エプソンは27日、ビジネスインクジェット複合/プリンタの新製品として、A3ノビ対応モデルやA4モデルなど全8機種を発表した。3月6日より順次発売する。新開発の「PrecisionCore(プレシジョンコア)」プリントヘッドにより、従来製品より高速・高画質で印刷できるのが特長だ。各モデルの主な仕様は、下記の別記事を参照いただきたい。ここでは都内で開かれた発表会の模様をお伝えする。

エプソン、新プリントヘッドを搭載したビジネス向けA3インクジェット複合機
エプソン、自動両面や無線LANを搭載したA4ビジネスインクジェット複合機
エプソン、2段カセットやADFを搭載するビジネス向けA4インクジェット複合機

A3ノビ対応の「PX-M5041F」(写真左)、「PX-M5040F」(写真中央)、「PX-S5040」(写真右)

A4機の「PX-M840F」(写真左)、「PX-S840」(写真右)

A4機の「PX-M741F」(写真左)、「PX-M740F」(写真中央)、「PX-S741」(写真右)

ビジネスでの需要が伸長

まず、エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が、ビジネスインクジェット機(以下、BIJ)の市場背景などを述べた。冒頭で「日本国内におけるコピー用紙の流通枚数」に関する統計グラフを紹介した中野氏。それによると、コピー用紙の流通量はリーマンショックの影響で大きく落ち込むが、以降は現在まで年率2%の微増傾向が続いているという。中野氏はこのデータをもとに「プリント需要が落ち込んでいると言われているが、一般的なコピー用紙の消費量を考えると、そんなことはない」と、世間一般の見方を否定した。

エプソン販売の中野修義氏(写真左)。ビジネスプリントの需要は、ゆるやかに成長し続けているという(写真右)

プリント需要(≒コピー用紙の消費量)の伸びと比例して、エプソンが市場に投入しているBIJ機の販売台数も伸びている。2013年には120万台を超える設置台数を記録した。ビジネス市場でエプソン製品が好評な理由について、中野氏は「レーザープリンタに比べて、プリントのコストが安く、大きな熱が出ないので節電にもなる。プリントの速度が速いことや、様々な種類の用紙が利用できることも受け入れられている理由のひとつ」と分析する。

エプソンのBIJ伸長状況(写真左)。市場拡大の背景について分析(写真右)

また、「Epson Connect」と呼ばれる技術/機能でビジネス利用をサポートする(Epson Connectはコンシューマー機のカラリオシリーズでも使える)。スマートフォンなどのデバイスからプリンタを利用できる「Epson iPrint」や、クラウドを利用した「スキャン to クラウド」などが好評だ。この3月からは、社内ネットワーク内でメールプリントを利用可能にする「メールプリント for エンタープライズ」も提供を開始する。BIJの方向性については、月間プリントボリューム(PV)を現在の1,000~2,000枚から、今後は5,000枚まで拡大していきたいという。

ビジネスインクジェットの方向性について。月間プリントボリュームを5,000枚まで拡大していく

今回の新製品には、新開発の「PrecisionCore」プリントヘッドを搭載した。ヘッドは従来製品の1インチから1.33インチに大きくなり、印刷解像度も従来製品の360dpiから600dpiにまで高められている。この新技術により、高速で高画質な印刷が可能になった。

新開発のPrecisionCoreプリントヘッドを採用(写真左)。EpsonConnectの利便性も引き続き訴求していく(写真右)

新製品ではランニングコストの削減も推し進められている。A4複合機のPX-M840Fでは、同等クラスの製品と比較して約1/2のコストカットを実現した。A4カラー1枚あたり約6.3円、1年間では約15万円の節約ができるという。また、従来製品との比較で約90%の節電も実現した。

このほか、全機種で大容量インクカートリッジを採用。インク交換の手間を減らすだけでなく、この部分でもランニングコストの削減につなげている。製品の耐久性も向上させており、PX-M840FとPX-S840(A4プリンタ)では15万ページの印刷が可能だという。中野氏は「企業にとってコスト削減は最大の課題。エプソンのビジネスインクジェットプリンタならより安く、そして安心して使える。エプソンではこういうプリンタ、複合機を、これからも提案し続けていく」とまとめた。

エプソンが提案するビジネスプリンタ