ドワンゴが運営する動画共有サイト「ニコニコ動画(ββ)」の生放送に『ファイナルファンタジー』シリーズや『タイムボカン』などのイラストレーションを手がけたことで知られるアーティスト、天野喜孝が登場。視聴者のリクエストに応えてネットで人気のキャラクター「やる夫」などをアドリブで描き上げ、大きな反響を呼びました。

そもそもこのニコニコ生放送は、天野喜孝の作品展示イベント『Amano Galaxy』が表参道ヒルズにて開催されることを記念して行われたオープニングレセプションパーティーで収録されたもの。

こちらが表参道ヒルズ地下3階にある会場「スペースオー」

巨大階段の下にはこんなわかりやすい表示も

会場には報道陣の他、多数の招待客(おそらく普段ニコニコ動画を見ていないと思われる感じの)らが集まり、普段のニコニコ生放送とはまったく違った空気での撮影となりました。

"生"天野喜孝(中央)の登場に司会もやや緊張気味……?

放送は開始前からすでに視聴者が数千人も待機するという、これまでのニコニコ生放送を大きく上回る盛り上がりを見せており、生放送がスタートしてからはさらに視聴数が増加。最終的には24,000人を超える人数が殺到するなど、サーバが落ちないか不安になるほどの混みようでした。

これに天野喜孝自身は最初、「本当にそんなにいるの?」と実感が湧かない様子でしたが、次第にニコニコ動画の仕組みに慣れてきたらしく、モニターに流れるファンからのコメントを見ながら嬉しそうな表情を浮かべていました。

今回のメインイベントは、なんといっても天野喜孝がカメラの前でユーザーからのリクエストが多かった絵を生放送中に描き上げるという、何とも贅沢な「描いてみた」ライブパフォーマンス。

ニコニコ動画ユーザーには天野喜孝を見たことがなかった人も多かったらしく、本物の登場に「渋い!」「かっこいい!」といったコメントも多数書き込まれた

モニター内は興奮したユーザーによるコメントであふれかえり「全部見たい」という贅沢な意見も

まずは天野喜孝が過去に生み出した作品から「ガッチャマン」「ドロンジョ様」「竜の騎士」「金髪の戦士」が候補として挙げられ、ユーザーアンケートにより「竜の騎士」が51.0%という圧倒的な票を獲得。「竜の騎士」とは1991年に発売されたスーパーファミコンソフト『ファイナルファンタジーIV』のパッケージに登場する「竜騎士カイン」のこと。もちろん20代後半である記者にとっても思い出深い作品であり、おそらくはモニターの前の視聴者にとってもそうだったのでしょう。

この結果に天野喜孝は「覚えているかなあ……たぶん大丈夫です(笑)」と笑いながらも、このためにちゃんと用意してきたという"マイ画材"を手にスケッチブックに筆を走らせました。

カメラが回っていても気にならない様子で、さらさらと「描いてみた」を披露する天野喜孝

子どもの頃に何度も見たあのキャラクターが目の前で出来上がっていく

ここで驚いたのが、天野喜孝の筆の速さ。MCが「早送りじゃないですからね!」と念を押すほどものすごいスピードでスケッチブックに描かれていく竜の騎士に視聴者も度肝を抜かれたのか、生放送のコメントはフィーバー状態。結局5分ほどで完成した絵には竜の騎士だけでなくモーグリも描かれるなど天野喜孝からのサービスもあり、ファンにとっては貴重な一時となりました。

……しかし、天野喜孝による「描いてみた」はこれだけでは終わりません。

ネットに精通した人ならどれも一度は見たことがあるAAのはず

次に始まったのは、ネットで人気のAA(アスキーアート)を天野喜孝に描いてもらおうという、何とも失礼(?)な企画。そもそもあまりデジタル機器が得意でないという天野喜孝は、AA(アスキーアート)自体がよくわからない様子で、「クマー」や「やる夫」といったキャラクターの説明をMCから聞きながらきょとんとしていました。これぞまさに究極の"才能の無駄遣い"です。

先ほどと同じようにユーザーアンケートを行った結果、「やる夫」が46.3%を獲得し圧倒的人気に。「やる夫」を最初に生み出した人も、まさか天野喜孝に描かれる日が来るとは思ってもみなかったことでしょう。やる夫、大出世です。

今度はマジックに持ち替えてのライブパフォーマンス

天野喜孝がやる夫を……何とも不思議な光景

初めて見たキャラクターであっても、天野喜孝の筆の速さは先ほどと同じ。ものすごいスピードで"天野喜孝フィルター"を通したやる夫が描かれていきます。

この時点ですでに天野喜孝風にアレンジされている

これを見たユーザーのコメントも竜の騎士以上に大盛り上がり。毛深くてマッチョな天野喜孝オリジナルやる夫から、早くも「これをAAにするんだ!」「名前はやる王かな」「やりすぎ夫!」とキャラクター化を見据えたコメントも流れていました。

こちらが完成した「やる夫」。もしかするとこのイラストが逆にAA化されネットに出回るかも?

ニコニコ生放送では翌26日にも天野喜孝をゲストに迎えての生放送を18時-19時にかけて行う予定で、そこでは「2525年の秋葉原」というテーマでユーザーからイラストをあらかじめ募集し、それを見ながら生放送中に天野喜孝がライブペイントを披露する予定となっています。イラストの投稿はニコニコ大百科にて受け付けており、こちらも書き込み数が240を超えるなど盛況です。天野喜孝曰く「上手くなくてもどんどん投稿してほしい」とのことですので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょう。

最後に、天野喜孝の作品展示イベント『Amano Galaxy』に展示されている作品をいくつかご紹介しておきましょう。

「Miroku I」

「Fudou I」

「Deva-Loca」

「Creation」

「Candy-Girl M-7」

天野喜孝の作品展示イベント『Amano Galaxy』は、2009年8月26日(水)-8月31日(月)の6日間、表参道ヒルズ(東京都渋谷区)本館地下3階スペースオーにて開催中です。