――『中二病でも恋がしたい!』という作品を作るときに監督が大事にされていることは?

石原監督「いろいろあって、聞かれるたびに答えが変わってしまいそうな気もするのですが、今思いつくのは、"中二病心を忘れない"ということですね。僕自身いまだに中二病的なところがあって、キャラクターが持っているアイテムを、欲しいなと思ったり……。中二病というからには14歳前後のことのみを指して言ったほうがいいと思うんですけど、大人になってからも何となく中二病的心を持っている人間はいっぱいいる。僕も自分自身、中二病心を大事にしているわけですけど、中二病って楽しいですよね。もちろん中二病的なことを想像して、それを現実に持ちこむなんてことは、もう大人なのでしないですけど、作品の中では何となく中二病心をくすぐるような部分があったらいいなとは思っています。中二病にもいろいろあって、非常にダークサイドな部分もあったりするわけですが、もうちょっと中二病の楽しい部分を描いていけたらいいかなあと。それは第一期のときから考えていたことで、第二期ではよりそれを押し進めたようなお話ができれないいかなと思っております」

――劇場版の話に戻りますが、劇場のスクリーンで見せることを意識して作る部分はありますか?

石原監督「劇場版とはいうものの、ある程度はおそらく再編集になると思うので、絵的にはそんなに変わらないとは思います。ただ新作部分に関しては、レイアウトなども変わってくると思うので、劇場的な画面作りにしたいとは考えています。あとは、総集編の意味合いもあるので、ある程度わかりやすさということも考えていて、せっかく劇場のように広いところで観ていただけるのだから、ミュージシャンのライブのような感じで楽しめる作りにできればいいなと思っています。自宅のテレビではなく、劇場で観て楽しめるような構成になるといいですね」

――劇場版の長さはどれくらいになる予定ですか?

石原監督「だいたい1時間半ぐらいになると思うのですが、そのうち、おそらく三分の一、20分から25分ぐらいが新作になるんじゃないかと考えています。総集編なので繋ぐための新作部分もあるとは思うんですけど、ただ繋ぐだけの新作というのはあまり面白くないので、総集編とは言いつつも、もう少しエピソードを付け足したりして、ラストのほうは第二期に繋がるような感じのブリッジ的な構成になっていたりします」

――総集編というだけにとどまらず、新作の部分もボリュームがあって楽しめそうですね

石原監督「むしろ総集編部分がおまけというと変ですけど、それぐらいに考えていただいてもいいのではないかと思います。一応、ボリュームとしてはテレビシリーズ一本分の尺はあるので。今まで第一期をご覧になった方も観て損はないという作りにしたいなと思っています」

――劇場版はラストが第二期に繋がるというお話でしたが、十三話も同じような意味合いを兼ねているのでしょうか?

石原監督「兼ねていると思っていいと思います。第二期にいくためにある程度の準備段階が必要だと思っているので、十三話と劇場がその役割を果たしています」

――時系列では、劇場版のラストと十三話はどちらが第二期のスタートに近いですか?

石原監督「劇場のほうですね。十三話があって劇場があって、という感じです」

――劇場版には十三話も含まれますか?

石原監督「カットとしては入るかもしれませんが、お話としては……十三話のお話というのは、こう言ってしまうとあれですけど、ストーリーを語る上ではあまり重要な話ではないので、ことさらストーリーとして組み込むことはないと思います。カットとして、絵としては使うかもしれません」

――監督自身が『中二病でも恋がしたい!』の中で好きなキャラクターは?

石原監督「これは答え難いですね。ぶっちゃけて言ってしまうと、どれも好きといえば好きです。ただあえて言えば、凸守なんかはまったく原作にはいなかったキャラクターなのですが、第一期のお話の中でうまい具合に機能してくれたなあと思っていたので、そういう意味では上出来だと思っていますし、想像以上の働きをしてくれた気がします。キャラはみんな好きなんですよ。一見地味なくみん先輩も、思っていた以上に存在感が出せていて僕はとても気に入っています」

――第一期の中で好きなエピソードは?

石原監督「いろいろあるとは思うんですけど、個人的にはバカみたいな話のほうが好きなので、第六話とかが気に入っています。一色がラブレターをもらう話ですね。割とばかばかしいお話が好きなんですよ」

――監督にとってアニメーションとはどういうものですか?

石原監督「いわゆるアニメーションは、絵で描くじゃないですか。絵で描くという行為によって、実写で撮影するのとは異なり、いろいろなものが整理される。絵に描くことで、たぶん必要のないものが削ぎ落とされていき、より作り手がやりたいことや表現したいことが克明にフィルムになるんだと思っています。そのあたりがアニメーションのわかりやすさになっていて、これは僕の個人的な感想ですけど、実写映画よりも海外の人に理解されやすくなっているのではないかと。そういう意味で、アニメーションは世界共通言語になりうるメディアじゃないでしょうか。海外の方々も日本人の微妙なニュアンスをけっこう理解しているのが驚きで、『萌え』なんかもちゃんと理解していたりするのでビックリしますよね」

――最後にファンの方へのメッセージをお願いします

石原監督「テレビシリーズ一本分くらいの尺の新作部分はあるので、総集編ですけど、第一期を観ていただいた方にも、あらためて楽しんでいただける内容になっていると思いますので、楽しみにしていただけるとありがたいです」

――ありがとうございました

『小鳥遊六花・改 ~劇場版 中二病でも恋がしたい!~』は2013年9月14日より全国27館にて公開予定。前売券は2013年6月15日(土)より上映予定劇場にて発売される。第一弾特典「キャラクターデザイン池田和美描き下ろし水着クリアファイル」付きで、価格は一般1,500円。上映予定劇場や特典などの詳細は劇場版公式サイトなどをチェックしてほしい。

第一弾特典のイメージ。この中からランダムで1種がプレゼントされる

(C)虎虎/京都アニメーション/中二病でも製作委員会