去る5月13日から15日の3日間に開催されていた「情報セキュリティEXPO」については既に紹介してきた。今回は、同時開催されていた「ソフトウェア開発環境展」「データウェアハウス&CRM EXPO」「組込みシステム開発技術展」「データストレージEXPO」「RFID ソリューションEXPO」「ダイレクト マーケティングEXPO」「Web2.0 マーケティング フェア」「グリーンIT EXPO」の8つのイベントに注目!「クラウド」や「データマイニング」、「CO2消費削減」などのテーマで大いに盛り上がりを見せていた。

ビッグサイトを埋め尽くすEXPOの嵐

「ソフトウェア開発環境展」ではクラウド・コンピューティングにフォーカス

最近何度となく耳にする「クラウド・コンピューティング」というキーワード。一般ユーザーだけに止まらず、ソフトウェア開発の現場でも大いにその活用事例が展示されていた。日本電気、執行役員である山元正人氏の基調講演でも「所有から利用へ、ITのパラダイムシフトがもたらすもの」と題して、クラウド・コンピューティングにより提供される価値とその活用を説いていた。また、注目を集めていたのが「リッチクライアントゾーン」でブースを設営していたセカンドファクトリーAdobe AIRやマイクロソフトのSilverlightによるコンテンツは、数多くの来場者の視線を釘付けにしていた。単にリッチで目を引くからという理由ではなく、「最適な情報の発信方法」のひとつとして興味を抱いていた来場者がほとんどだった。それ以外にも、ワークフローや決裁の簡略化、文書・プロジェクト管理を簡便なものにするシステムが多数出展されていた。「ソフトウェア開発環境展」と銘打たれてはいるが、それぞれCRMや内部統制、経営の可視化とリンクし合っていたのが特徴的だった。

セカンドファクトリーブース

ブースでの特別講演では、数多くの人々が足を止め説明に耳を傾けていた

「データウェアハウス&CRM EXPO」では、より経営サイドに近いサービスが

データウェアハウス、企業経営に直結したCRMを実現するためのソリューションが一堂に会する日本最大の専門展「データウェアハウス&CRM EXPO」では、今年も情報システム部門・経営企画部門をはじめとしたユーザーが数多く来場していた。加えて今回のEXPOでは、カスタマー・コンタクトセンターの立上げから品質向上・再構築に関する様々なソリューションが集結しており注目を集めていた。

なかでも来場者が熱心に耳を傾けていたのは、経営と直接リンクしてくる企業業績や数々のデータの中から瞬時に必要なものだけをチェックできるツール。興味を持って説明員に質問を繰り返す来場者が多く見られた。

また、セールスフォース・ドットコムのブースでは、「クラウド」や「SaaS」といった最近話題のキーワードが掲げられ、基幹システムを捨て去った身軽で柔軟なITの利用法を説いていた。基幹システムの開発コストやシステムの維持とブラッシュアップには、多大な投資が迫られる場合が多いが、「クラウド」の利用によってコストや開発期間を大幅に削減できるという点が注目を集めていた。

マクニカネットワークスの「myB3smart」。グラフィカルに会社の経営状況を把握できる

基幹システムのクラウド化でも有名なセールスフォース・ドットコムのセミナーはつねに満席状態。来場者の注目の高さが伺える

「組込みシステム開発技術展」ではWindows 7を見据えたプロダクトも

もっとも会場規模の大きな「組込みシステム開発技術展」では、設計・開発はもちろん、組込み技術者の育成を打ち出すブースもあり、大変な賑わいを見せていた。また、次期Windows OSとして開発が進められている「Windows 7」にも関連性のあるタッチパネル・ディスプレイの展示や、アクセシビリティやユーザビリティ向上で欠かすことのできない音声認識や音声合成などの技術も公開されていた。

目を引いたのは、エーアイが展示していた「AITalk」シリーズの製品群だ。筆者も実際にその音声を聞いてみたが、非常に流暢かつ澱みなく語りかけてくれるのには驚きを隠せなかった。日本語はもちろん、外国語への対応もなされており、最終的には合計23カ国の音声合成エンジンへと成長するのだという。

滑らかな日本語が喋られるため、ナレーターさんが喋っているのでは?とまで思った程。昔のぎこちないロボット的日本語の姿はもはや存在しない

「データストレージEXPO」では仮想化が一大ムーブメントに

データストレージの分野では、今加速度的に成長しているのが仮想化技術だ。今回のEXPOでも、マイクロソフトの「Windows Server 2008 Hyper-V」VMwareの仮想化インフラソリューションが数多く見られた。なかでも、仮想化することによりシンクライアントの実現や物理的ストレージの削減によるコストダウンやグリーンIT化を実現する、といったソリューションが展示されていた。

とりわけ賑わっていたのが、アール・アイの「ShadowFS」というサービス。既存のリッチクライアントを利用してのシンクライアント化、PCにファイルが残らないので情報流出の予防にもなる。加えて、ローカル上で作業していたファイルに上書き等のアクションがあった場合、即座にサーバ側へデータを強制移動。移動してしまったファイルへのアクセスはショートカットから行うというもの。そして、サーバへファイルが移動する際に暗号化し、再度ローカル上で作業する場合には瞬時に復号化するという。この「ShadowFS」は2010年のリリース予定とのことだが、大々的にシンクライアント化できない中小企業にとっては利便性の高いシステムと言えるのではないだろうか。

これはアール・アイ「ShadowFS」での基幹システム、ベースとなるテクノロジーの「Secure Back3」というプロダクト。すべてのPCデータをリアルタイムでバックアップしていくのは、万一を想定した場合非常に心強い

「RFID ソリューションEXPO」では「見える化」がポイント

「RFID」とは、「Radio Frequency Identification」の略語で、微小なICタグによって製品等の管理を行うソリューションだ。現在で言うところのバーコードに変わる商品識別・管理技術として研究が進められてきた。また新たな可能性のひとつとして、社会のIT化・自動化を推進するうえでの基盤技術として注目が高まっている。

「RFID ソリューションEXPO」では、どちらかと言うと"物流"に主軸が置かれ、ITとは離れた存在に思われたが、デンソークリエイト「TimeTracker FX 2.7」は、今話題の「見える化」によって各工程での無理や無駄を排するシステムだ。リリースは2009年夏を予定しているが、あらゆるデータを可視化することができる「TimeTracker FX 2.7」は現在の問題点や今後の課題等がグラフィカルに表示され、中小企業の経営者や総務・財務を扱う部署では重宝がられること請け合いだ。

工数でムリ・ムダ・ムラがすぐに見える「クイックレポート」の画面がこちら

「ダイレクト マーケティングEXPO」のキーワードは「◯◯マイニング」

他のエリアよりも若干狭い「ダイレクト マーケティングEXPO」のコーナーだが、来場者の熱気がもっとも満ち溢れていたと言えるだろう。通販でお馴染みのニッセンCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)による大規模なブースも存在し、他を圧倒していた感がある。

なかでも目を引いたのが、イムラ封筒だ。読んで字の如く、封筒を商材として扱っている企業で、一見ダイレクトマーケティングにそぐわないと筆者は思ってしまったが、実際に封筒を手に取って驚かされた。そこに詰め込まれた創意工夫はデジタルにはない、アナログな感覚があり子供心をくすぐられるものが多数あった。担当者にお話を伺ったところ、DMの開封率の低さに着目して「どうやったら中身を見てもらえるだろうか?」と考え、「では、封筒自体に仕掛けを組み込んでしまおう」という発想から誕生したのだそう。筆者の今回のイベントでの一番の収穫は、この作品との出会いかもしれない。

ニッセンの巨大ブース

来場者の注目度の高かったCCCのブース

いかに開けさせるか!。イムラ封筒の様々な仕掛けが施された封筒は、単なるDMの域を超えお客様とのコミュニケーションツールへと進化している

「Web2.0 マーケティング フェア」ではデータマイニングとCMSに人気集中

「Web2.0 マーケティング フェア」が、もっとも一般ユーザーに近い技術の展示を行っていた。例えば「データマイニング」や「テキストマイニング」に力を入れたソフトの展示が目立った。それらソフトの解析結果を受けてマーケティングやプロモーション施策に活かすのは、現在では当たり前。もっと踏み込んだアイディアが欲しかった、というのがブース全体を見回しての印象。

とはいえ、リッチコンテンツ制作ゾーンやモバイルマーケティングゾーンは人気を博しており、足を止めて製品に見入る来場者も多かった。なかでも異彩を放っていたのが、ワンゴジュウゴのブースだ。この会社はWebサイトの制作会社でありながら、Webサイト構築の上流から下流までを手掛け、必要に応じてリッチコンテンツの制作も行うという。そのワンゴジュウゴのブースで披露されていたのが下写真である。写真では判りにくいかもしれないが、Webカメラに特定の絵柄を映すことによって、3Dの画像が表示されるというテクノロジーである。この技術を応用することにより、様々な仕掛けや新しいカタチのデジタルDMなどが容易に作成できるのではないだろうか。

他にも数多く見られたのが、国産のCMSツールだ。一般PCのWebサイトだけでなく、モバイル用のサイトをカンタンに、そして瞬時に作成することができる製品である。フォアフロントの「FF-CMS」はHTMLの知識は必要なくカンタンにページを生成することができるうえに、内部統制に準じたワークフローが組めるのがポイントだ。イオスグラントン、オールインワン商用CMSを扱うインフォネット、マルチリンガルなEコマースサイトの構築ができる「info DNN」などなど、ここでは紹介しきれない程のCMSが展示されており、実際にシステムに触ることができた。

会場のいたるところで「データマイニング」や「テキストマイニング」の言葉が踊っていた

ワンゴジュウゴのリッチコンテンツ。写真だと判り辛いが立体的な画像が飛び出して表示される

「グリーンIT EXPO」ではデータセンターソリューションの改革

最近話題となっており、さらに命題化しつつある「グリーンIT」。筆者は環境問題に疎いため、」「ITでどうやって自然を守っていくの?」と「グリーンIT」というフレーズを聞くたびにいつも思っていたのだが、今回のEXPOでその謎が解明された。

「今まで数多くのサーバを運用していましたが、仮想化やサーバの最適化によって稼働させるサーバの数を減らしませんか?」であると私は理解した。というのも、「グリーンIT EXPO」の会場で数多く見られたのが「仮想化」というキーワードにあり、本来は10個のラックで稼働していたシステムを仮想化技術の活用によってIT機器のリソースをシェアし、IT機器のコストを削減するからだ。また、単に仮想化技術だけではなく、サーバ自体にも効率良く熱を排出するにはどのような設計が望ましいか、データセンター内の空調を最大限に利用して高効率化するにはどのようにラックを配置すれば良いのかなど、細かな部分でも積み上げればこれだけのCO2排出に抑えられるのですよ、と謳っていた。

電源管理でグリーンITに貢献するアボセントジャパンのブース

実際にサーバの内部構造を隅々までチェックして係員に質問をしていた熱心な来場者も数多く見受けられた

来年もビッグサイトで会いましょう!

今回のイベントを主催したリードエグジビションジャパンによれば、来年2010年、5月12日(水)~14日(金)の3日間で「第19回 ソフトウェア開発環境展 (SODEC)」「第13回 組込みシステム開発技術展 (ESEC)」「第15回 データウェアハウス&CRM EXPO(D&C)」「第12回 データストレージ EXPO (DSE)」「第7回 情報セキュリティEXPO (IST)」「第5回 RFIDソリューションEXPO (RIDEX)」「第4回 ダイレクト マーケティングEXPO (DME)」「第4回 Web&モバイル マーケティング EXPO (Web-Mo)」「第2回 グリーンIT EXPO (GRIX)」が開催されることが決定している。最新の技術を肌で感じる絶好のチャンスであり、開発者と直接会話ができるまたとない機会でもある。あたらしい技術が一堂に会するイベントなので紹介できる技術やブースに限界もあるが来年の開催にもまた期待したい!