「ゆとり世代」という言葉に、どのような印象を抱くだろうか。「頼りない」というイメージを持つ20代後半以上もいれば、反発心を覚える当該世代もいるだろう。2013年12月17日にアップルストア銀座で行われたのが、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生4名が日本の未来についてディベートする『ゆとり世代が語る、「日本の未来」』だ。

既に活躍するスーパー大学生たちが登場

左から千葉さん、瀬谷さん、張さん、諸澤さん

登壇したのは「慶應義塾大学 弁論部藤沢会」「慶應義塾ワグネル・ソサイエティ・オーケストラ」「慶應アナウンス局」に所属しミスSFCグランプリ2013にも輝いた総合政策部1年 千葉佳織さん、フリーマガジン『BACKPACKER』初代編集長を務め、新聞社に内定が決まっている環境情報学部4年 瀬谷健介さん、サイバーエージェントの内定者として既にソーシャルゲームの企画に携わっている環境情報学部4年 張理菁さん、「Wicrep」「Gifted and Talented Education」という2社を起こし代表取締役を務める環境情報学部3年 諸澤正樹さん。いずれも一般的社会人以上にアクティブな活動を行っているスーパー大学生たちだ。

また、著書として『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング)など持ち、マッキンゼー・アンド・カンパニー、アップル人事部長などを経て慶應義塾大学SFC研究所上席研究員を務める小杉俊哉先生がゲストとして参加した。

「まだ、ゆとり教育の本当の成果は出ていない」

瀬谷さん「自分自身は昔の教育を体験していないので、どう違うかというのは正直分かりません。でも、自由に発想できるというのは強みなのかなと思っています。もちろん、打たれ弱いという点もありますが、それが"必ずしも既存の企業にいく必要はない""自分で会社を作っても良い"という発想にもつながっている気がします。やっぱり"今時の若者は…"って言われるのはいやですね(笑)。まだ、ゆとり教育の本当の成果って出ていないと思うんです。あと20年後どうなっているのか、おおらかな目で見てもらえるとうれしいですね」

諸澤さん「世代を意識したことはないですが、両親や周りの人に自由を認めてもらえたということはあるかもしれません。高校のときは独自モデルでの新型インフルエンザ感染拡大シミュレーションによる流行予測研究を行い、多くの方から評価をいただきましたが、これも学校で何かを教えてもらうよりも、自分でやったことが評価されたという点が大きいです。今の目標は史上最年少での上場。そのために会社の仲間たちと準備をしています。日本にもっといきいきとした起業家が増えればと思っています」

千葉さん「自分の環境が当たり前だったので、ゆとり世代と言われてもあまりぴんとこない面はありますね。ミスコンが身になって、今TV番組にも関わっているのですが、メディアの中立性を保つのに構造的な難しさも感じています。現状は仕方ないと踏まえたうえで、納得できる伝え方をしていけるアナウンサーになりたいと思っています」

張さん「世界中で利用されるWEBサービスを作りたいと、サイバーエージェントを受けました。現在内定者として携わっているソーシャルゲームについては、熱い市場であり試してみたいという思いが強かったです。小さいころからWEBサイトやプログラミングに興味を持っていたので、同じような子供の力を伸ばしてあげられたらと思います」

自分の器をせまく考えていないか

小杉俊哉先生

4人の熱い言葉に、小杉先生は「この4人はどの人事担当者でも欲しがると思います(笑)。小さく考えてしまう人が多いのか、自分で自分の器をせまく考えてしまうこともあるのではないかな。それぞれの夢を大きく持って、是非実現してほしい」とコメント。何かと話題になりやすいゆとり世代だが、偏見も関係なくアクティブに活躍する姿は頼もしく、「20年後」が楽しみに思えるようだった。