――ところで、哀川さんの考える理想の"説教"とはどういったものでしょう

哀川「説教ってさ、相手が聞く心を持っていないと成立しないんだよね、そもそも。持ちつ持たれつっていうのはちょっと変だけど、相手がいてこその説教なんだよ。なんで最近、説教が無くなったのかっていうと、"思いやり"が失われたから。結局、する側とされる側の人間関係なんだよね。だって説教するのって大変なんだから。エネルギー使うし疲れるし。俺だって知らないヤツに説教なんかしたくないもん(笑)」

――説教する方と説教される方、哀川さんの場合、どちらが多いですか?

哀川「説教はされたことの方が多いね。呼び出すより呼び出された回数の方が多いよ。自分も説教するから分かるけど、相当な体力使うよ。説教される場合、言い方の違いは多少あっても、その人が自分のどこを突き刺しているのかが理解できて、納得できれば聞く耳は持つ。少なくとも俺はそうだね」

――ちなみに、哀川さんの説教のスタイルってどんな感じなんですか?

哀川「だいたい"芯"は食わない(=核心には触れない)よね。周りの皮を一枚一枚はがしていくような感じで諭していくというか。いきなり核心に触れると"教え"みたいなことになっちゃうから。説教っていうのは、言われた方が自分で気づかないといけないんだよ。あくまでも静かに『俺とおまえのつき合いはどうなんだ』『おまえがやらなければいけないことは何なんだ』って無言で突きつけて相手がガーンって気づく、それこそが説教だよね」

――相手に気づかせる、というのが説教において一番重要であると。

哀川「それから『後で言おう』というのは絶対にダメ。その場ですぐ言わないと。これは相手が大人でも子供でも一緒。人って時間が経てば経つほど、本当に言わないといけないことを忘れてしまったりするから。たとえ耳の痛いことでも、タイミングがリアルだと人は素直に聞けるんだよ。"その時"に言えなかったことは、後でなんか言えないよ」

――では最後に、今年で50歳を迎えられましたが、特に意識されることはありますか?

哀川「まったくないね。今日の俺のカラダ年齢、34歳だから(笑)。調子がいいと20代はいくし。それはさておき、仮に人生100歳としたら、あと50年しか生きられないじゃない。人生もう折り返しちゃった分、先が見えてるよね。でも、こうなったらもう思いっきし全力で折り返してやるから(笑)。余計なことはせずにダッシュで下るぞ、みたいな。そのために今まで苦労していろいろなことをやってきたわけだし。けど俺の場合、もしかしたら折り返さずにさらに上の方向にビューンと行っちゃうかもしれないけどね(笑)」

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思わず聞き入ってしまう、まさに"哀川節"とも言える名言の数々。人生の先輩として「あとは折り返し」などと言わずに、いつまでもギラギラしながらあさっての方向へ突き進んで欲しい。

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