2月から3月初旬にかけて開催された国内時計メーカーの展示会。レポート第2弾は、シチズンをクローズアップする。

シチズンはセイコー、オリエントと3社合同で展示会を実施した

光発電と電波のパイオニア、シチズンの原点回帰

シチズンで大いに注目したいのは「シチズン エクシード」の新作だ。日本の2局のほか、中国、ヨーロッパ、北米で受信可能な電波受信機能を搭載。シチズン独自の光発電「エコ・ドライブ」のためのソーラーパネルを下に敷くが、そのことを感じさせないほど、シンプルで美しい文字盤デザインに仕上げている。

世界主要都市の現地時刻が表示できるワールドタイム機能も装備。各都市のタイムゾーンが確認できる都市表記を、通常の文字盤側ではなく裏蓋側に刻み込んでいるため、フェイスのすっきりとしたデザインは保たれたまま。まさしく実用性とデザインの高度な融合がここに見られるのだ。この「シチズン エクシード」はペア仕様であり、レディスモデルには、世界多局受信の電波時計としては世界最小サイズのモジュールが搭載されている。

エクシード「CB3000-51A」。裏蓋にはワールドタイム設定用の都市表記を刻む

先端技術は投入しても、腕時計のあるべき姿は守り抜く、まさしくシチズンの"原点回帰"ともいえる新作である。

ミリタリーテイストと近未来感の自然な融合

デザイン面で目を釘付けにされてしまったのは、「インディペンデント」だ。

既成概念にとらわれないことをデザインのコンセプトにする同シリーズだが、今回は存在感が一段と強烈。ケースはノーカラー・ノーデコレーションを徹底したデザインで、まるで計器板から引き抜いてきたかのようなメカニカル感がたっぷり。さらに、風防には戦闘機パイロットのヘルメットに採用される特殊コーティングが施されているため、ブラックまたはホワイト文字盤仕様なのに、見る角度によって色合いが変化し、春夏の陽光下ではシャイニーに映える。

インディペンデント「BR1-048-51」。見る角度によって文字盤の色合いが変化するのもユニーク

無骨なミリタリーテイストと近未来的イメージが両立した「インディペンデント」の新作は、春夏のカジュアルウェアのアクセントになること間違いなしだろう。

アテッサは一段とシャープで精悍な印象に

電波受信機能やクロノグラフをはじめとする実用的な機能に加え、ビジネスシーンに映えるスタイリッシュなデザインによって人気を博している「シチズン アテッサ」。元々スポーティ&エレガントを謳ってきたが、今回はデザインテイストをさらに進化させ、一段とシャープなイメージを獲得。ケースやバンドには鏡面仕上げを施す部分が多くなり、風防をフラットガラスにすることで、より精悍なスタイリングに仕上げてきた。

4時位置に設けられている都市名の前後には、ガラスにスモークがかけられ、一段と表示の視認性がアップ。バンドのジョイント構造を見直して装着感を向上させるなど、非常に好感の持てるアイテムとなった。

アテッサ「BY0040-51E」は、従来より一段とシャープでスポーティな印象に

クロスシー「XCB38-9242」は光発電エコ・ドライブ電波時計となっている

このほかに、レディスでは「シチズン クロスシー」に注目。春夏のファッショントレンドと光発電エコ・ドライブ電波時計をセールスポイントとし、一段とエレガントな時計をラインナップしていた。

各シリーズの立ち位置がより明確に

シチズン全体の傾向として見て取れたのは、それぞれのシリーズの立ち位置を明確にする形の新作が目立ったことだ。エレガントをさらに追求する方向を「シチズンエクシード」が打ち出せば、「シチズン アテッサ」はよりシャープでスポーティな印象が増し、「インディペンデント」ではユニークさを一段と加速させる、といった具合に。全体として、シンプルでオーソドックス、時計本来のデザインへと回帰する基調が、いずれの時計にもうかがえた。