"伝説のトレーダー"として知られる山田良政氏をはじめ、彼のもとに集まった宇賀義孝氏、林正幸氏、福田哲也氏の4人が立ちあげたのが、"トレーダーの虎の穴"オフィスサムソンだ。現在のオフィスサムソンは、山田氏のトレード以外に、その他の事業も進めている。トレード関連の電子出版、トレードシステムの開発・販売や、またデイトレーダーのトレード環境を劇的に改善する、画期的なツールなども開発中だという。

最初に販売するシステムが、ドル円対応の「ユニバース」だ。ひまわり証券が主催する第4回システムトレードコンテストのFX部門で準優勝し、「テラス」を通じて販売されることになった。今回は、この「ユニバース」について紹介をしていきたい。

スキャルピングが好きな林氏の性格とは正反対の「ユニバース」

この「ユニバース」は、林氏が開発したシステムだが、そこには常日頃において他の3人とのトレード談義の末にひらめいたフィルターがかけられている。出来上がったシステムについては、他の3人も一緒にさまざまな検証をおこない、システムトレードコンテストに出品した。ところで、林氏は本来、スキャルピング(10銭でも利益がでれば決済し、数分単位でトレードをおこなう手法)が好きだという。。「昨年は1日で190回転(エントリーしてエグジットしたら1回転)トレードをするという記録を作りました。ここまでくるとトレードをしていて汗はかくし、身体も疲れます。でも、達成感はあるんです」(林氏)。

ところがこれに対し、林氏が開発した「ユニバース」は、平均して週に一度のトレード。長いときには2週間に一度のトレードという完全なスイングトレードだ。ポジションをぎりぎりまで引っ張りドテンする。「最初は自分で使うために作ったシステムです。自分のトレードスタイルとは真逆のシステムを作りたかったのです。そうすることで、利益を補完できて、リスクを分散できるんですね。損小利大を狙った相当粘り強いキャラに仕上がっています(笑)」(林氏)。

そのため、「ユニバース」がポジションをもっている時間は長い。こうすることで、手数料、スプレッドによる損失を最小限にできる。

『ユニバース』資産曲線

しかし、ユニバースがスイングであるのには、もうひとつ大きな理由がある。「長い目でトレードを見れば、利益確定はできるだけしない方が利益は最大化できるんです。これはもう結論が出ています」(福田氏)。

どういうことか。例えば、日経225先物が9,000円のときに買いポジションを持って、9,500円になったら、多くの人は利益確定をしたくなる。

「人間ならそれが当然です。欲や、また負けを経験すれば恐怖心が芽生えますから、早く利益を確定したくなる。特に、一旦評価損になったポジションがひとたび評価益に変わった瞬間、一気に緊張から解き放たれて手仕舞いたくなる。それに、現実的な問題として、月末になればいろいろな支払いが回ってきます。まだ上がると思っても、支払いがあるから、いったん利益確定をしなければならないこともあります。ところが、システムだと、個人的な都合や感情など一切排除して、指示が出るまでいつまでもポジションを持ち続けていて引っ張っていく。反転したらドテンする。それができれば利益の最大化が望めるんです」(山田氏)。

ボックス相場に強い仕様に

福田氏によると、トレードで大儲けした人というのは、3種類のうちのいずれかだという。(1)相場のことをよく知らない、いわゆるビギナーズラックなどで、放置しておいたら大きな評価益が出た、(2)よほどの富豪で、資金に余裕があり、利益確定をする必要がない、(3)利益を最大する方法が分かっていて、尚且つ精神力が極めて強く、ぎりぎりまでポジションを引っ張れる。トレードシステムは、この(3)に当たる「精神力」の点で、人間をはるかに上回っているという。

ユニバースの詳細なロジックは企業秘密だが、一定の範囲内で上下を繰り返すボックス相場に強い仕様になっている。「相場というのは8割がボックスで、トレンドを出す期間というのは僅かに2割なんです。8割の期間で勝ちトレードを生み出し、2割の期間は無難に切り抜けるというのが、ユニバースです」(宇賀氏)。

『ユニバース』トラックレコード

- 全てのトレード
累計損益 6,537.7Pt
総利益 18,405.8Pt
総損失 -11,868.1Pt
プロフィットファクター 1.55
勝率 58.05%
勝ち回数 119
負け回数 86
最大ドローダウン -1,033.0Pt
※上記トラックレコードは、2007年4月から2010年8月末までの価格データよりテラスが検証。USD/JPYのスプレッド(2Pt)が考慮された場合の結果で、スリッページ・スワップ金利は含まず。検証結果は過去のデータであり、将来の実績及び確実な利益を保証するものではない

このようなボックス相場に絞ったシステムになっているのは、「利益額よりも勝率」という考え方があったからだ。確かに、多くの人が「利益額の方が重要だ」と口にする。しかし、実際に運用してみると、その言葉を忘れてしまうのだ。例えば、2勝8敗で大きな利益が出せるシステムと、8勝2敗で手堅い利益を出すシステムがあれば、使い続けてもらえるのは間違いなく後者だ。連敗が続くと、利用者は不安になって、使い続けることができなくなってしまうからだ。

つまり、「ユニバース」は、基本的に常にポジションを持ち続け、週に一度ほどドテンをして、利益確定を行い、逆ポジションをもつ。そして、勝率がいい。そんなイメージのシステムだ。