TVアニメ『宇宙兄弟』が「東京アニメアワードフェスティバル2014「アニメ・オブ・ザ・イヤー」テレビ部門にノミネートされ、それを記念したファン感謝記念イベントが22日、東京・TOHOシネマズ日本橋で行われた。

左から平田広明、KENN、渡辺歩監督、永井幸治プロデューサー

イベントでは、TVシリーズから選りすぐりのエピソードがオールナイト上映されるとともに、南波六太役の平田広明、南波日々人役のKENN、渡辺歩監督、永井幸治プロデューサーによるトークショーも実施。同日に最終回を迎えたTVアニメシリーズの裏側に加え、夏に公開されるアニメーション映画『宇宙兄弟#0』の最新情報なども明かされた。

23時にスタートという遅い時間のイベントにも関わらず、会場には若い女性を中心としたファンで満席。六太役の平田と日々人役のKENNらが客席の間を抜けて登壇すると、ファンは大喝采で迎え入れる。2年間にわたるTVシリーズを終えたばかりの渡辺監督は、「TVアニメは一旦の休憩というか、しばしのお別れ。スタッフみんな続きをやりたいと言っている」と切り出し、「それは南波六太を月に行かせたい、二人を月で立たせたいという気持ち。スタッフ一丸となってがんばっているので期待してください」とTVアニメの続編について言及。さらに「物語が終わったわけじゃなく、大きなミッションの1つがフィニッシュしたばかり、まだ大きな目標に向かっているところです」と映画版への想いを語った

平田は「星出(彰彦)さんや野口(聡一)さん、大西(卓哉)さんなど、たくさんの宇宙飛行士に会えた」というエピソードを紹介しながら、「野口さんと大西さんは実際にアフレコにも参加したんですが、何年やっているんだっていうくらい落ち着いていた」と、アフレコを振り返った。KENNは「初めて会った時はあまりキャラの関わりがなく、そこまで深い付き合いではなかったが、そのうち長く一緒に過ごしてすごく優しくしてもらい、兄弟と言うか家族のようなイメージ」と平田との関係性の変化を吐露。「……かと思えば芝居中は本当にピリッとした空気もあって、先輩の背中をみて早く追いつかなきゃという思いで一杯だった」と告白すると、平田は「そんなに褒めていただいて何て言えばいいの?」と終始はにかんだ様子だった。

『宇宙兄弟#0』ティザービジュアル

気になる映画の内容について、永井プロデューサーはムッタとヒビトの幼少期が描かれた劇場版のキービジュアルを指しながら、「この絵の意味がわかると思います。この絵にはかなり大きな意味があって、きっと泣きますよ」と明かすと、渡辺監督は「けっこう言っちゃいましたね」としつつも、最後には「あまり多くは言えないけど、かなりいいです。小山先生も言った通り、すごくいい話になっています」と含みを持たせ、ファンの期待を煽っていた。

なお「この喜びを観客の皆さんと味わいたい」という永井プロデューサーの計らいで、「アニメ・オブ・ザ・イヤー」の受賞トロフィーが客席のファンに手渡され、1時間かけて会場全員のファンが実際に受賞トロフィーを手にして喜びを分かち合う一幕もあった。

2008年に漫画誌『モーニング』(講談社刊)で連載がスタートし、関連書籍を含めて累計1,400万部を突破した漫画『宇宙兄弟』は、2011年に「講談社漫画賞」と「小学館漫画賞」のダブル受賞という快挙を達成。兄弟として、友として、ライバルとしてともに月を目指すムッタとヒビトの姿をまっすぐに描き、大ヒット作品となった。2012年より読売テレビ・日本テレビ系にてTVアニメが放送され、小栗旬と岡田将生主演による実写映画化も大ヒットとなり、男女や年齢の垣根を超えた人気を獲得している。

『宇宙兄弟#0』は、原作者の小山宙哉が雑誌連載を一時休載しても描きたかった物語で、自ら映画脚本に取り組んで書き下ろされたオリジナルストーリー。小山が描き下ろしたティザービジュアルには、少年時代のムッタとヒビトの姿が描かれ、「夢の続きを描くために、夢の原点を書きました。」というコピーが添えられている。本作では、漫画やTVシリーズでは語られなかった、初めて明かされる兄弟の"夢の原点"が描かれるという。

(C)宇宙兄弟CES2014