欧州50種株価指数

FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。再びソブリン・リスク懸念の高まりにより、欧州株式とユーロに売り圧力が強まっている。特に昨日よりクローズアップされているのが、ギリシャ支援のための資金額。欧州連合が当初予想していたよりも巨額になるとの見通しが強まったことから、ギリシャ国債の保証コストはついに600bpを越え、同国への資金調達が今後滞る可能性も市場では指摘され始めた。

こうなってくると、当然欧州の金融株にとってはネガティブ要因となろう。

欧州50種にはスペインに本拠を置くヨーロッパ最大の金融機関バンコ・サンタンデール(SAN.MC)、グローバルに展開しているドイツ銀行(DBKGn.DE)、そしてフランスの大手金融機関BNPパリバ(BNPP.PA)等が構成銘柄として採用されている。さらに指数ウェイトでもバンコ・サンタンデールの約3.8%を筆頭に、イタリアに本拠を置くウニクレディト銀行(CRDI.MI)は3.1%、オランダの総合金融機関ING(ING.AS)とBNPパリバは2.7~2.8%と、同指数へのインパクトが強いセクターとなっている。

事実、今週の動きをみると、金融株での軟調な動きを背景に3000ポイントがサポートラインとして機能することなく、下落基調を更に強めている。

本日は、週末ということもあり更に下落スピードを速めるか、それとも企業業績の結果が材料視され買い戻し優勢の展開となるかが焦点となろう。また、市場を動かす材料として、17:00 以降より4月の独IFO指数と第1四半期の英GDPが発表される。英GDPは横ばいとの予想だが、後者のIFO指数ではドイツ経済の回復が鮮明になりつつあり、それを反映してか今回のIFO指数は98.7と前回の98.1より上昇している。企業決算と共に注目したい。

テクニカルで見ると、ユーロドルと逆相関の関係にあった欧州50種だが、4月20日を境に再びユーロドルとの連動性を強め始めている。

日足で見ると、3000ポイントの心理的ライン到達による達成感から、調整色を強めていることがわかる。仮に反転しても21日MAが位置する2960-70レベルで上値が抑えられる可能性がある。

むしろ、短期サポートラインもブレイクしていることから、目先、2900ポイントのライン&フィボナッチ38.20%戻しまで下落するかが本日の焦点となりそうだ。昨日はこのレベルが意識されたが、連日そのような展開となれば200日MAが視野に入る可能性は低くなるだろう。下抜けた場合は、その200日MAブレイクが視野に入ることも考慮した方が良いだろう。

欧州50種株価指数とユードルの比較日足

欧州50種株価指数 日足

NY原油先物(6月限)

ギリシャ国債の相次ぐ格下げにより、同国のギリシャ2年債の利回りが一時11%を超えた。5月末には126億ユーロの償還を控えており、同国の資金調達懸念からユーロドルも約1年ぶりの1.3258ドルと安値を更新等(日本時間23日8:20現在 1.3202ドルと安値更新)、マーケットは欧州資産の売りムード一色となりつつある。

しかし、米株式相場が安寄りした後に切り返したことで、原油相場も売り一巡後は安値から大きく切り返した。急激なドル高に逆行して急伸するシナリオを描くことは難しい状況だが、企業決算を背景にした株高トレンドが続く限り、下げ余地も限られる可能性がある。また、ソブリン・リスクが高まっている今の環境で既に80ドルを維持していることは、買い方と売り方の双方が容認できる水準として認めていることも裏付けていると思われる。しかし85ドルを超える水準となると、さすがに今の状況では高値警戒感が強いことから、目先80~85ドルのレンジでもみ合う可能性が高い。ただ、今後も株価に連動した地合が予測され、上方ブレイクの機会を探る展開が続く見通しとなろう。それにより下値も着実に切り上がってくると思われる。

上記のファンダメンタルズを踏まえ、今後ボックスレンジの中でどのような動きになるかテクニカルで見てみたい。

まず1.97ドルの下髭を引いた点に注目したい。一目均衡表の基準線が意識されたようだ。しかし、転換線には頭を押さえられたかたちとなっており、まだ、頭の重い印象を受ける。トレンドをいったん割れているのも気になる。

オシレーター系短期指標のSTCは、ゴールデンクロスを形成しており買いサインが出ている。しかしMACDやRSI等は、未だ戻り売りのシグナルが点灯しており、ボリンジャーバンドでも、-1σで切り返しだが平均線には届かず、バンド自体も下がり基調を考えるならバイアスは売りだろう。

このように各テクニカル指標では、目先戻り売り有利で、ボリンジャーバンドの-2σとも重なる80~82ドルあたりまでは押してもおかしくない状況と言える。 逆にアップトレンドに返り咲いたときは、方針転換になると思われるため、注意が必要だろう。

NY原油先物(6月限)日足