次は、大澤隆氏が日本語版出版の経緯をコメント。「本書(フランス語版)を最初に読んだとき、サヴォア時代の愛情あふれる家族との食事風景に感銘を受けました」。豊かな自然の中で自然の素材を生かした料理をつくり続ける家族がいて、そういった日々を経たからこそ現在のギィ・マルタン氏があるのだと感じたという。

レシピ部分の翻訳を担当した大澤晴美氏は、マルタン氏とは18年に及ぶ付き合い。同書のレシピは細かくつくり方を表記したレストランの厨房用レシピとなっており、現場でも十分通用する内容に仕上げている。マルタン氏はオリジナルのレシピを積極的に公開し、次世代のシェフらとレシピを分かち合うことを大切にしている。同書の中の40のレシピも、次の世代へ継承していきたいという想いから盛り込まれた。

また記者会見には、ル・グラン・ヴェフールと提携している大阪のフランス料理店「ル ポンド シエル」総支配人・駒井正義氏も登場。「ギィとは共にカラオケに行く仲です。私はビートルズ、ギィがローリングストーンズを歌い、3時間はマイクを離さないんですよ」とシェフのお茶目な一面を話してくれた。

両端に座ってるのが翻訳を担当した大澤隆・晴美夫妻。夫婦共にマルタン氏とは友人関係にあるという

シャンパンと共にいただくガラ・ディナー

記者発表後は、いよいよガラ・ディナーの時間。メイン料理「ブレス産鳩肉の『レーニエ公三世』風」など、ル・グラン・ヴェフールの伝統の味にマルタン氏が現代性を盛り込んだ料理が登場。また今回はシャンパーニュ・テタンジェの協賛イベントとなっており、4種類のシャンパンとともにコースディナーが進められた。

ガラ・ディナー風景

~ガラ・ディナー~
「トピナンブールのブイヨン ラスエルハヌートのスパイス風味」
「毛蟹とレタスのジュレ仕立て イタリアンパセリの香り シードルビネガー風味の黄ズッキーニを合わせて」
「オーブンで丁寧に火を入れたブルターニュ産オマール 豚足とピキージョのジュレとともに ゴマと塩漬けレモンの香りを纏ったホウレン草のジュ」
「ブレス産鳩肉の『レーニエ公三世』風」
「栗とカボチャのムース 胡椒風味のレモンソルベとマロングラッセ ノワゼットチュイルにのせて マンダリンオレンジとセルフィーユの香り」
「チョコレートの贅沢な宝石箱仕立て ブラッドオレンジとルビーグレープフルーツ風味」
ミニャルディーズ
コーヒー

シャンパーニュ
「コント・ドゥ・シャンパーニュ"ブランドブラン"1998年」
「プレリュード グラン・クリュ」
「ブリュット・ミレジメ 2000年」
「キュヴェ・プレスティージュ・ロゼ」

「トピナンブールのブイヨン ラスエルハヌートのスパイス風味」

「毛蟹とレタスのジュレ仕立て イタリアンパセリの香り シードルビネガー風味の黄ズッキーニを合わせて」

「オーブンで丁寧に火を入れたブルターニュ産オマール 豚足とピキージョのジュレとともに ゴマと塩漬けレモンの香りを纏ったホウレン草のジュ」

「ブレス産鳩肉の『レーニエ公三世』風」

「栗とカボチャのムース 胡椒風味のレモンソルベとマロングラッセ ノワゼットチュイルにのせて マンダリンオレンジとセルフィーユの香り」

「チョコレートの贅沢な宝石箱仕立て ブラッドオレンジとルビーグレープフルーツ風味」

ミニャルディーズ

今回のガラ・ディナーは、料理・飲み物込みで3万円。出席者は、日本にいながらにしてル・グラン・ヴェフールの味が楽しめる貴重な機会を堪能した様子だった。今回のイベントで、東京會舘とル・グラン・ヴェフールがこれまで以上に強い絆で結ばれたに違いない。

ギィ・マルタン
1957年、フランス・サヴォア地方生まれ。独学で料理を学び、1985年には「シャトー・ディヴォンヌ」でミシュラン1つ星、1990年2つ星を獲得。翌年「ル・グラン・ヴェフール」の料理長に就任し、2000年に3つ星を獲得した。2001年、世界料理芸術協会が選ぶ「フランス料理の最優秀シェフ7人」に選出される。2002年には、エールフランス航空の日本就航50周年を記念してビジネス・ファーストクラスの食事を監修。2003年、シェフとしての業績や社会貢献が評価され、レジオン・ドヌール勲章を受章した。2005年愛知万博では、フランス館迎賓レストラン担当シェフに。シラク大統領(当時)ら、世界のVIPを迎えた。