文書管理を効率的な方法で進めていますか?文書管理は、方法を手順化して徹底することが重要です。この記事では、文書管理の主な方法と、管理方法のルール化手順、文書管理システムのメリットとおすすめ製品について解説します。文書管理方法が定まっていない場合は、ぜひ参考にしてみてください。
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文書管理方法を改善して業務効率の改善を!
文書管理方法の改善はなぜ重要なのでしょうか。そのもっとも大きな理由は、文書に関する日常業務の効率が劇的に改善できるためです。
1、文書管理方法のルール化により書類紛失リスク低減
文書管理のルール化は、紙文書でも電子文書でも重要です。ルール化することで、必要なときに書類をすぐに取り出せ、紛失リスクも低減できます。
2、ペーパーレス化による業務効率化
紙文書を電子文書にすることによって、業務効率化が可能です。例えば文書の修正作業の場合、電子文書なら一部を修正するだけで済むため、紙の無駄も作業時間も削減可能です。
承認処理も、ペーパーレス化による業務効率が可能な業務です。例えば承認者が外出しがちな場合は、紙文書だと承認処理がそこで滞ってしまい、スムーズに進まないということもあるでしょう。電子文書にして社外からも利用できる文書管理システムを利用すれば、承認処理にかかる時間は大幅に短縮できます。
文書管理の主な方法(紙・電子)
基本的に、文書管理方法は電子文書化するシステムを導入することがおすすめですが、紙文書でも必要となる文書管理の主な方法を、紙文書と電子文書に分けて紹介します。
1、紙文書の管理方法
紙文書の管理方法は、基本的にファイリングを工夫して行います。ファイリング方法をいくつか紹介しますので、自社に向いている方法をお試しください。
方法の名称 | やり方 |
---|---|
バーチカル(垂直)ファイリング | クリアファイルや紙のファイリングフォルダなどを利用して、同じフォルダをたくさん作って引き出し式キャビネットに立てて保管。 |
バインダー(簿冊)ファイリング | 厚みのあるバインダーや厚型ファイルなどにファイルを閉じこみ、棚式のキャビネットに保管。 |
ボックスファイリング | クリアファイルや紙のファイリングフォルダをファイルボックスで分類して保管。 |
バーチカルファイリングとボックスファイリングは似た文書管理方法です。書類単位でクリアファイルや紙のファイリングフォルダを使い、紙文書を綴じこまないため、取り出しやすい点がメリットです。ただ、紛失しやすいというデメリットがあります。
分類は引き出し内の仕切りやボックスをうまく活用して、年月日やファイルの種類がひと目見てわかるようにします。
簿冊式ファイリングは、背見出しのある厚みのあるファイリング用品を使用して、紙文書を種類別に綴じこむ方法です。背見出しに文書の種類や年月日、インデックスなど、綴じこんだ文書が何かがすぐにわかる情報を記載します。保管場所は本棚のようなタイプのキャビネットが一般的です。
検索性が高い紙文書の管理方法ですが、ファイリングに手間がかかり、場所も取るというデメリットもあります。
2、電子文書の管理方法
電子文書の管理方法は、ファイルサーバーを利用した方法と、文書管理システムを利用する方法の2種類があります。
ファイルサーバーを利用する方法では、全社用のファイルサーバー・部門ごとのファイルサーバーなど運用範囲を決めて設置します。一定のルールでフォルダを作成して文書を格納することで管理し、OSのアクセス制御や検索機能を使って、閲覧範囲の制限や文書の検索などを行います。
文書管理システムは、全社統一で導入し、アクセス制御機能で閲覧・編集権限の管理を行います。フォルダや索引などのルール化が必要な点はファイルサーバーによる管理と同じです。
ファイルサーバーはコストをかけず手軽に電子文書を管理できますが、保管期限の制御が難しく、文書の履歴管理も難しい点がネックです。文書管理システムは、保管期限の設定や版管理の機能があるため電子文書の管理に求められる機能はすべて備わっています。ただし、コストがかかる点はデメリットです。
法定保存文書の管理や利便性などを考えると、将来的には文書管理システムをつかった文書管理方法を検討したいところです。いずれの文書管理方法を採用するにしても、文書管理のルール化は必要です。次に、ルール化の手順についても確認しましょう。
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文書管理方法のルール化手順7ステップ
文書管理方法のルール化は、以下の7ステップで進めると効率がよくおすすめです。各ステップについて順番に説明します。
1、文書の分類方法を明確にする
まずは、文書の基本的な分類方法を決定します。方法としては、「割り付け式」と積み上げ式の2種類があるので、どちらが適切か検討しましょう。
「割り付け式」は、職務分析をして大分類→中分類→小分類の順番にトップダウンで分類を決める方式です。分類には管理番号を付けて文書管理表を作成し、各文書にも個別の番号を割り振ります。
「積み上げ式」は、現物の文書から小分類→中分類→大分類の順番に積み上げて、ボトムアップで文書管理をする方式です。
「割り付け式」は現物の文書にフィットしないケースもあるため、NPO団体の「行政文書管理改善機構」は公文書管理の方法に積み上げ方式を採用しています。
2、文書種別による保存期間を定める
次に、文書種別によって保存期間を定めます。法定保存文書は保存期間が決まっていますが、その他の文書についても、保存期間を定めて整理しましょう。
3、文書の保管方法を決める(紙・電子)
文書の保管方法として、紙文書にするか電子文書にするかを決めます。基本的には省スペースで検索性の高い電子文書での保管がおすすめです。
過去の紙文書が膨大で電子化が大変な場合は、OCR機能付きの文書管理システムの導入や、アウトソーシングで紙文書の電子データに置き換えることもできます。
4、文書管理の仕組みを決める(システム化)
文書管理の基本的な事柄について決めた後は、文書管理の仕組みを決めます。紙文書の場合は、文書管理台帳を作成して、以下の項目を管理するようにします。
項目名 | 内容 |
---|---|
分類名 | 文書の分類(大分類・中分類・小分類までを記載) |
分類の管理番号 | 分類に付与された管理番号 |
文書名 | 文書の名称 |
文書の管理番号 | 文書の管理番号 |
保管場所 | 文書を保管している場所(引き出しやキャビネットなど実際の保管場所と結びつくようにしておく) |
作成者 | 文書を作成した担当の名前(必要に応じて従業員番号も) |
作成日 | 文書の作成年月日 |
保管期間 | 文書の種類によって定められた保管期間 |
保管期間満了日 | 保管期間が満了となる年月日 |
電子文書の場合、紙文書で列挙した管理項目は標準で揃っているはずなので、特にここで作業をする必要はありません。
5、文書管理番号のルール化
文書の分類について管理番号の付与ルールを決めましたが、ここで文書そのものの管理番号をルール化しましょう。文書が一意となる(1つに決まる)番号になるようなナンバリングが重要です。一例としては、「文書分類の管理番号+作成年月日+登録順」などが挙げられます。
6、基本ルールを策定
ここまで決めたら、基本ルールとして文書の作成・保管・廃棄の基本手順を策定します。紙文書の場合、特に保管ルールは、文書を活用しやすくする工夫が必要です。保管場所の配列方法、引き出しやキャビネットのインデックス、背見出しに記載する内容もルール化しましょう。
7、部署別のルールを策定
部署によって、文書の便利な分類方法は異なります。営業部門なら顧客別、販売部門なら商品の種類別、IT開発部門ならプロジェクト別での文書管理が便利です。標準の分類方法は提示する必要がありますが、部署別にルールを策定した方が良い部分は切り分けて自由にルール化できる仕組みを整えます。
文書管理のルール化をする際、知っておきたいポイントがいくつかあるので次で説明します。
文書管理方法を決める際知っておきたい3つのポイント
文書管理方法を決める際、知っておかなければならないことを3点紹介します。
1、文書のライフサイクル
文書のライフサイクルは、「文書の作成・発生→処理→保管→保存→廃棄」の5段階に分かれます。文書は、自社で作成するか、業務上受け取ることで発生し、承認処理や入金処理など、文書によって必要な処理を行います。
「保管」とは今年度から前年度までの文書または常に使う文書を指し、よく利用する文書の保管に用いる言葉です。「保存」とは、前年度よりも古く、廃棄まで保存する文書のことです。一般的に「保管」する文書は活用の頻度が高く、「保存」する文書は活用の頻度が下がるため、保管場所を変えると利便性が高くなります。
2、法定保存文書と保存期間
企業で扱うことの多い法定保存文書と保存期間の例として、人事系の法定保存文書の種類と保存期間を紹介します。
保存期間 | 文書の種類(人事系の例) |
---|---|
2年 | 健康保険・厚生年金保険に関する書類 |
3年 | 雇入れ・解雇・退職に関する書類、災害補償に関する書類 |
4年 | 雇用保険の被保険者に関する書類、労働者名簿 |
5年 | 従業員の身元保証書 |
7年 | 取引に関する帳簿・書類、給与所得者の扶養控除等申告書など源泉徴収関係書類 |
10年 | 株主総会議事録、取締役会議事録 |
永久保存 | 定款、株主名簿 |
実際に自社で扱う文書のうち、法定保存文書と保存期間の整理は必ず行いましょう。
3、e-文書法と電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は1998年施行、e-文書法は2005年施行の法律で、どちらも文書スキャンによる電子化保存を認めた法律です。電子帳簿保存法は国税関係の帳簿など、e-文書法は法定保存文書すべてを対象としています。
e-文書法は複数の法律に対する総称なので、確認する際は以下を参考にしてください。
- 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)
- 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年法律第150号)
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文書管理方法を決める際の注意点3つ
文書管理方法を決める際に注意したい点を3つ紹介します。
1、文書管理の目的を全社で共有
文書管理の目的を全社で共有し、実施しなくては意味がありません。従業員に対する周知徹底を定期的に行うことも検討しましょう。
2、現状の社内文書を整理・棚卸しする
文書の分類ルールを決めるには、現状の社内文書に対する棚卸作業が必須です。現状を把握した上で、最適な管理方法を考えましょう。
3、フォルダを細分化し過ぎない
フォルダを細分化しすぎると、フォルダを探すのに時間がかかり、業務効率化のはずが本末転倒となります。大分類・中分類・小分類で収まるように検討しましょう。
文書管理システムを取り入れた文書管理方法のメリット3つ
文書システムを取り入れて文書管理を行うと、さまざまな面でメリットがあります。主なメリットとして3点を紹介します。
1、ライフサイクル管理がしやすい
文書管理システムのほとんどはライフサイクル管理がしやすいよう、文書やフォルダの属性を整理して提供しています。あまり利用しない電子文書は自動的にアーカイブ化してディスク容量を節約する機能を提供する製品もあり、非常に便利です。
2、保存期間を設定して自動的に処理できる
紙文書では、文書保存期間の確認・廃棄作業に手間がかかります。文書管理システムなら、文書登録時に保存期間を設定するだけで、廃棄作業は自動化できます。
3、全文検索などにより文書を探す手間が省け業務効率化できる
文書管理システムは、全文検索や属性検索など、高度な検索により、必要な文書を瞬時に発見できます。紙文書だと保管場所まで行って実際に探す手間がかかりますが、文書管理システムなら数秒で必要な文書にアクセス可能です。
文書管理システムのおすすめ製品3選
文書管理システムのおすすめ製品を3製品紹介します。
1、SPA
紙文書が大量にあり、自社で電子化するのが大変だという企業におすすめの文書管理システム。高度なOCR機能で自動的に読み取りから分類・格納までを行えます。版管理や保存期間管理など、文書管理に必要な機能も網羅したオールインワンタイプです。
2、FileBlog (ファイルブログ)
すでにファイルサーバーで運用している文書管理を、そのまま利用できる文書管理システム。Webベースで利用できるほか、優れた全文検索機能が魅力です。
3、楽々Document Plus
紙文書を、社内にある複合機を利用してスキャニングして文書管理するシステム。オンプレミス型のWebアプリケーションとして使えるため、社外からももアクセスでできます。
文書管理方法を改善して業務全体の効率化を目指そう
文書管理方法を改善することで、文書関連業務や承認処理の効率化が可能です。現在の文書管理に問題があると感じている場合は、ぜひ現状の文書と管理方法の問題点を洗い出し、自社に最適な文書管理方法を検討しましょう。
文書管理システムを導入する場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
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