アップルの「iLife '09」

アップルから、デジタルメディア制作用のソフトウェアスイート「iLife」新バージョンが登場した。顔認識やGPSを利用してデジタルカメラの撮影画像を分類したり、動画の手ぶれを補正する機能が搭載され、より楽しく写真や映像などのデジタルメディアを編集できるようになっている。ここでは、その基本的な使い勝手と主な新機能を紹介していこう。

主な仕様 [バージョン] 09   [対応機種] PowerPC G4(867GHz以上)/G5(デュアル2.0GHz以上、iMac G5は1.9GHz以上)、Intelプロセッサ搭載Mac   [対応OS] Mac OS X 10.5.6以上(QuickTime 7.5.5以上)   [メモリ] 512MB(1GB以上推奨)   [HDD空き容量] 4GB以上   [価格] 8,800円  

多彩な機能をマウス操作で簡単に利用できる

iPhotoの編集画面。マウス操作でほとんどの機能を利用することができる

「iLife '09」は、写真管理のための「iPhoto」、動画を編集できる「iMovie」、音楽制作用の「GarageBand」、Webサイトを作成できる「iWeb」、DVD作成のための「iDVD」の計5ソフトで構成されている。

いずれのソフトも、マウス操作中心のシンプルでわかりやすいユーザーインタフェースが特徴。たとえば、iPhotoの場合、デジタルカメラを接続すると自動的にソフトが起動し、画像の取り込み画面が表示される。画面上のボタンをクリックして画像を読み込めば、そのまま自動的に撮影日時などで分類されてiPhotoのメイン画面に登録される。その際、画像ファイルの管理はソフト側が行ってくれるため、ユーザーは自分でフォルダを作ったり、ファイル名を付けたりしなくてもいい。iTunesを使っている人なら、この辺りの直感的な操作性を理解しやすいはず。

iPhotoやiMovieには画像や映像を編集する機能も搭載されているが、そのほとんどがドラッグ&ドロップとボタンクリック、スライダのドラッグ操作で行える。GarageBandもドラッグ&ドロップでループを並べていくだけで、初心者でもそれらしい曲が作れてしまう。iWebやiDVDの場合は、テンプレートから好みのデザインを選んで画像や文章を差し替えていくだけで、オリジナルのWebページやDVDメニューを作成可能。いずれのソフトもパーソナル用途には十分すぎる機能が搭載されている。本格的なデジタルメディア制作を行う場合はプロ向けソフトを使用した方がいいが、センス次第では、iLifeだけでプロ並の洗練された作品を作ることも不可能ではない。

iWebの画面。テンプレートから好みのデザインを選んで画像や文章を差し替えていくだけで、オリジナルのWebページを作成できる

なお、今回のiLife '09ではiDVDを除く4ソフトがメジャーアップデートされ、多彩な新機能が追加された。ここでは、この4ソフトのうち、とくに大きな変更があったiPhoto、iMovie、GarageBandの3ソフトを中心に見ていくことにする。

顔認識と撮影地情報に対応したiPhoto

標準的なユーザーの場合、iLifeに含まれるソフトの中で、もっとも出番が多いのが「iPhoto」ではないだろうか。iPhotoを使うと、デジタルカメラの画像や動画を手軽に管理できる。

今回の新バージョンでは、画像の中の顔を認識して、写っている人ごとに写真をまとめられる「人々」機能が搭載された。使い方は非常に簡単。人が写っている写真を選択して名前を付けると、iPhotoがライブラリの中から同じ人が写っていると思われる写真を自動的に探し出してくれる。その候補画像をクリックすると、人物の名前を確定できる。

実際に試してみたところ、認識精度は意外に高く、手ぶれしている画像でもかなりの確度で認識された。しかし、なぜか候補画像に鎌倉の大仏など、人間以外の顔が表示されることもあった。なお、顔認識が利用できるのは人間の顔のみで、猫や犬などは対応していないとのこと。ただし、今回試してみた限りでは、たぬき(剥製)はきちんと顔が認識できていた。身近な人や動物でいろいろ試してみると面白いだろう。

今回のバージョンでは、「撮影地」機能も新たに搭載されている。これは、iPhone 3GやGPS対応のデジタルカメラなどで撮影した画像に記録されている位置情報「ジオタグ」を元に写真を分類する機能。撮影地が地図上にピンで表示され、そのピンを選ぶと、その場所で撮影した画像を一覧することができる。GPSを搭載していないデジタルカメラで撮影した画像の場合は、撮影地情報を後から手動で追加することで同様の使い方を実現することが可能だ。

iPhotoの「人々」機能。人が写っている写真を選択して名前を付けると、iPhotoがライブラリの中から同じ人が写っていると思われる写真を自動的に探し出してくれる。アップル社のCEO、スティーブ・ジョブズ氏の画像で試してみたところ、なぜか鎌倉の大仏が候補画像に……

「人々」機能で分類された画像は、このように人物単位でまとめられる。なお、人以外の動物は非対応だが、たぬきの剥製はなぜかきちんと顔が認識できた

GPSが搭載されていないデジタルカメラの画像も、手動で撮影地情報を追加することで「撮影地」機能を使うことができる

撮影地情報が追加されると、このように地図上に撮影地がピンで表示される