4月30日に開設されたサイト「仮設のトリセツ」。そのTwitter公式アカウントが、6月15日、20万アクセスを突破した。運営するのは、新潟大学工学部岩佐研究室で、仮設住宅生活を少しでも快適にするための知恵が紹介されている。

仮設住宅地での情報格差がきっかけ

新潟県では、2004年から2007年にかけて、中越地震や中越沖地震などの災害が発生し、計5,500戸の仮設住宅が建設された。当時、岩佐研究室は、仮設住宅生活を支援し調査するプロジェクトを実施し、仮設住宅をより住みやすい環境にする活動を行った。

「仮設のトリセツ」には、仮設住宅生活のいわば先人である中越の人々の知恵が紹介されている。仮設住宅は夏暑く、冬は寒いので、さまざまな工夫が必要となってくる。すだれや植物を使った暑さ対策、床下の利用、収納場所の作り方などのほか、鉄の柱を使っているためマグネットが有効利用できるなど、経験者ならではのアイデアや実例がいくつも掲載されている。(ただし、原状回復については各自治体の判断となるので、大がかりな改装の場合は問い合わせる必要がある)

仮設住宅快適化のポイントのひとつは、玄関とその周辺だという(以下画像提供:岩佐研究室)

今回も緑化はすでにいくつかの仮設住宅では始まっている

同研究室のプロジェクトの背景には、仮設住宅地によって、より快適な生活環境を整えているところと、まったく手のつけられていないところに分かれてしまっていた「情報格差」の問題があったという。「仮設のトリセツ」では、アイデアを共有することや、仮設住宅地のミニチュアで情報を共有することの大切さも紹介されている。

通りは住民の交流の場

「仮設のトリセツ」では、仮設住宅を単なる「つなぎの家」ではなく、「生活を快復し今後の良好な居住環境へのステップアップをするための重要な場所」と位置づけている。

そのため、住宅の工夫だけではなく、情報の共有や周辺コミュニティーとの関係にも言及しているが、住宅地の通り(通路)が交流の場となることも紹介している。通りはまた、子どもたちの遊び場でもあり、居間とつながった縁側のようなものでもある。

通りは住民の大切なコミュニケーションの場にもなる

子どもたちがのびのびと遊ぶことができるのも通りだ

同サイトを見ていると、この通りから住宅地の活力が生まれていくような印象を受けた。今回の被災地も新潟県も同じ寒冷地。今後も、中越の人々の知恵は、被災地の力になっていくのではないだろうか。