物語もクライマックスに突入し、ますます目が離せないTVアニメ『屍姫』。DVDリリースも2009年1月より開始されているが、2月22日には東京・九段下の科学技術館サイエンスホールにて「屍姫 the talk show」と銘打ったDVD発売記念イベントが開催された。今回はそのイベントの模様をお届けしよう。


原画のイラストで構成されている「原撮OP」映像とともにイベントは開幕。ステージ上には司会を務めるニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが契約僧のコスプレ姿で登壇し、「この日のために出家しました。ただし靴だけはスニーカーです(笑)」と会場の笑いを誘う。そんな吉田アナウンサーの呼びかけで、次々と出演者たちも舞台に登場。星村眞姫那役の秋山奈々、花神旺里役の羽染達也、田神景世役の藤原啓治、黒猫役の堀江由衣、壬生貞比呂役の諏訪部順一、遠岡アキラ役の悠木碧といった豪華なメンバーが一同に揃い踏みした。

当日の出演者は(写真左より)羽染達也、秋山奈々、悠木碧、諏訪部順一、堀江由衣、藤原啓治の6人

あまりイベントの出演経験が無いという羽染は「心強い先輩方と一緒なので楽しんでいきたいと思います」、秋山も「私ひとりのイベントや羽染くんと一緒のイベントはあったんですが、これだけのメンバーが揃ったのは初めて。私も楽しみたいです」と抱負を語っていた。ちなみに諏訪部は、スリムなラインの黒いスーツで登場。「皆様、ご愁傷様で御座います」と作品を象徴するようなコメントで客席を沸かせていた。たしかに"お葬式の喪主"のような格好に見えないこともないような……。


アフレコ現場を写真で紹介 - 「ひめ散歩」

イベントは最初のコーナー「ひめ散歩 ~舞台裏 旺里エンテーション~」に突入。これはアフレコ現場のスナップ写真を紹介しつつ、そのときのエピソードを振り返っていくというコーナーだ。紹介された写真はマイクスタンドや映像資料のビデオテープの山など、いかにも"アニメの現場"らしいものから、お菓子や飲み物のあるテーブルといったごく日常的な風景まで多種多様。バレンタインが近かったということもあって、秋山や悠木のチョコが紹介されるひと幕もあったが、それに対して藤原が「俺、もう死んでるからもらってないよ?」と切ないコメントを投下。悠木は"屍"と"姫"の文字を入れた2種類のトリュフチョコを作ったそうで、「やっぱり"屍"と書いたほうが残ってしまいました」と、これまた切ないエピソードを披露してくれた。

また、収録スタジオの写真が映し出されたときは堀江が設備について解説。「液晶テレビにアフレコする画面が映し出されるんですが、古い場所だと映写機を使うところもあるんですよ」と詳しく語る堀江に対して、悠木は「スゴいビックリしました」と感動。堀江が冒頭の挨拶で「私は17歳なんで……」と語ったことを受けて、吉田アナウンサーが「16歳の悠木さんと堀江さんとでは1歳しか違わないんですが(笑)」とツッこむひと幕も見られた。

次は作品に関するトークコーナー。この作品がアニメのアフレコ初挑戦となる秋山と羽染について、ほかのキャスト陣も「フレッシュなおふたりです。とくにアドバイスなどはしていません」(藤原)、「役に本当にピッタリだと思います」(堀江)、「台本を読み込んで本当に真剣に演じられていますよね」(諏訪部)とコメント。それに対して主役のふたりも「作品をAパートとBパートに分けて通しで収録するというスタイルには戸惑いました。でもマイク前に行く際の譲り合いが上手く行くと楽しいです」(羽染)、「自分が眞姫那として動いたらどんな風に喋るか、イメージしながら演じています」(秋山)と熱くコメント。ちなみに秋山は「私は本当に眞姫那なんです」と語るぐらい役に共感できる部分があるとか。それとは対照的に「役とギャップがありますよね?」とツッこまれた悠木が、身振り手振りを交えながら「そんなことないですよ……ね……!?」とクールなアキラの役柄を演じているとは思えない慌てぶりを見せる可愛らしい場面も見られた。

またアニメが終盤に驚愕の展開を迎えていることについて、吉田アナウンサーから「最初からこの展開については聞かされていましたか?」との質問も飛び出したが、これに対しては全員首を横に振って「NO」。諏訪部も「本来そのキャラクターが自身が知っていて当然の情報は教えてくれるけど、それ以上のことを知ってしまうとお芝居に影響する可能性もあるので秘密のままなんです。結末についても夢オチで終わる可能性も0じゃありませんよ(笑)」とコメントし、先の展開が気になるファンたちを唸らせていた。

ここで会場では、約10分ほどに凝縮されたDVD第一巻のダイジェスト映像を上映。眞姫那と旺里の出会いから壮絶なバトルシーンまで、作品を振り返るに相応しい派手なムービーに来場者たちはすっかりと見入っている様子だった。


先輩チームが意地を見せるか!? - 「真っ赫なウソ」

ムービーの上映終了後はキャストが再登場して「真っ赫なウソ」という対決型コーナーにチャレンジ。このコーナーでは演技力に長けた先輩チーム(藤原、堀江、諏訪部)がみんなの前でそれぞれ2つのエピソードを披露するのだが、そのウチのひとつはまったくのウソ。後輩チーム(秋山、羽染、悠木)はうまく先輩たちのウソを見破ることができるのか!? ……という注目の企画だ。ちなみにこの企画、台本の時点では賞品が無かったらしく、先輩チームのやる気はイマイチだったのだが、堀江さんの熱い"賞品欲しいコール"により、急遽賞品が出ることに決定! それにともなって先輩チームのやる気もグーンと上昇していった……。

やる気満々の先輩チームの中で、トップバッターを務めたのは藤原。「村上春樹の小説を買った直後に本人と遭遇した」と「ニコラス・ケイジとメル友である」という有名人ネタをふたつ披露。「さすがにニコラス・ケイジはないんじゃないの!?」という意見もあり、後輩チームは後者がウソだと判断。……もちろん正解は村上春樹と遭遇したほうで、まずは後輩チームが1勝を上げる。

後が無くなった先輩チームはここで諏訪部を投入し、勝負をかける。諏訪部が披露したエピソードのひとつ目は「アニメのコスプレ姿をしたお姉さんが働くお店に連れて行かれ、声優であることがバレた」というもの。もうひとつは「愛犬の散歩中に親子連れに声優であることがバレた」というもの。問題を出した時点で藤原が「オレは前者であってほしい! あとでその店、教えてよ」と自分の願望だけで前者を推していたが、後輩チームは後者がウソだと判断。ところがなんと正解は前者! これには会場もすっかり騙されている様子だった。

そしてトリを務めるのは堀江。諏訪部に続いて"どちらかが自分がハマっている趣味"という2択クイズを提示する。堀江が提示した趣味は、「オセロ」と「麻雀」。「私は堀江さんが麻雀をやっている姿は想像できません」という悠木の発言もあって、オセロをチョイスする後輩チームだったが……なんとこちらも正解は「麻雀」。先輩チームの演技力に、後輩チームはもちろん会場全体がすっかり騙されている感じだった。


観客の考えたセリフで生アフレコ - 「屍姫 白」

そしてイベントはいよいよ最後のコーナー「屍姫 白」に突入。事前に来場者たちがアンケート用紙に書いた"屍姫の名場面のセリフパロディ"を実際にアフレコするというユーモア溢れるコーナーだ。今回は第4話で景世がオタクグッズを眞姫那から隠すシーンや、第9話で旺里がバイトでヘマをするシーンなど、もともと面白い日常シーンがベースになっていたのだが、それが来場者のアイディアでさらに壮絶なことに。たとえば景世が隠した"オタクグッズ"の部分が"定額給付金"になるなど、とんでもないものに代わっていたり……。しかもそれを声優陣が生でアフレコするとあって、ファンにとってはこれ以上ない貴重なコーナーとなっていた。

来場者の考えたセリフを使い、その場で生アフレコに挑む「屍姫 白」

こうして最初から最後まで賑やかな雰囲気のまま進んでいった「屍姫 the talk show」。アニメ本編からは想像もつかないくらいユニークなトークに魅了されたファンも多かったようで、客席からは最後まで盛大な拍手が贈られていた。

(C) 赤人義一/スクウェアエニックス・屍姫製作委員会