「船釣りビギナー教室」は、東京湾遊漁船業協同組合が定期的に開催している船釣り初心者を対象とした実釣講習会。前回の「スルメイカ釣り教室」に続いて、夏の人気ターゲットであるタチウオをライトタックルで狙う釣り教室に同行した。釣り教室の料金は1人9,500円。

ライトタックルとは?

遊漁船に乗って沖に出る「沖釣り(船釣り)」には、大型の魚を深い水深から引き上げることができる大型で強靭なタックルが必要だ。しかし、釣り具の進化によって強くても細い糸や軽くて丈夫なロッドが開発されたため、近年は子供や女性にとっても扱いやすい、軽量でコンパクトなライトタックルで釣りを楽しむスタイルが人気となっている。また、ライトタックルは魚とのやり取りを味わえる繊細さが特長。魚を強引に引き上げる漁のような釣りではなく、レジャーとしての釣りを満喫したいという釣り人に受けているのだ。

ライトタックルで挑むタチウオ釣り

出船前、大塚貴汪氏からタチウオ釣りに関する説明を受ける参加者たち

7月21日、ライトタックルの提唱者としても知られているプロアングラーの大塚貴汪氏を講師に招いて、タチウオを対象とした船釣りビギナー教室が千住大橋(東京・荒川区)の船宿入舟で開催された。集合時刻の朝6時15分に参加者全員が船着き場に揃ったところで、大塚氏から仕掛けやアタリの取り方などのレクチャーがあった。この時期のタチウオは10~20mの浅い水深で釣れるのが特徴で、ライトタックルで狙うには絶好のシーズンとのことだ。この日集まった参加者は、タチウオ釣りの経験が浅いビギナーや、初挑戦の人が入り混じり、実に様々。熱心に大塚氏の説明に耳を傾け、期待に胸を躍らせているようであった。

ライトタックルでは、2m前後で7:3調子の沖釣り用ロッドと小型両軸リールの組み合わせがスタンダード。仕掛けは、PEラインの0.8号前後の道糸を使用し、1.5mの6号ハリスに1号のタチウオ用針1本を付けて、30号のオモリが付いたL字型天秤にセットする。エサは、冷凍されていたサンマの切り身を、半解凍の状態まで溶かしてから使用するとよいとのこと。完全に解凍してしまうと食い込みが悪くなるそうだ。

タチウオ釣り用に用意された船宿推薦の仕掛け

エサのサンマ切り身は写真のように針に指す

アワセのタイミングが難しい!

この日の釣りは、東京湾の入り口付近にあたる内房の大貫沖からスタートした。ポイントに到着すると、船長からタチウオの泳ぐタナ(水深)を知らせるアナウンスが流れる。タチウオ釣りでは、指示された水深よりも少しだけ深くに仕掛けを沈ませてから、ゆっくりと巻き上げてタチウオを誘うのだ。この釣りのコツは、アタリがあってもすぐには合わせずに、魚が針をくわえて竿を絞り込むのを待ってから、魚を乗せる感じで竿をあおって合わせること。タチウオは、エサを少しずつかじってゆくので、最初のアタリで合わせてしまうと針掛かりしないそうだ。

2m前後のライトタックル用ロッドでタチウオに挑む参加者たち

早速、仕掛けを投入して釣り始める参加者たち。最初のポイントは、水面から5mという浅いタナだったので、始まってすぐにタチウオを釣り上げる人もいた。しかし、どのタイミングで合わせて良いのか分からず、アタリがあっても針掛かりしなかったり、エサを取られてしまう人も多い。また、いつアタリがあったのか分からないまま、タチウオの鋭い歯でハリスを切られてしまうこともある。こうした合わせるタイミングの見極めやアタリの取り方がタチウオとの駆け引きとなって、釣り人をアツくさせるのだ。

始まって早々にタチウオを釣り上げた参加者もいた