乳や油脂があってこその旨味!

「乳や油脂のない食事なんて」。昨今のヘルシーブームの中、時代に逆行するようなことをよく編集Hはつぶやいている。そんな彼女も日常的には野菜たっぷりのヘルシー食を摂っているが、時折、牛丼にラー油どっさり、トーストにバターとマーガリンたっぷり塗る、なんていう我が目を疑いたくなるようなハイカロリーメニューを口にしている。

いま流行の"食べるラー油"。あつあつ白ごはんに合うと口コミで人気が広がっているが、油をごはんにかけるんですよ? 低カロリーなわけがない。……実はみんな、「健康志向」なんていいながら、時にはとことんB級で、カロリーなんて気にしない食事をしてみたいのではないだろうか。

今回の企画で大活躍する「あぶらオールスターズ」

そこで提案したいのが名づけて「あぶらめし」。カロリーなんて気にせず、たっぷりと油脂を使ったごはんものである。この「あぶらめし」を東京・広尾の「金のおでん 羽重本店」など3店の飲食店を展開するARSON DINING GROUPグループ統括料理長・羽重憲一さんに考案していただくことにした。店舗では和食をベースとしたヘルシーな料理を提供されているが、「個人的にはB級グルメも好きですよ」とのこと。そんな羽重さんに「いっぱい油脂を使ってください。とことん、高カロリーに!!」とお願いした。考えていただいたレシピは6品。植物油や牛脂、バター、生クリームをこれでもかと盛り込んだメニューばかりを3回にわたってお届けしていく。

6品に共通していえることだが、ごはんはすべてアツアツを使おう。冷たいと油脂が固まり、ちょっとキツい食べ物と化してしまうのでご注意を。

教えていただく料理人

ARSON DINING GROUP・グループ統括料理長 羽重憲一さん

東京都出身。23歳で和食の道にすすみ、30歳でバーテンダーだった現オーナーと独立し、ARSON DINING GROUPを立ち上げ。1号店である「金のおでん 羽重本店」(東京・広尾)を2003年に開店。2号店の「おでんダイニング 羽重」(東京・恵比寿)は、テレビ番組『VVV6 東京Vシュラン2』における「30代OLが選ぶおでんランキング」(2006年)で第1位を獲得する人気店に。3店舗目の「京都 まろまろ」(東京・恵比寿)は、京野菜を使ったおでんや創作料理が好評。

「自家製具だくさんラー油の塩鮭ごはん」

材料(1人前)
ゴマ油 70cc / ニンニク 1かけ / 長ネギ(青い部分も使ってOK) 1/2本分 / 白ゴマ 小さじ1 / 鷹の爪(輪切りまたは七味唐辛子) 小さじ1/2 / 塩・胡椒・カツオだしの素・旨味調味料 各ひとつまみ / 砂糖・濃口醤油 小さじ1 / ごはん 200g(茶碗1杯分)/ 塩鮭ほぐし身 大さじ1 / 大葉 2枚

つくり方

  1. ニンニクはスライスし、長ネギは小口切りにする。

  2. ゴマ油、ニンニク、長ネギをフライパンに入れ、弱火から中火ぐらいの火加減で、キツネ色になるまでじっくり炒める。

  3. ある程度色がついてきたら、白ゴマ、鷹の爪を加え、軽く炒める。

  4. 火を止めて塩、胡椒、カツオだしの素、旨味調味料、砂糖、濃口醤油を加え調味する。

  5. 器にごはんを盛り付け、塩鮭ほぐし身をのせる。軽く温めた4をかける。千切りの大葉を飾ったら完成。

ニンニクや長ネギは焦げないように炒める

アツアツごはんの上に塩鮭のほぐし身をのせる

いま流行の"食べるラー油"をフライパン1つで簡単に仕上げ、ごはんのお供の定番・塩鮭ほぐし身を組み合わせたメニュー。ラー油は、ニンニクや長ネギを焦がさずじっくり弱めの火で炒めることで油に香りがうつり、ニンニクとネギも香ばしくカリカリ食感に。辛味を強めたい場合は、早めに鷹の爪を加えるとよい。

大葉の清涼感のおかげで油っこくなく、ついついたくさん食べてしまう。なんておそろしいメニュー……。

「ベーコンが決め手 ペペロンごはん」

材料(1人前)
オリーブ油 50cc / 玉ネギ1/4個 / ベーコン 3枚 / ニンニク 1かけ / 鷹の爪(輪切りまたは七味唐辛子) 小さじ1/2 / 塩・胡椒 少々 / ごはん 200g(茶碗1杯分)/ パセリ(みじん切りまたはドライパセリ) 適量

つくり方

  1. 玉ネギをスライスし、水にさらす。ベーコン、ニンニクは刻んでおく。

  2. オリーブ油と1のベーコンとニンニク、鷹の爪をフライパンに入れ、強火で加熱する。油がはねることがあるので注意しよう。

  3. ごはんを器に盛り、1の玉ネギをのせる。

  4. ベーコンに火が通り、ニンニクがきつね色になってきたら、塩・胡椒で味を調え、3の上にかける。仕上げにパセリのみじん切りをかける。

手順2ではベーコンとニンニクを鷹の爪と共に炒める

玉ネギは水にさらしておくことでシャキシャキに

パスタの定番・ペペロンチーノのごはんバージョン。オリーブ油でベーコンを炒めることで、ベーコンの油脂も溶け出し、植物性&動物性のWオイルづかい!!(?)。しかしこちらも、玉ネギのシャキシャキ感で意外とあっさりと食べられる。……感じる味わいと実際のカロリーって違うのだね。罠だ(何の!?)。