受賞者一同。左から業田良家、原泰久、山本美希。

第17回手塚治虫文化賞の贈呈式が、本日5月31日に東京・浜離宮朝日ホールにて行われた。今年の受賞作はマンガ大賞に原泰久「キングダム」、新生賞に山本美希「Sunny Sunny Ann!」、短編賞に業田良家「機械仕掛けの愛」。

式は来賓の手塚眞による祝辞と、選考委員のブルボン小林による選考経過報告を経て、賞の贈呈へ。賞品を受け取った原は受賞のスピーチにおいて、「『キングダム』のテーマのひとつは受け継ぐこと。今回マンガの父と呼ばれる手塚治虫先生の名前を冠する賞をいただきました。すべてのマンガ家が手塚先生からいろんなものを受け継いでいると思いますが、僕も受け継ぐ者として、これからも努力していきます」と謝辞を述べた。

また感無量の面持ちで壇に上がった山本は、「まだ経験も浅くこの先どのような人生を歩むのかわからないですけれど、本日のことを励みに、自分の人生を切り拓いていけるよう頑張りたいと思います」とコメント。司会者より主人公のアンが誕生したきっかけを聞かれると、「当時進路に悩んでいたのですが、くよくよした自分と違い、強くて動じない女性が世界のどこかにいるかなと思い描きました」と制作秘話を明かした。

続く業田は「30年間ずっとマンガを描いてきて、初めて賞というものをいただきました。日本のマンガ界には才能のある方が何千人もいらっしゃいますので、その中で選ばれたことは本当にありがたく思います」とにこやかに語る。社会風刺を含んだマンガを多く手がける業田だが、その理由については「社会的なことを歌うフォークソングを、多感な時期に聴いていたことが影響しているのかも」と分析した。

「キングダム」は春秋戦国時代の中国を舞台に、大将軍を目指す少年・信と、後の始皇帝となる秦王・政の活躍を描いた大河ロマン。「Sunny Sunny Ann!」はマイカーでひとり旅を続ける女性・アンと、ワケありな人々とのドラマがロードムービーのように展開される。「機械仕掛けの愛」は心を持ったロボットたちを描くオムニバス。持ち主に飽きられてしまった女の子型ペットロボット、人間の遺言で自由を手に入れた介護ロボなど、彼らの愛情と葛藤を描いていく。