北カリフォルニア地区の米連邦地方裁判所は11月13日(現地時間)、米AppleがMacクローンを販売する米Psystarを相手取って起こしていた裁判で、PsystarによるAppleのソフトウェアライセンス侵害を認める判決を出した。法廷闘争開始は2008年7月にさかのぼるが、1年半の期間を経て事態は収束に向かいつつある。

Psystarは2008年春、Mac OS Xが動作可能な非Apple製ハードウェアの販売を開始したことでAppleにより訴えられている。AppleはMac OS Xの利用をApple製ハードウェアのみで許可しており、ソフトウェアライセンス同意書(EULA)でもその旨を明記している。このほか、通常のPCとは異なるブートローダの利用や他社製ハードウェアでの動作を防ぐプロテクトが施されており、そのままでは市販のPCへのインストールが行えないようになっている。だがPsystarでは、市販PCのハードウェアに細工を施すことでMac OS Xの動作を可能にしており、このハードウェアに同OSをプリインストールして出荷していた。

裁判の争点はEULAの有効性とPsystarの商習慣の部分にあったが、裁判官のWilliam Alsup氏は判決において「Psystarの行為はAppleの規定するMac OS Xライセンスの利用許諾範囲を逸脱する」とコメントしており、両件においてAppleの訴えを認めている。事実上、Appleの全面勝訴となる内容だ。Alsup氏の判決文はGroklawのサイト(PDF)で確認できる。

なお、Psystarは今年5月に米連邦破産法第11章(チャプター11)を申請しており、10月にはプリインストールのハードウェアだけでなく、一般のPCへのMac OS Xインストールを可能にするソフトウェアモジュール「Rebel EFI」のダウンロード販売も開始している。Appleとの裁判を経てさまざまな方向性を模索しつつあるPsystarだが、今回の判決で終了宣告を出されたこともあり、ビジネス的には収束を迎えることになると思われる。

AppleはPsystarなどが行っている対応ハードウェアの販売や改造行為への対処を強化しており、例えば最新のSnow Leopardアップデートの10.6.2では、いわゆる「Hackintosh」と呼ばれるソフトウェア改造による市販PCへのインストール行為を防ぐ対策が施されたことが知られている。EULAの適用も厳密化を行っており、ParallelsやVMware Fusionなどの仮想化ソフトウェア上でMac OS XをゲストOSとして利用することはできず、こうした利用はMac OS X Serverのみ許可されている。