米WildChargeがケーブルレス充電システムをiPhone/ iPod touchに対応させた。マウスパッドサイズの充電パッドに置くだけで、複数のポータブル機器を同時に充電できる「WildCharger Bundle: Charge Pad & Skin for iPhone」「WildCharger Bundle: Charge Pad & Skin for iPod touch」(両製品とも79.99米ドル)だ。同社がシンプルで手軽、そして信頼性が高いとアピールする同充電ソリューションを試してみた。

Palm PreとTouchstone

PalmのPreは米国でiPhoneに対抗する多機能携帯と目されているが、Pre向けのアプリ開発の仕組みが整っていない現状では、iPhoneと同じ土俵に上がっているとは言い難い。だがPreは、iPhoneよりも先行している機能をいくつか備えている。その1つがオプションのケーブルレス充電器「Touchstone」だ。置くだけで簡単にPreを充電できる。そんなAppleユーザーの不満に着目した米WildChargeが、7月にケーブルレスの充電システムWildChargerをiPhone/ iPod touchに対応させた。「Preオーナーがうらやましくなくなる」という。

WildChargerは、給電側の「WildCharge Pad」と、受電側の「WildCharge Adapter Skin」の組み合わせだ。パッドの表面には薄い金属板が並ぶ。シリコン製保護カバーのようなiPhone/ iPod touch用のアダプタは背面にパッドと接触する4つの小さなピンを備える。アダプタのピン部分の土台には磁石が組み込まれていて、アダプタを装着したiPhone/ iPot touchがパッドにがっちりと貼り付く。

WildCharger Pad

WildCharger Adapter Skin

iPhone用アダプタの出荷が遅れたため、今回はiPod touch用をテスト

アダプタの背面に、パッドとの接点となるピンが4つ

パッドには電源ケープルを接続するポートがあるのみで、ボタン類は一切ない。アダプタを装着したiPhone/ iPod touchを置くと充電が始まり、取り除くと数秒で自動的にオフ状態になる。充電中に、別の金属オブジェクトをパッドに置くと充電が中止される。専用アダプタを正確に見分けられるようだ。

iPhone/ iPod touchを置くだけの、ケーブルレスの充電環境は一度体験したら手放したくなくなる快適さだ。iPhone/ iPod touchでも、Touchstoneのような純正オプションが用意されたらぜひとも手に入れたいと思う。

ではWildChargerを使い続けるかというと、同製品の場合は課題が目立つ。まずアダプタが大きすぎる。Apple製品の場合は製品デザインも魅力だけに、このアダプタの大きさとデザインはiPhone/ iPod touchユーザーから少なからず敬遠されそうだ。WildChargerはピンを接触させる接点式である。だからWildChargeはケーブルレス充電のすばやい製品化を実現できたといえる。

また接点式には送電時のロスが抑えられるというメリットもある。だがPreのTouchstoneような電磁誘導を用いた"非接点充電"に比べると、ケーブルレス充電としてのスマートさで劣る。ケーブルレスなのに古い充電スタイルに見えてしまうのだ。WildChargeは日常使用での十分な安全性をアピールしている。パッドに液体をこぼしたとしても拭き取るだけで使用を再開できるそうだ。それでも金属板がむきだしのパッドの取り扱いには慎重になる。

WildChargerのようなサードパーティ製のケーブルレス充電のメリットは、様々なポータブル機器をまとめて手軽に充電できる点だ。メディアプレイヤー、デジカメ、ゲーム機など、日常的に使用している全てのポータブルデバイスを置くだけ充電できるのが理想的だ。しかしながら、WildChargeがサポートしているのはiPhone/ iPod touch、BlackBerry Pearl/ Curve、Motorola RAZR。あとは携帯電話向けのユニバーサルアダプタが用意されているのみ。WildChargerが充電ステーションを不要にするような存在になるとは考えにくく、このまま「鶏とタマゴ」の悪循環に陥る可能性の方が高いように思う。WildChargerを使ってみてケーブルレス充電の便利さを実感した一方で、幅広いポータブル機器のサポートを実現する可能性が見えてこないと本当に役立つものにはならないという印象を受けた。