たとえば、海外旅行に個人手配で出かける場合。渡航先のホテルのWebサイトに直接アクセスし、クレジットカード決済で予約を済ませる。あるいは、国外の航空会社のサイトで航空券を購入する。もしくは海外に出かけなくても、amazon.comなど海外サイトでネットショッピングを楽しむ際、ドルを使うことがあるかもしれない。

このように、国内においても米ドルを使う機会というものが増えている。しかし、一般的なクレジットカードの場合、日本でも海外でも買い物すると、円建てで請求される。その際、どれぐらいの金額を使ったのか、自分で為替レートを見ておおまかに予測するしかない。また、手数料もかかるので「手数料など引かれずに、外貨を使う方法はないものか」と考える方もいるだろう。こうした悩みを解決してくれそうなのが、ソニーファイナンスインターナショナルとソニー銀行が27日に発表した、2通貨自動決済機能付クレジットカードだ。10月29日16時より申し込み受付を開始し、11月17日よりカード発送を開始する予定。円建て支払いの場合は円普通預金から、円以外の通貨建ての場合は米普通預金から、手続き不要で自動的に2通貨の同時決済が可能なクレジットカードとしては世界初(ダイヤモンドマネー編集部調べ)としている。

ソニー銀行社長兼CEOの石井茂氏

ソニーファイナンスインターナショナルの神岡晴夫社長

ソニー銀行社長兼CEOの石井茂氏は「ソニー銀行では円と同じ世界を外貨でも実現する『外貨ワールド』を展開している。外貨の普通預金を中心に、定期預金、MMFなどにすぐお金を動かせたり、外国為替証拠金取引など為替のヘッジをするといったことが可能となってきている中、今回新サービスとして発表された2通貨決済機能付クレジットカードは、外貨を使うというところを初めて実現できるカード」と述べた。また、ソニーファイナンスインターナショナルの神岡晴夫社長は「たとえば国内で10万円のクレジットカードで買い物をした場合、期日に10万円が引き落とされる。そのカードでアメリカで1,000ドル使うと、その1,000ドルが日本円に換算され、手数料などがつき、期日に決済される。今回の2通貨決済機能付きカードは、国内で使われたものは円で、アメリカで1,000ドル使えば期日に外貨口座から1,000ドルがそのまま落ちるというサービス。ソニー銀行の外貨決済口座の預金者に、大きな利便性を提供できるし、ソニー銀行の外貨ビジネスと連携した新しいビジネスモデルの創造ができるのではないか、と考えております」と期待をこめた。

ソニー銀行営業企画部マーケティング・オフィサーの河原塚徹氏

券面の右側に「DUAL CURRENCY」。このロゴが2通貨決済機能が搭載されていることを示している

2通貨自動決済機能付クレジットカードであれば、国内で買い物をすると、円普通預金口座から日本円で引き落とされ、海外で買い物をすると、米ドル普通預金口座から米ドルが引き落とされる。河原塚氏は「それぞれの通貨によって、引き落としの口座が違うところが大きな特長」と説明する。

類似した機能を有するカードには、米ドルと円を決済できるデビットカードがあるが、使うときに残高がないと使用できないというデメリットがある。また、ドル建てのクレジットカードは請求が全てドルで請求されるため、ドル以外で買ってもドル建てとなる。では、円建てのカードとドル建てのカード2枚を併用すればいいのではないかという考えも浮かぶが、同カードには「引き落としスイッチ(特許出願中)という新機能がある。同機能は、引き落とし額が口座残高を上回った場合、もう一方の口座から引き落とすというもの。たとえば海外で買い物をした場合、たまたま米ドル口座になかった場合、円普通預金口座から引き落とすことができる」(河原塚氏)とのこと。なお、口座振替のスケジュールは通常、口座振替日が毎月15日締め、翌月10日払いだが、残高が不足している場合は、口座振替日当日以降6営業日目の前日まで随時口座の残高を確認し、6営業日目に、口座を切り替えて引き落とされる。

ソニー銀行は、全国銀行の個人の外貨預金残高のうち5.7%を占めている(2008年3月現在)。「外貨預金=ソニー銀行という認知が得られつつあることを指し示している」と石井氏

ソニー銀行では、客観的な指標として格付け会社の格付けを取得。スタンダード&プアーズ社からは「A-」、日本格付研究所からは「AA-」を得ている

カードの概要

河原塚氏は「日本で買うと1,500円、海外だと10ドルの本があった場合、実際は送料があるので日本で買ったほうが安いが、たとえば1ドル=95円とすると、950円で日本で買うとその約1.5倍。このように考えると、単価が上がれば上がるほど使うメリットが大きくなっていくことが予想されます」と話す。

申し込み要件は満20歳以上(学生可)で、ソニーバンクに外貨普通預金口座(米ドル)を保有している人。年会費は5,250円だが、2009年9月30日までにカード契約が完了し、カード申し込み月の月末口座残高、あるいはローン残高が10万円以上の方には年会費全額相当をキャッシュバックするという。与信枠は審査状況により2,000米ドル、3,000米ドル、5,000米ドルのいずれかだが、海外などに渡航するなどの場合において、一時的な増額を電話で申し込むこともできる。

ちなみに、カード特典として、外貨預金優遇制度1ランクアップ(ただし既にステージ3にいる方を除く)を用意。残高100万円あるとステージが1つ上がる優遇制度を今回は、カードを保有するだけでステージが上げられる。これにより、外貨定期預金金利や為替コストの優遇が受けられる。

実際にカードを取得するには、ソニーバンクの口座と米ドル普通預金口座を開設した上で、カードの申し込みなどを完了させる。ただし、現段階での申し込みはIE6.0以降のブラウザ利用でのみ可能(書面での受付体制を準備中)。キャンペーン期間中にカードを申し込んだ2,000名には、ソニー銀行のオリジナルパスポートケースをプレゼントする。