色と低ノイズで勝負できる

S100FSの価格はおおむね10万円弱。低価格の一眼レフとほぼ同等か、やや高いぐらいの値段だ。レンズ一体式のカメラとしてはかなり高いほうだ。しかし、S100FSの低ノイズと色再現を見てしまうと、この値段は妥当か、もしくはお買い得な感じだと思えてくる。

もちろん弱点がないわけではなくて、その代表は制限が多くかかることだろう。例えばダイナミックレンジを広げると最低感度が上がってしまうことや、絞りが実質F8までしか使えないことなどだ。逆にいえば、それだけF100FSは突き詰めてギリギリまで作ってあるということで、すごいことだと思う。

S100FSを使っていてずっと感じたのは、富士フイルムのガッツというか、心意気のようなものだった。「色と画質で負けるものか」という強い想いがあふれている。一眼レフのオリジナルボディを持たないメーカーとして、やりたかったことをぜんぶ詰め込んだ1台になっている。

日に透けるチューリップの花びらが柔らかく表現できた
11M(3840×2880)+Fine / 92.6mm(365mm相当) / 絞り優先AE、+0.3EV補正(F5.2、1/300秒) / ISO 200 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:200%
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ダイナミックレンジ200%まで拡大。プラス補正でも空の階調が残っている
11M(3840×2880)+Fine / 22.2mm(88mm相当) / 絞り優先AE、+0.7EV補正(F4.5、1/350秒) / ISO 200 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:200%
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コンテナの錆など細かい所まで解像している。ちょっとオレンジがキツいだろうか
11M(3840×2880)+Fine / 101.5mm(400mm相当) / 絞り優先AE、-0.3EV補正(F6.4、1/1700秒) / ISO 400 / WB:オート / Velvia
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青空とカラフルな観覧車がとてもいい。ベルビア向きの被写体だ
11M(3840×2880)+Fine / 101.5mm(400mm相当) / 絞り優先AE、-0.3EV補正(F6.4/1100秒) / ISO 400 / WB:オート / Velvia
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しっとりとした牡丹の花びらが表現され、空にも階調が残っている
11M(3840×2880)+Fine / 24.8mm(98mm相当) / 絞り優先AE・マクロモード、+1.3EV補正(F3.8/180秒) / ISO 400 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:オート
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シャッタースピードは噴水の水を止めるには充分な速さ
11M(3840×2880)+Fine / 33.2mm(131mm相当) / シャッタースピード優先AE(F4、5/640秒) / ISO 100 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:100%
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マクロモードで寄っても堂々としていた猫。白と黒の毛どちらにも階調が残っている
11M(3840×2880)+Fine / 35.2mm(139mm相当) / 絞り優先AE・マクロモード(F4、1/105秒) / ISO 100 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:オート
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AFはそこそこ早いので、スナップ撮影でもシャッターチャンスを逃すことなく撮影できる
11M(3840×2880)+Fine / 9.1mm(36mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/480秒) / ISO 100 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:100%
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風車の暗部も持ち上がり自然な階調で表現された
11M(3840×2880)+Fine / 7.1mm(28mm相当) / 絞り優先AE、-0.3EV補正(F8.1/1000秒) / ISO 400 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:400%
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わざと-1EV補正してアンダーで撮影。極端な露出補正でもきちんと絵を作ってくれる
11M(3840×2880)+Fine / 7.1mm(28mm相当) / 絞り優先AE、-1EV補正(F5.6/320秒) / ISO 100 / WB:オート / PROVIA / Dレンジ:オート
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花を見上げるような構図は、マルチアングル液晶が役立つ
11M(3840×2880)+Fine / 7.1mm(28mm相当) / 絞り優先AE・マクロモード、+0.3EV補正(F2.8/2000秒) / ISO 200 / WB:オート / Velvia
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モデル:新井るみ子
作例撮影・レポート:加藤真貴子(WINDY Co.)