「Acronis True Image」などコンシューマ向けのバックソフトも手がけるアクロニスは、2012年2月に「アクロニス世界障害復旧評価指標:2012」を発表している。世界の企業のバックアップとリカバリに関する信頼度と能力を国別にランク付けすることで、改善に必要な課題を把握することを目的とするものだ。今回、同社はさらにその調査対象を業種別に絞り、分析を行った。その結果を紹介する。

世界障害復旧評価指標:2012

まず、「アクロニス世界障害復旧評価指標:2012」について説明しよう。この調査では、世界18カ国のIT管理者を対象としたバックアップとリカバリに関する調査の結果をまとめたものある。同社が2011年9月から10月に調査を実施した。対象は、世界18カ国の従業員1,000名以下の中堅・中小企業IT管理者約6,000人である。

製造業の特徴

上述のレポートから、業界別の分析を行ったものの1つが、今回の製造業である。いくつかのトピックを紹介しよう。まず、2011年の自然災害により、製造業の企業の65%が「定期的なバックアップのテスト頻度を増やした」と回答した。結果、53%(全業界平均:52%)の企業は、「障害発生時に短期間でシステムを復旧できる自信がある」と回答している。また、54%が「バックアップとディザスタリカバリの運用がうまく管理されている」としている。

一方で、コスト削減がIT予算に影響していることも明らかになった。45%(全業界平均:39%)の企業では「バックアップとディザスタリカバリに関する最大の課題は、IT予算とリソースの不足」と回答している。アクロニスでは、製造業の予算確保の割合は高いと分析している。

最近、注目を集める仮想化であるが、調査結果によれば、製造業の対応はやや遅れている。現時点では、50%以上の実機稼動サーバが仮想化されている企業は26%(全業界平均:32%)に留まっている。2012年中に30%くらいに増加すると予想される(全業界平均:18%増加)。また、仮想環境におけるバックアップ(月1回から不定期も含む)は40%で、おおむね物理サーバと同じ程度であった。そのほか

  1. クラウドへの取り組みを積極的に推進
  2. 物理、仮想、クラウドなど異なる環境が混在するハイブリッド環境への課題

などが浮かび上がった。

分析の総括

昨今、製造業の経営環境は厳しさを増しており、世界中の企業がその影響を受けている。具体的には、製造コストの削減が求められ、その一方で品質が高く、競争力のある製品開発が必須となっている。そのような環境では、開発・製造環境において、人為的ミスや障害などが発生しやすい。そこで、これらの企業では製造ラインを止めることのないよう新しいテクノロジを駆使し、効率的なバックアップ/リカバリプランを策定し、実行することが重要と、アクロニスでは指摘している。