2009年8月5日、全国で一斉にリコー「GR DIGITAL III」が発売になった。大口径GRレンズ、GRエンジンIII、フルプレススナップなど、カメラとして益々磨きがかかる一方、撮影領域を拡大するための洗練されたツールというコンセプトに一切のブレはない。正統進化を果たした「GR DIGITAL II」と同様、変わらずに進化する道を選んでいる。本機の変わった点、変わらない点、その双方を多角的に見ていこう。ボディの推定市場価格は8万円前後。現在の市場価格はマイコミジャーナル価格情報をご覧いただきたい。

新たに6.0mm F1.9(35mm判換算28mm)のFAST GR LENSを採用した

外観はわずかにサイズアップ

まず外観からだ。基本的に従来機のデザインを踏襲しており、サイズ的にも大きなちがいはない。大口径レンズの搭載にともないわずかにサイズアップしているが、「高画質をコンパクトボディで提供する」という基本姿勢は健在だ。GR DIGITAL IIユーザーなら、手にした瞬間に厚みが増していることに気付くかもしれない。ただ、既存ユーザーでなければ、サイズ感のちがいは実機に触れてもわからない程度だ。

左がGRD3、右がGRD2。一見したところ同じサイズだが、わずかにサイズアップしている

左がGRD3。液晶は3.0型になり、操作ボタンの間隔が狭まった。露出補正用のボタンはスリム化している

細かい点を見ていくと、まず液晶サイズが2.7型23万画素から3.0型92万画素に大型化している。大画面化と同時に画素数もアップしているので、プレビューと液晶メニューの文字が実に精細だ。この液晶大型化にともない、背面操作ボタンが総じて右側に寄ることになった。右手親指の置き場が狭まった感は否めないが、操作性を著しく損なうような変更ではない。レンズ部とホットシューはせり出しが増えている。ケース着脱に支障をきたすようなせり出しではないが、従来機は軍艦部はフラットだっただけに、少々惜しい気もする。  モードダイヤルはシャッタースピード優先AEが加わり、マイセッティングの登録数は従来の2パターンから3パターンへ増えている。正面右下の「GR」ロゴはプリントから刻印へ変更。従来よりも高級な印象を受ける。撮影力とは無関係の部分だが、高級コンパクトというスタンスをしっかりと踏まえた改良点だ。…つづきを読む

従来機は天面がフラットだったが、GRD3はホットシューが盛り上がる。レンズ部もせり出しが増した

シャッタースピード優先AEが加わり、MYセッティングも従来機の2つから3つに増えている

「GR」ロゴをプリントから刻印に変更。こうしたちょっとした気配りが所有感を満たす

バッテリーの型番が「DB-60」から「DB-65」に変わった。ただし、両者には互換性があるという