請求書管理の基本と効率化の方法とは?電子化&システム化がおすすめ!

Web請求書・クラウド請求書

業務を進める中で、取引先とやり取りをする請求書。発行・入金・整理・保管とさまざまな処理が必要で、手間がかかるという印象を持つ人もいるでしょう。この記事では、請求書の管理について、管理の基本的な考え方や電子データのまま管理する方法についてまとめるとともに、請求書管理システムのメリットとおすすめ製品について紹介します。

請求書は管理が必要

請求書は入出金に必要となる書類です。入金処理や請求などの処理に必要で、確実に処理しなければならないため、どういう処理状況かをすぐに確認できるように整理しておく必要があります。

1、請求書の保存期間

請求書の処理が完了した後も、請求書を廃棄することはできません。請求書には一定期間の保管が求められており、その期間中は管理が必要です。

請求書の保存期間は、個人事業主の場合は5年、法人なら7年(欠損金が発生した場合は10年)と定められています。保存期間のカウントは、個人事業主なら確定申告をした日から、法人なら法人税の申告からカウントしてください。請求書の発行日ではないため注意しましょう。

2、請求書は自社発行と受取の2種類

請求書は、自社が発行して支払いを求める場合と、取引先から受け取り入金処理をする場合の2種類に分かれます。それぞれ処理が違うため、管理する場合は2種類を分けて管理する方向で検討しましょう。

では、請求書管理を行うには、どのように進めればよいでしょうか。

請求書管理の基本

請求書を管理するための基本的な考え方と手順について、順番に解説します。

1、状態管理が重要

請求書は、状態管理が重要です。請求書種別と対応する請求書の状態を、以下のように整理します。

請求書種別 状態
自社発行 請求中、入金日超過、入金確認済
受取 請求内容未確認、請求内容確認済、支払済

自社発行の請求書は、請求先が入金したかどうかでステータスが変わります。受け取った請求書は、請求内容の確認と支払いを済ませたかどうかがステータス変更のトリガーです。処理が完了した請求書は、法定期限まで保管します。

また、請求書分類する際は、「請求日」をキーにすることをおすすめします。売上や経費計上のタイミングは、商品のやり取りが発生した日であり、請求日をキーにしたほうが便利なためです。

2、自社発行の請求書の管理

自社発行の請求書は、発行した後入金日を過ぎるまでは「請求中」というステータスで取りまとめておきます。

1 入金日超過と入金確認済に分類

入金日を超過した請求書から順番に入金確認をして、入金有無によって「入金日超過」と「入金確認済」に振り分けましょう。入金確認済の請求書については、入金日を記入しておくと便利です。

2 入金済請求書の管理方法

入金済請求書は、取引先別または発行日順に取りまとめて保管します。取引先が多い場合は取引先別、そうでない場合は発行日順で取りまとめると便利です。自社に向いている取りまとめ方法を決め、後からすぐに確認しやすい状態で保管しましょう。

3、受け取った請求書の管理

一方、受け取った請求書は、請求内容に相違があれば内容の再確認が必要なため、請求内容を確認したかどうかでステータス分けが必要です。請求書の内容未確認のままなら「請求内容未確認」、確認済みで後は支払うだけの状態になったら「請求内容確認済」として仕分けます。

1 請求書通りに支払った後は支払済に分類

請求書に従い支払った請求書は「支払済」のステータスに移行させます。支払済であることがひと目で分かるようチェックをつけ、二重払いなどのミスを防ぎましょう。

2 支払済請求書の管理方法

支払済請求書も、基本的には請求書の発行日で取りまとめます。さらに、支払済の領収書とともに振込証明書を添付すると、後から見直しが必要な場合も調査しやすいのでおすすめです。

4、請求書は電子データでの保管が便利

事業が成長していくと、請求書もどんどん増加します。請求書を紙で管理したままだと、後から見直しが発生する場合などの手間が非常に大変になるなどの弊害も出るでしょう。また、保管場所にもコストがかかります。

昨今では請求書を電子データでやり取りする企業も増えているため、ペーパーレスでの保管を認める法律が制定されました。その法律とは「電子帳簿保存法」と「e-文書法」です。これらの法律に則って請求書を電子化・保管する具体的な方法について、次に説明します。

請求書を電子データのまま保管する方法

国税に関する書類のひとつである請求書は、「電子帳簿保存法」に従って電子化・保管する必要があります。請求書を電子化する具体的な方法について見ていきましょう。

1、電子帳簿保存法に規定された方法で申請が必要

請求書を電子化する場合、まず管轄区の税務署長へ申請し、承認を得なければなりません。申請に必要な書類は、承認申請書(帳簿と書類で別フォーマット)と、システムの概要などを示した添付書類です。

申請期限は、書類の場合は保存を開始する日の3か月前の日までです。1月1日から開始するためには、前年の9月30日までに承認申請書を提出しなければなりません。

税務署長より承認を受ければ、所定の要件を満たした管理を行えます。

2、請求書を電子データのまま管理するために求められる要件

請求書を電子データのまま管理するために求められる要件は以下の通りです。

  • システム関係書類(システムの概要書・仕様書・操作説明書など)の備え付け
  • 請求書の保存場所にはパソコンやプリンタ、操作マニュアルなどを備え付け、記録内容をすぐに出力できる状態に整備
  • 取引年月日、勘定項目、取引金額その他書類の記録項目で検索可能な状態
  • 日付や金額などは範囲指定での検索も行えること

請求書を電子データのまま保管する要件を満たすには、検索のしやすさが求められます。この要件を満たすためには、請求書管理システムのようなITシステムの導入が必要です。請求書管理システムを選ぶ際のポイントについては、以降で解説します。

請求書管理システムを選ぶポイント6つ

請求書管理システムを選ぶポイントは以下の6点です。

1、コストが予算内かどうか

請求書管理システムにかけられる予算がどれくらいかを見積もり、導入・運用などにかかるコストを計算して予算内に収まっているかどうかを確認しましょう。

基本的にはクラウドサービスとして提供される請求書管理システムなら低コストです。ただ、利用人数が多い場合はパッケージソフトのほうがよいケースもあるため、総コストの試算をして比較検討しましょう。

2、カスタマイズ性

請求書管理システムでのカスタマイズ性は、主に請求書のフォーマット設定に柔軟性があるかどうかがポイントになります。自社がこれまで使用していたフォーマットがそのまま使えるかどうかを確認しましょう。

3、セキュリティ面

クラウド型のシステムを選ぶ場合、サービス提供者の用意した環境に請求書データを保存するため、セキュリティ面でのチェックが必要です。サーバを設置しているデータセンターのセキュリティレベルは最低限確認・比較しましょう。

4、外部システムとの連携

すでに会計ソフトやCRMなど他の基幹システムを導入している場合、データの連携が可能な仕組みがあるかを確認しましょう。外部システムと連携できる仕組みが用意されていれば、データを手入力する必要がなくなります。外部システムとデータをやり取りする仕組みとしては、データのCSV出力が有名です。

5、サポート体制

請求書管理システムを導入してからしばらくは、操作に慣れず、サポートが必要になります。導入支援サービスや研修など、サポート系のサービスが充実している製品なら安心です。また、障害発生時の対応時間も確認しましょう。自社の営業時間とサポート対応時間にズレがあると、問い合わせや対応が遅れがちになります。

6、提供形態

請求書管理システムの提供形態は、主にオンプレミス型とクラウド型に分かれます。

オンプレミス型は自社環境にサーバを設置し、システムを構築する方法です。初期費用は高額になりますが、セキュリティ面では自社環境と同等のレベルで、カスタマイズしやすいというメリットがあります。

クラウド型は、サービス提供者と契約して、サービス提供者が用意した環境を利用します。環境構築の手間がなく、初期費用を低く抑えられ、短期間で導入できる点がメリットです。

近年では、低コストで手軽に導入できるというメリットから、クラウド型の請求書管理サービスを選ぶ企業が増えています。Web請求書・クラウド請求書システムを選ぶメリットについて、さらに深く掘り下げます。

Web請求書・クラウド請求書システムのメリット6つ

Web請求書・クラウド請求書システムを利用するメリットは以下の6点です。

1、インターネット回線があれば場所や時間に縛られず使える

Web請求書・クラウド請求書システムは、インターネット回線さえある環境なら、場所や時間の制約を受けることなく使えます。出張先やテレワーク勤務者も使えるので、多様な働き方にも対応できます。

2、検索機能が便利

システム化することで、紙の請求書を探すよりも時間をかけず、検索機能を使って必要な請求書を参照できるようになります。振込先の金融機関に出ていたとしても、システムにつないですぐに必要な請求書を検索可能です。検索条件も多く、顧客からの問い合わせですぐに請求書を探す必要があってもすぐに対応できます。

3、請求書業務にかかっていたコストを削減

電子データの請求書をやり取りすることで、印刷する紙代や郵送代などのコストを削減できます。さらにクラウドサービスはオンプレミス型に比べて低コストなので、請求書業務自体のコスト低減にも役立ちます。

4、請求書の紛失防止

紙の請求書は、郵送や処理の過程で紛失するリスクがあります。しかしシステム化によって取引先と電子データでやり取りする場合、紛失の心配はありません。メールの誤送信リスクもありますが、取引先のメールアドレスを登録する機能を活用することで、誤送信も防止できます。

5、他システムとの連携で何度も入力する手間が削減できる

他の基幹システムとの連携ができれば、システム間で連携したいデータを何度も入力する必要がなくなります。クラウド型の場合、シリーズで必要な基幹業務システムを組み合わせて使用できるため、システム連携も容易です。

6、クラウド型なら常に最新版が使える

クラウドサービスは、サービス提供者が運用しており、常に最新版が使え、運用コストがかからない点もメリットです。オンプレミス型の場合は、バージョンアップにもコストがかかってしまいます。

Web請求書・クラウド請求書システム導入時の注意点4つ

メリットの多いWeb請求書・クラウド請求書システムですが、導入時には注意したいこともいくつかあります。注意点を確認して、必要に応じて対応策を検討しましょう。

1、インターネット環境が必須

Web請求書・クラウド請求書システムは、インターネット環境が必須である点が弱みにもなります。インターネット環境がない店舗や事務所では、Web請求書・クラウド請求書システムが使えません。

また、通信障害やメンテナンスなどでインターネット回線が使えなくなると、システムにアクセスできず業務に支障が出ることもあります。その場合は、回線が復旧するまで請求書業務を止めるしかありません。

2、情報漏えいリスクへの対策が必要

Web請求書・クラウド請求書システムを利用する場合、インターネット回線を使ってデータをやり取りします。そのため企業としてできる限りのセキュリティ対策が必要です。システム利用時にSSL暗号化通信が使われるようになっているか、ファイアウォールやIPS/IDSといったセキュリティ製品の導入なども検討しましょう。

3、データ化する手間

紙の請求書を電子データ化したい場合、請求書をスキャナで取り込むなどの手間がかかります。膨大な紙の請求書をデータ化するとなるとかなりの手間です。過去の請求書をどこまででデー化するか、データ化する場合はアウトソーシングしたほうがいいのか、という検討も必要となります。

4、改ざんのリスク

電子データの請求書は、第三者による改ざんのリスクがあります。改ざんされていないことの証明として、タイムスタンプを入れるといった対策が取られている製品を選ぶと安心です。

Web請求書・クラウド請求書システムのおすすめ製品6選

おすすめのWeb請求書・クラウド請求書システムとして、6製品をピックアップしました。低コスト・多期間で請求書業務をシステム化したいとお考えの場合は、ぜひご検討ください。

1、BtoBプラットフォーム 請求書

BtoB(企業間取引)のプラットフォームとして使えるクラウド請求書サービス。請求書データを企業間でやり取りでき、請求書業務の完全ペーパーレス化を実現できます。取引先から送付されるさまざまな形式の請求書(PDF・その他電子データ・紙)も、一元管理できる機能もあります。

請求書の発行・管理の面だけではなく、請求書の承認ワークフロー機能や請求書を紙に出力して郵送する郵送代行機能も提供。請求書に関連する業務にも対応しており、本製品ひとつで請求書業務全体が効率化できます。

2、ナビエクスプレス

請求書だけでなく、発注書・明細書などさまざまな電子帳票を、Webからセキュアに送受信するクラウド型の電子帳票ソリューション。大量の請求書の取り扱いを得意とするシステムなので、比較的規模の大きい企業に適しています。

自社独自デザインのフォーマットを使えて他システムとの連携も可能、帳票データは自動的に配信される仕組みなので、誤送信ミスも防止できる仕組みです。

3、楽楽明細

請求書などの電子帳票をWebだけでなく、メール・郵送・FAXでも自動発行できる点が大きな特徴のクラウド型電子請求書発行システム。請求データおよび支払データをそのままシステムに取り込み、自動的に請求書などの帳票を発行する仕組みです。

帳票のレイアウトは自由で、郵送代行機能や取引先のメールアドレス収集機能もあります。また、既存システムとの連携もできるため、すでにお使いのシステムがある場合にも導入しやすい製品です。

4、Tovas

請求書や納品書などの帳票を自動的にWebで配信するクラウドサービス。電子ファイル・郵送・FAXの3タイプに対応しています。専任の担当者がついて、導入や運用のサポートを行う点が特徴で、導入に不安な面があっても心強い体制です。

また、セキュアな配信環境を整えている点も本製品を導入するメリットです。やり取りする帳票データはすべて暗号化し、ウイルスチェックを行います。また、第三者機関による高度な認証管理を行う情報トレーサビリティを提供。帳票データの改ざん防止機能も充実しているため、安心して利用できます。

5、INVOICE POST

請求書の受領に特化したクラウドサービス。請求書を代行受領し、電子データにして取りまとめ・保管までをワンストップで行うサービスです。紙・メール・システムからダウンロードしたPDF、いずれの形式でも受領できます。原本保管も代行し、原本の取り寄せにも対応しています。

特に請求書の受領数が多く、電子データだけでなく紙の請求書も多い企業に適した製品です。

6、SVF TransPrint

請求書や納品書などの発行・送付・管理をすべてクラウド上で行う請求書Web配信サービス。帳票をPDFファイルに変換してシステムにアップロードすると、PDFの内容を読み取り、相手先へ自動配信する仕組みです。従来と同様、紙書類の郵送代行も選択できます。

取引先は本システムにログインして、帳票をダウンロードするだけです。すべて電子データでのやり取りとして完結するため、ペーパーレス化を実現し、リアルタイムな帳票のやり取りが可能となります。

取引先にも本サービスを利用してもらうよう調整する手間はかかりますが、請求書や納品書関連業務の効率化ができるおすすめの商品です。

請求書管理は電子化・システム化の検討を

紙の請求書管理は、数が増えてくると取りまとめの手間・保管場所の確保問題・探し出す手間がかかる、といった問題があります。これらの問題を解決する方法のひとつが、請求書業務のシステム化です。特に、Web請求書・クラウド請求書サービスは、コストをかけずに請求書管理業務をシステム化できます。

Web請求書・クラウド請求書サービスは、製品ごとに特徴が異なるため、自社の要件に合致した製品を選びましょう。導入を検討される場合は、製品資料を入手し、比較検討する際の参考としてご活用ください。

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