ローランドは、3月にドイツ・フランクフルトにて開催された「Musikmesse 2012」で発表した同社新製品を、国内向けに紹介する発表会「ローランド 2012 春の新製品発表会」を都内にて開催した。本レポートでは、話題の新製品の中からいくつかをピックアップし、イベントの模様と共にお伝えしていこう。

「ローランド 2012 春の新製品発表会」では、「Musikmesse 2012」で発表され話題となった新製品の数々が国内向けに初披露された

イベント冒頭に登場したのは、同社のフラッグシップシンセサイザー「JUPITER-80」のVersion 2。最新バージョンでは、ビンテージ・タイプのLow Pass Filterが3種類追加されたことをはじめ、最大4機のシリアル接続まで選択可能になったMFXストラクチャーも5種類追加。また、「Control Surface Plug-in」によるSONARとの連携なども強化されている。さらに、同時にiPad用エディタアプリ「JP Synth Editor」も発表され、これまで以上に自由で過激なサウンドメイクが実現できるようになった。

篠田元一氏による、JUPITER-80(Version 2)のサウンドを機能を駆使したデモ演奏。高い演奏表現力とライブ性能がアピールされた。なお、iPad用エディタアプリ「JP Synth Editor」は、5月公開予定

続いては、JUPITER-80の弟分的存在となる新たなシンセサイザー「JUPITER-50」。JUPITER-80で好評を得ている「フルSuperNATURALサウンド」や、それらを最大4つまでレイヤーし強力なサウンドを提供する「ライブセット」などの高い表現力を継承した、コストパフォーマンスの高いモデルだ。また、76鍵おもり付き鍵盤(アフタータッチ非対応)を搭載しながらも、約11kgという軽量コンパクトなボディーが大きな魅力のひとつとなっている。さらに、SONAR LEと専用Control Surface Plug-inも同梱されており、JUPITER本体からSONARを快適に操作可能とのこと。

RYO氏による「JUPITER-50」の音色紹介やデモンストレーションが行われた。コンパクトなボディーは、スタジオへの持ち運びなどにも最適。ボーカル向けエフェクト「VE-5」とのセッションパフォーマンスも披露された

さらに、楽器業界のみならず、iPhone / iPadの世界にも大きく影響を与えそうな新技術が「Roland Wireless Connect」だ。この技術は、ワイヤレスUSBアダプター「WNA1100-RL」を、JUPITERやJUNOシリーズといったシンセサイザー、V-Drums、Vアコーディオンなどの同社電子楽器のUSB端子に取り付けることにより、iPhone / iPadとのWi-Fi接続を実現することができる新しいシステムだ。現在発表されている対応アプリは、iPhone内の楽曲に合わせ手軽に演奏や録音を楽しめるアプリ「Air Recorder」と、すでにPCの用ソフトウェアとして世界140カ国以上で利用されているドラマーのためのソーシャルアプリ「V-Drums Friend Jam for iPhone」の2種類となっている。

「Air Recorder」(左)は、iPodライブラリ内の楽曲を再生しながら、自分の演奏を手軽に録音できる。「V-Drums Friend Jam for iPhone」(右)なら、PC不要で世界中のプレイヤーとドラムテクニックを競える

さらに本イベントでは、同社のCOSM技術を投入した新世代ステージ用ギターアンプ「GA-212」や、ボーカリスト向けにセットアップされた30種類のサウンドを搭載したエフェクター「VE-5」、ミュージシャンの間でも多くのファンを持つVアコーディオン「FR-1X」、「FR-1Xb」、ハイパフォーマンスな最新電子ドラム「V-Compact」シリーズなどの紹介・デモンストレーションも行われており、その多彩な演奏とサウンドは多くの来場者から注目を集めていた。

「GA-212」では、新開発のプログレッシブアンプにより、クリーントーンからハイゲインのディストーションまでの様々なサウンドを、1つのノブ操作で素早く簡単に作り出せる

「VE-5」では、多種多様なエフェクトだけでなく、ライブ・パフォーマンスに最適な「フレーズループ機能」も装備している。マイク・スタンドへの取り付けも可能で、カラーはホワイトとレッドの2色を用意

「FR-1X」(鍵盤タイプ)「FR-1Xb」(ボタンタイプ)は、さらに、軽量かつリアルなサウンドを実現したVアコーディオンシリーズの最新モデルだ