アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.は、日本とその他11カ国の消費者12,000人に対して、顧客サービスに対する意識や考え方に関するインターネット調査を実施した。

対象国は、日本 / 米国 / カナダ / メキシコ / 英国 / フランス / ドイツ / オランダ / スペイン / イタリア / インド / オーストラリアの計12カ国。18歳以上の12,000人(各国1,000人)に対して調査を行なった。

顧客サービスの重要性について、日本は「とても重要」(22%)、「やや重要」(53%)を合わせた計76%が「重要である」と回答。日本以外の11カ国では8割以上の人が「重要である」と答えており、日本は諸外国と比較して顧客サービスへの重要性がやや低い認識であることが窺える。これについて、学習院大学の青木幸弘教授は「日本には『サービス』という言葉に対し、付加価値を与える『サービス』と、あって当たり前の『サービス』の2種類が無意識的に存在し、その2種類のサービスへの対応が今回の調査ではっきりと現れていた」と分析する。

昨今の経済状況において、顧客サービスの重要性がどう変化しているかについて、日本は65%が「高まっている」と回答。一方、8カ国では3割以上の人が「変わらない」と答えており、日本とは若干意識の差がある結果となった。

満足いく顧客サービスに追加で対価を支払う意思はあるか尋ねたところ、日本の38%が「支払う意思がある」と回答。その対価は商品・サービスの代金の10%だった。同社は「他国と比較すると、日本では支払う意思がある人は少ないものの、良いサービスに対して余分に支払う対価は高くなっています」と指摘する。なお、支払いたい人が一番多かったのはインド(76%)で、一番少なかったのがオランダ(29%)。同様に支払いたい対価が最も高かったのもインド(11%)で、最も低かったのもオランダ(7%)とのこと。

また、顧客に嫌な思いをさせてしまった場合、問題を解決する以外に企業がすべきこと(複数回答)については、日本の79%が「謝罪をすること」とした。その他の「返金」(35%)、「割引(クーポン)を提供すること」(31%)、「無料で商品・サービスを提供すること」(46%)などを大きく引き離しているのが特徴。12カ国で見ても「謝罪をすること」は英国(80%)に次いで、オーストラリア(79%)と並んで高い割合となっており、日本では物よりも気持ちで謝意を表して欲しい、と考える傾向にあるようだ。

「納得いかない顧客サービスを受けた経験のある会社からもう一度品物やサービスを購入するとしたら何%のディスカウントがあると良いか」という質問に対しては、「7%」と各国平均と比較しても非常に低い数値が示された。最も高いカナダ(23%)と比較すると、希望ディスカウント価格に16%の差があることになる。さらに、嫌な思いをしたことを理由にその企業からの次回以降の商品やサービスの購入を止めるまでに、何回までなら許容できるか、と尋ねたところ、日本での許容範囲は平均1.9回。最も低い許容回数はフランスの平均1.8回で、最も許容度が高かったのはインド(平均2.4回)だった。

商品・サービスの購入先を決める際に影響を与える要素 (複数回答)については、1位「(過去の自分の)実体験」(93%)、2位「企業の評判・ブランド」(78%)、3位「マスコミ」(72%)と続いた。トップ3に「マスコミ」が挙がったのは日本だけで、メディアの報道への信頼度が高く、消費行動に大きく影響を与えていることがわかったという。また、企業の顧客サービスに関する情報を得る時、ウェブ上のレビューを参考にする(いつも参考にする、よく参考にするの合計)割合は日本全体の61%に上り、レビューサイト、口コミサイトの影響力が見て取れる結果となった。

アメリカン・エキスプレスのロバート・サイデル日本社長

1917年に日本でオフィスを開設して以来、グローバルなサービス会社として日本で顧客サービスを提供しているアメリカン・エキスプレスのロバート・サイデル日本社長は次のように述べている。「諸外国と比べて、元々サービスレベルの高い日本において、消費者は質の高い顧客サービスを企業に期待します。今回の調査結果では、昨今の経済状況においてもその傾向は変わらず、顧客サービスの重要性がますます高まっていることが明らかになりました。日本の消費者は、商品やサービスを購入する際に『(過去の自分の)実体験』をとても大切な要素と考え、満足のいくサービスに対してなら余分にその対価を支払ってもよいという意思があることも分かりました。顧客サービスを『コスト』ではなく、『投資』として捉えて、良いサービスの提供に努めることが企業のビジネス成長につながるでしょう」