芝居への想いを強くした三木聡作品への出演

小さい頃は「できるものではないというか、ただ見るもの」として存在していた芝居の世界。そこに足を踏み入れ、女優としての活動をスタートさせた彼女にとって、もっとも嬉しかったことのひとつが三木聡監督の『帰ってきた時効警察』への出演。以前、同監督の『東京少女 臭いものには蓋の日』に出演したときは納得の行く演技ができず「もう呼ばれないだろう」と思っていたとか。

「もうダメだろうなってしょんぼりしてました。でも同時に、あまりにもできなかったので、また声をかけてもらえるようなお芝居ができるようになりたい! って思いを強くしたのもそのときでした。だから『時効警察』が決まったときは本当にうれしかったですね。『えっ、わたしどこに入れるんですか? 何をしに入るんですか?』って。そしたら、のほほんとした我が道を行く役(真加出)で。大好きな現場でしたね。よくみんなに変な子だねって言われてましたけど。麻生(久美子)さんには『思考が若年寄だよね、おばあちゃんみたい』って表現されてました。『休日は何してる?』って聞かれて『散歩です』とか。『何が好き?』『おにぎりです』、『甘いものは好きじゃないの?』『和菓子の方がいいです。干し芋が好きです』って。そういうことをいっぱい言っていたので」

そんな渋い一面は、仕事を離れても随所に見られる。実は大の懐メロ好きであるため「どの年代の人とカラオケに行っても楽しめます」と豪語する。そのきっかけも、山口百恵が『プレイバックPart2』を歌っている姿にしびれてベスト盤を借りたこと、と、至ってシンプルかつ素直。

「『水10! ワンナイ R&R』で、DonDokoDonの山口智充さんが懐メロを歌ってくれるコントがあったんですね。小阪明子さんの『あなた』とかさだまさしさんの『秋桜』とかを山口さんの素晴らしい歌声とともに名曲をいろいろ聴いていて、昔の曲っていいのいっぱいあるじゃんと思って。その後、高校生になってからフォークソングを聴くようになりました。アコースティックギターの音が好きで、サイモン&ガーファンクルとかを聴きつつ今に至る、って感じですね。あ、でも、百恵さんと同時にそのときに流行っている歌も聴いてるんですよ」