中国で鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)感染による死亡者が確認されたことを受け、厚生労働省は4日、医療機関に対し、鳥インフルエンザ感染が疑われる患者を診察した際は、保健所に連絡するよう通知した。

4月1日付けで公表された世界保健機関(以下、WHO)の情報によると、中国の国家衛生・計画出産委員会は3月31日、鳥インフルエンザの感染者が、上海市で2人、安徽省で1人、計3人発生したとWHOに報告。患者は、3月29日に中国の疾病予防管理センターで実施された検査で確定された。3人は、重症の肺炎と呼吸困難を合併した呼吸器感染症を発症し、その後2人が死亡、1人は回復した。

3日には、中国東部の江蘇省で新たに4人の感染者を確認。この段階で、中国で鳥インフルエンザに感染したと確定された患者は7人となった。現時点では、人から人への感染が続いているという根拠はないとのこと。

中国政府は、今回の事例について積極的に調査を行っており、患者を早期に発見して、診断・治療するためにサーベイランスを強化。医療機関での感染予防と感染制御をはじめ、人の保健、動物の保健、産業界との連携も強化されているという。同国政府は、国民に手洗いの励行や、病気になった動物や死亡した動物に直接接触することを避けるよう勧めている。

WHOは同国当局と連携し、事例を注視。WHOの共同センターや関係機関とともに、情報収集、診断と治療のための資料の作成、ワクチン開発などについて、国際的な対応を行っている。ただし、現時点では、このインフルエンザウイルスの亜型に有効なワクチンはないという。

厚生労働省は今回の事例を受け、医療機関に対し、鳥インフルエンザ感染が疑われる患者を診察した際は、保健所に連絡するよう通知。対象は、38度以上の発熱と急性呼吸器症状があり、臨床的または放射線学的に肺病変(例:肺炎、ARDS)が疑われる患者であり、発症前10日以内に中国に渡航あるいは居住していた人となっている。

同省は、中国に滞在する場合は、今後の情報に注意するとともに、手洗いや咳を心がけるよう指導。また、鳥が多くいる場所で鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないよう呼びかけている。