請求書電子化のメリットとデメリットとは?気になる法律の問題も解説!

Web請求書・クラウド請求書

請求書の電子化は、オンラインで請求書のやり取りが行えるようになるため、業務効率化やコスト削減に役立つ有効な手段です。従来、企業間取引や業界によってフォーマットの異なる請求書は、なかなか電子化が進みませんでした。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により在宅勤務が推進されるにつれて、請求書の電子化も状況は変わりつつあります。この記事では、請求書の電子化に関して、法的な問題やメリット・デメリット、電子化に関する今後の動向などについて解説します。

請求書などを電子化するWeb請求書サービスとは

Web請求書サービスとは、請求書や明細書などの書類をPDF形式で電子化し、Web上で作成や閲覧などを可能とするサービスの総称です。請求書のフォーマットは自由に作成できるようになっており、必要に応じたフォーマットを用意できます。

紙ベースの請求書と比較すると、電子化された請求書は、紙・印刷コスト・郵送コストを削減でき、さらに経理処理上の手間も大幅に削減可能です。

Web請求書サービスで電子化した請求書の法的問題は大丈夫?

請求書は、取引に関する重要な書類のひとつです。これまで紙ベースが前提だった請求書を電子化して扱うことは、法的に問題とならないかは気になるポイントでしょう。電子化した請求書の取り扱いについて、法的にはどう解釈できるのかについてまとめました。

1、電子帳簿保存法の要件を満たせばOK

電子化した請求書の発行側は、特に法律の規定はなく問題は生じません。一方、請求書の受取側は、e-文書法と電子帳簿保存法に準じた保管方法が求められます。これまでに受け取った紙の請求書もスキャナで電子データとして保存したい場合には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 電子化したデータの保存を開始する3ヶ月前までに税務署へ申請
  • 電子文書の真実性を確保する
  • 電子文書の可視性を確保する

他にも要件はありますので、詳しくは国税庁の資料をご参照ください。

2、トラブル防止のため印鑑を押す

法律上、請求書に印鑑を押すという決まりはありません。ただし、会社印を押すことで、法律上その会社が請求書を発行したと推定されるため、法的な信頼度は増します。電子請求書を送付する際は、トラブル防止のため紙に印刷して押印してからスキャナで取り込む、という手順を踏むことも検討しましょう。

Web請求書サービスで請求書を電子化するメリット3つ

Web請求書サービスで請求書を電子化するメリットは以下の3点です。

  • コスト削減ができる
  • 業務効率化が行える
  • 保存体制の強化ができる

これらのメリットについて順番に解説します。

1、コスト削減ができる

Web請求書サービスを導入して、請求書のやり取りを電子化することで、さまざまな面でのコスト削減が可能です。

  • 請求書を印刷する紙代とインク代
  • 紙ベースの請求書を郵送する費用と郵送作業にかかる人件費
  • 紙ベースの請求書を運用する場合の保管場所にかかるコスト
  • 紙ベースの請求書を運用する場合にかかる人件費
  • 請求書にミスがあった場合の修正等にかかる人件費
  • 集計や経理に関する帳簿作成にかかる人件費

印刷する紙代とインク代、郵送代は目に見えて分かるコストですが、紙ベースの請求書の発送など一連の業務にかかる人件費も、コスト削減効果が大きい費用です。

2、業務効率化が行える

紙ベースの請求書を印刷して封筒に入れ、郵送する手間がなくなるため、請求書を毎月多く発行している会社にとっては大きな業務効率化が期待できます。

コスト削減の部分でも触れましたが、請求書の数字を集計して帳簿作成を行う部分も大きく効率化できる作業です。電子化することにより自動でデータを取り込み、自動で仕分けするため、手入力による人的ミスも発生しにくくなります。

3、保存体制の強化ができる

請求書を電子データにすると、データをバックアップするなどBCP対策が可能になり、保存体制の強化ができます。クラウドサービスなどを利用することで、所在地の異なる複数のサーバーに重要書類の電子データの分散管理も可能です。データの分散管理により、災害時の書類紛失などのリスクを低減できます。

Web請求書サービスで請求書を電子化するデメリット3つ

Web請求書サービスで請求書を電子化するデメリットは以下の3点です。

  • 電子化移行のハードルがある
  • インターネット環境が必要となる
  • 情報漏洩の恐れがある

これらのデメリットについても確認しておきましょう。

1、電子化移行のハードルがある

請求書を電子化すると、取引先にも電子化対応の依頼をしなければなりません。特に取引先が請求書の受取側となる場合、電子化に対応するためには法律に準じた保管方法が求められるため負担がかかります。このようなケースで取引先の理解を得るには、高いハードルがあります。

取引先に送信するため、取引先が多い場合は、請求先の担当者(もしくは部署)のメールアドレスを収集しなければならない点も大きな負担です。取引先がIT関連とは関わりの薄い業界の場合は、請求書の電子化そのものに心理的な抵抗がある場合もあります。

2、インターネット環境が必要となる

電子化した請求書を送付したくても、取引先にインターネット環境がなければ電子請求書のやり取りができません。基本的に、インターネット環境は全国にあるはずですが、災害などでインターネット通信ができない環境では、電子請求書のやり取りは不可能です。

3、情報漏洩の恐れがある

コンピューターウイルスや不正アクセスといったサイバー攻撃、電子請求書のダウンロードURLの誤送信など、情報漏洩のパターンは多種多様です。

Web請求書サービスで電子化した請求書は、紙ベースの請求書に比べて情報漏洩のリスクが高まります。そのため、Web請求書サービスを導入する場合、高いセキュリティを実現する対策を検討しなくてはなりません。

請求書の電子化は今後益々進む見通し

新型コロナウイルス感染症の影響により、デスクワークのテレワーク化が益々進んでいます。テレワークをよりスムーズに進めるためには、請求書の電子化が急務です。請求書のデジタル化について、昨今の動きをまとめました。

1、政府が請求書のデジタル化を推進

2020年7月29日の日経新聞では、政府とソフトウエア企業など約50社が、請求書のデータ仕様を統一するための協議を始めたことが報じられています。データ仕様の統一により、企業間で取り交わされる請求書の完全なデジタル化が可能となります。

電子インボイス推進協議会によると、電子インボイス(請求書)の国内標準仕様は、2021年6月末に初版の公開を目指しているとのことです。

2、インボイス制度の開始

電子インボイス推進協議会が2021年6月末に電子インボイスの国内標準仕様を公開しようとしている理由は、2023年10月開始予定のインボイス制度が関係します。

電子インボイス推進協議会は2022年の秋ごろに事業者が電子インボイスに対応したシステムを使用できる状態を目指しています。システムの開発には時間がかかるため、電子インボイスの国内標準仕様を先に策定しなければなりません。

インボイス制度とは正式名称を「適格請求書等保存方式」と言い、適格請求書などの保存を仕入税額控除の要件とする制度です。現在、消費税には10%と軽減税率の8%が混在しています。2種類の税率を正しく適用できているという証拠を残すために、2023年10月からインボイス制度が採用される予定です。

インボイス制度の適用により、紙ベースの請求書の処理はさらに煩雑化することが予測され、特に中小企業への影響が大きいといわれています。そのため、請求書を電子化して扱えるようにすることで、紙の請求書処理に関わる負担が軽減されるとみられています。

3、在宅勤務推進によるデジタル化の促進

請求書のフォーマットは、業界により多種多様です。そのため、なかなか統一化した書式にできず、電子化も滞っていたという経緯があります。しかし、先に述べた新型コロナウイルス感染症拡大での在宅勤務推進により、政府も請求書や領収書の電子化を積極的に推進中です。

請求書や領収書が統一フォーマットでデジタル化されれば、書類の発行者は請求書をデータで送信するので、郵送料や紙に出力するコストがかかりません。また、請求書の発行工数も削減できるため、発行者の人件費も大幅な節約が可能です。

書類の受取者は、システム上で自動仕訳および保存が可能になります。紙の請求書や領収書のファイリングも不要になり、検索も容易です。また、計算や財務諸表の作成も簡単になるため、経理処理の負担は大幅に削減されます。

Web請求書サービスを導入して請求書電子化を始めよう

Web請求書サービスを導入することで、請求書の電子化を開始できます。2023年10月のインボイス制度開始前には、請求書の電子化を推進してスムーズに新制度に移行できるよう準備する検討を始めてみてはいかがでしょうか。

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