「目」「耳」「脳」を備える新型「Kinect」

既報のとおり、Xbox Oneは2013年後半のリリースが予定されているため、新型Kinectも同様のタイミングで登場するのは明白だ。2014年には新型Kinect for Windowsのリリースも予定されているが、我々が実際に手にできるのはしばらく先の話。それだけにその能力に興味を持つ方も少なくないのではないだろうか。Xboxシリーズの公式ブログである「Xbox Wire」では、新型Kinectに関する情報をいくつか公開した(図07)。

図07 Xbox Oneに標準添付される新型Kinect。2014年にはWindows版のリリースも予定されている

同ブログの編集者であると同時に、Xbox担当広報シニアディレクターであるLisa Gurry(リサ・ガリー)氏は、KinectグループプログラムマネージャーのScott Evans(スコット・エヴァンス)氏や同グループのKareem Choudhry(カリーム・チョードリー)が行ったデモンストレーションを記事としてピックアップ。Gurry氏は「新しいKinectはXbox Oneプラットフォームにおける統合された本質的要素」と紹介しつつ、二つのビデオを取り上げている。一つめはChoudhry氏が行った新型Kinectの「目、耳、そして脳」の特徴を示す動画だ。

新型Kinectでは異なる高さの検出が可能になり、例えば自分と息子が一緒になってプレイする際もその差を検出し、同じ視野で扱うことが可能になるという。ちょうどChoudhry氏は6.5フィート(約195センチ)と長身だが、問題なく動作したとGurry氏は述べた。また、新型Kinectの「目」にあたるカメラ機能は2Dカラーカメラの解像度が1080pに向上し、赤外線機能により暗所でも室内にいるユーザーの動きを見つけることができるという。これならSkypeによるビデオチャットも難なく行えるだろう(図08~11)。

図08 新型Kinectのデモンストレーションを行うMicrosoftのKareem Choudhry氏

図09 おなじみの新型Kinectによる骨格認識。「目」にあたる能力の高さをアピールしている

図10 暗闇や間接照明などによる一方からの光に左右されず人物の動きを認識するデモンストレーション

図11 新型Kinectの2Dカメラでは、このように映し出されるという

次に紹介するのが「耳」にあたる音声処理。Kinectセンサーがユーザーの音声コマンドをピックアップする際は、自動的に室内の雑音と反射を取り除くノイズリダクション機能が働くという。Evans氏が行ったデモンストレーションでは、新型Kinectの「脳」にあたる各種認識機能や機械学習などの処理に関して説明が行われた。新型Kinectは、本レポートでは何度も登場している同社の研究所「Microsoft Research」チームの研究結果を反映し、骨格認識の青銅向上や顔認識によって最大6人のユーザーを識別することが可能。こちらの動画もYouTubeで視聴できるため、興味のある方は一度ご覧いただきたい(図12~13)。

図12 MicrosoftのScott Evans氏によるデモンストレーション。骨格追跡の精度をアピールしている

図13 社内ではOrientationによる骨格認識に愛情を込めて「ブロックマン」と呼んでいるそうだ

Gurry氏は「新しいKinectは、より正確で直感的だ。ゲームとエンターテイメントクリエイターに、魔法のような体験を提供する」という一文で締めているが、筆者としてはやはり2014年に登場する予定の新型Kinect for Windowsに期待を持ちたい。もちろんソフトウェア開発者の技術やアイディアが前提となるものの、クリエイターだけでなく我々エンドユーザーの生活スタイルをも変化させる可能性を秘めていると述べても過言ではないだろう。

阿久津良和(Cactus