マイクロソフトは7日、新年度 経営方針記者会見を開催。マイクロソフト 代表取締役社長 樋口泰行氏が、「Windows 7」を日本時間10月22日に発売することを正式に明らかにした。これはワールドワイドの発売日と同じ。各パートナーと協議した上で、同じ日にしたとのことだ。開発完了は7月最終週の予定だ。

「Windows 7」の発売日を発表するマイクロソフト 代表取締役社長 樋口泰行氏

「Windows 7」の開発完了は7月最終週の予定。発売は10月22日

Windows 95/98は、インターネット、USBなどの利便性を追求しながら、MS-DOSからの資産継承のために安定性を重視した。Windows XPは完全32ビットコード対応で、堅牢性、信頼性、安定性に優れた製品を目指した。その後、ウイルスの被害によりセキュリティへの関心が高まり、セキュリティに注力したWindows Vistaを開発。セキュリティを最優先したことで、互換性に課題が残った上、低スペックのマシンの登場によりパフォーマンスでの問題も発生した。これに対応するため登場したのがWindows 7だ。

Windows 7は、Windows Vistaユーザーからのフィードバックをバランスよく反映

約200カ国1,100万人のWindows Vistaユーザーの声に加え、1,600人ものインタビューと90以上のシナリオ策定を実施。速さ、使いやすさ、互換性、安定性をバランスよく追求するために、コードを書き始める前、6カ月間をかけて仕様策定に取り組んだ。もちろん日本からのフィードバックも重視し、日本的な雰囲気を持った壁紙や起動音などを取り入れている。また、日本のデバイスメーカーと連携し安全、安定性を確保、日本のハードウェアメーカーとともにチューンアップも行った。

日本のマイクロソフトからも、615名がWindows 7のテストプログラムに参加。日本から160件ものバグ報告を本社に送ったとのことだ。その結果、互換性についてはソフトや周辺機器の80%以上がWindows 7に対応。これまで対応していなかったカスタマーアプリは92%がそのまま動作し、残りの8%についてはどうすれば動作するようになるかという情報をメーカーにフィードバックしている。また、Windows XPのエミュレーションモードを搭載することで、基本的にはWindows XPのアプリケーションは動作させることができ、互換性への課題をクリアした。

マイクロソフトが想定しているWindows 7の市場規模。これにあわせて、アップグレード、プリインストールの販売戦略を立てている

Windows 7のビジネスはマイクロソフトも期待している。そのままWindows 7にアップグレード可能なWindows 7レディのマシンとして、一般を約1,550万台、法人を約1,140万台と想定。Windows 7を利用するためには買い換える必要があるマシンとして、一般ユーザーを約1,980万台、法人を約2,310万台と想定。クロック周波数1GHz以上のCPU、容量1GB以上のメモリ、16GB以上の空きスペースがあるHDDと、最近3年以内に登場したマシンならWindows 7が動作するため、市場規模が大きくなることが予想されるからだ。

またマイクロソフトはこのWindows 7で、業界全体を、特に年末商戦を盛り上げていき、さらに、ソフトウェア+サービスの分野に貢献していきたいとした。

ソフトウェア+サービスの加速

2010年度はWindows 7のほかクラウド関連に注力していく

Windows 7のほかに、マイクロソフトでは2010年度にクラウド関連のテクノロジーに注力する。クラウドプラットフォーム「Windows Azure」を2009年後半には北米で商用利用を開始し、H.264などに対応したテクノロジー「Silverlight 3」を7月に提供。統合した開発環境を提供する「.NET 4.0」「Visual Studio 2010」を2010年前半に提供開始するとした。これにより、重要なデータ、既存のIT資産はソフトウェアとして自社で運用、スケーラビリティを必要とするサービスや柔軟性を重視するものはクラウドサービスを利用するという、ソフトウェア+サービスを加速し、次世代ITを実現していくとした。

コンシューマ分野では、Windows 7のほかに、「Windows Mobile」「bing」「Xbox LIVE」に注力することで、世界経済ととも落ち込んでいた2009年度の経営状態を立ち直らせ、ビジネスおよびコンシューマとも2010年に向けさらなる飛躍を目指すとした。

コンシューマ向けには、Windows 7、Windows Mobile、bing、Xbox LIVEを重視