,543億円 42,200億円 104.1
%
2,351億円 2,750億円 117.0
%
1,534億円 1,900億円 123.9
%
シャープ 29,271億円 29,000億円 99.1
%
1,085億円 1,000億円 92.2
%
115億円 300億円 260.9
%
NEC 30,431億円 30,000億円 98.6
%
1,061億円 1,200億円 113.1
%
337億円 350億円 103.9
%
8社合計 464,093億円 466,700億円 100.6% 17,472億円 19,000億円 108.7% 5,550億円 6,950億円 125.2%

この結果、電機大手8社の通期見通しは、売上高が前年比0.6%増の46兆6,700億円、営業利益は8.7%増の1兆9,000億円、当期純利益は25.2%増の6,950億円となった。営業利益率は4.1%と、4%台への回復を見込むことになる。