アパートの建設費用の相場はいくら?内訳や自己資金についても解説

アパート経営は、広い土地を所有した人に人気の土地活用方法です。経済による影響を受けにくく、長期的に一定の収入を得られます。ただし、アパートの建設にはたくさんの費用が必要です。広さ・構造などによっては、思いのほか高額になってしまうかもしれません。

この記事ではアパートの建設費用について詳しく解説し、安く抑える方法を紹介します。また用意すべき自己資金額や建設会社の選び方についても説明します。アパート建設予定の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

アパート経営の基礎知識

アパート経営は、限られた資金で始められる不動産投資です。マンションよりも規模が小さく費用も安いため、他の投資に比べて安定していて長く継続しやすいため、初心者でも始めやすい不動産投資といえます。まずはそんなアパート経営にはどんな特徴があるのか、基礎知識をおさらいしてみましょう。

マンション経営より安く始められる不動産投資

アパート経営は、家賃を収益として受け取る不動産投資のひとつです。大家となってアパートを貸し出し、管理・運営して収入を得ます。

アパート経営は通常、アパート1棟を建設して運営するものです。同じような賃貸による不動産投資には、マンション経営もありますが、鉄筋コンクリート造などのマンション1棟を建設して運営するためには、大規模な工事と多額の資金が必要です。

一方で、価格の安い木造や軽量鉄骨造などのアパートであれば、比較的安い資金で経営を始められます。そのためアパート経営は、広い土地を所有している人に人気がある土地活用方法です。

不労所得の中でも収入が安定している

アパート経営で得る所得は、株式や投資信託で得る不労所得と比べると、変動が緩やかで安定しています。アパート経営は、空室を長引かせずに正常な経営が続けば収入が安定します。さらに病気やケガによる休職中や退職後でも、一定の収入を維持させることが可能です。

しかし株式投資や投資信託による収入は、市場の状況によって変動します。そのため運用がうまくいかない場合には収入が落ち込み、損失が発生する可能性もあります。

アパート経営を成功させるコツについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/9193

アパート建設費用は坪と構造で変わる

アパートの建設費用は坪単価と構造によって異なります。さらに建物の形状や間取りなどが坪単価に影響を与え、建設費用に差が出るため重要なポイントです。

そこで続いては、これらの坪単価の出し方と構造の違いについて解説します。

坪単価はどう決まる?

坪単価とは1坪あたりの建設費のことですが、次の計算式で算出します。

坪単価=アパートの本体価格÷坪数(延床面積)

一般的にアパートの坪単価は以下の内容に影響されます。

  • 構造
  • 建物の形状
  • 間取り
  • 規模
  • グレード
  • 階数
  • 建設場所

傾向として、アパートの構造は木造が鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも安く、建物の形状は正方形や長方形だと安くなります。さらに間取りは1Rや1Kよりも2DK以上、階数では3階建てよりも2階建てのほうが坪単価は安いです

グレードは内装や設備の仕様のことです。高品質な壁紙やフローリング素材、キッチン設備など、グレードの高いものを使用するほど坪単価は高くなります。

また、住宅密集地よりも郊外に建設するほうが坪単価は安くなり、建設中に工事用のトラックが横付けできるかなど、建設現場の道路状況も坪単価に影響します。

構造・工法の違いは?

アパートの構造には次のようなものがあります。

  • 木造
  • 鉄骨造(S造)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

木造は、昔から一般的な戸建て住宅を建てる際に使われることが多い構造です。小規模な2階建てアパートなどでも用いられ、自由な間取りを低コストで建てられるのが特徴です。

鉄骨造(S造)は骨組みに鋼材を使用して建設する構造で、耐震性を高めてシロアリ被害を少なくできます。軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類あり、鋼材の厚さが6mm未満は軽量鉄骨造で、6mm以上は重量鉄骨造です。

鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋の型枠にコンクリートを流し込んで造ります。中高層ビルを中心に用いられる構造ですが、耐久性・耐震性・耐火性などが高いことから、一般住宅やアパートでも用いられます。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造(S造)を組み合わせた構造です。骨組みの鋼材を鉄筋やコンクリートで補強するため頑丈で強い建物になり、10階建て以上のマンションなど規模の大きな建物に多く使われます

また、工法とは建設の工事方法のことです。アパートの工法には建設現場で施工する在来工法と、一定部分までは工場で作るプレハブ工法があり、通常プレハブ工法のほうが建設費用は安くなります。大手ハウスメーカーによる木造・鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)のアパートのほとんどが、プレハブ工法で建てられます。

アパート建設費用の相場

建設費用の金額と床面積を参考に、構造別の平均坪単価を算出すると次のようになります。

  • 木造:約57万円
  • 鉄骨造(S造):約76万円
  • 鉄筋コンクリート(RC造):約92万円
  • 鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造):約98万円

“参考:政府統計建築着工統計調査」(国土交通省)”

以下で平均坪単価をもとにした、床面積50坪・100坪のアパート建設費用の相場を紹介します。

床面積50坪のアパート

構造 建設費用の相場
木造 約2,850万円
鉄骨造(S造) 約3,800万円
鉄筋コンクリート(RC造) 約4,600万円
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造) 約4,900万円

床面積100坪のアパート

構造 建設費用の相場
木造 約5,700万円
鉄骨造(S造) 約7,600万円
鉄筋コンクリート(RC造) 約9,200万円
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造) 約9,800万円

※建設費用は、同じ床面積でもアパートの戸数や間取りによって違いが出るため、あくまでも参考にご覧ください

この構造別の建設費用相場を見ると、アパートは広くて構造が頑丈になるほど金額が高くなることが分かります。

アパート建設費用の内訳

アパートの建設費用は次のもので構成されています。

  • 本体工事費
  • 付帯工事費
  • その他諸経費

それぞれ詳しく見ていきましょう。

本体工事費

本体工事費は、建物そのものを構成している基礎・柱・壁・ドア・窓などの資材費や人件費などで、一般的にアパート建設費用の7~8割がこの本体工事費です。

耐久性・耐震性・耐火性などが高い構造の建物や、デザインにこだわった独自の外観や内装の場合いは、本体工事費が高額になります。

付帯工事費

アパートの本体以外で必要な工事にかかる費用が付帯工事費です。具体的には電気・ガス・給水・排水・換気・暖房・冷房など、生活に必要な設備の工事費用です。また古い家屋などの撤去や基礎補強工事、駐車場の塗装工事などの費用が含まれる場合もあります。

付帯工事費は、建設予定地の状態によって金額に差が出ます。高低差がある場合には整地・造成工事が必要で、さらにガス・給排水の配管が整っていない敷地には引き込み工事が必要です。

アパート設備のグレードによっても異なりますが、付帯工事費は通常、建設費用の1~2割を占めます。

その他諸経費

アパートの建設費用には、本体工事費や付帯工事費に含まれない諸経費もあります。主に手数料や税金など、工事以外で必要になる費用です。具体的にはアパートローンの手数料や火災保険料、不動産取得税や印紙税などです。

また地鎮祭や上棟式などにかかる費用や、工事中に発生した近隣トラブルの解決に使用する費用も含まれます。諸費用は、建設費用の0.5~1割くらいが目安です。

アパート建設費用を抑えるには?

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確実に費用を安くするためには、アパートの形状をシンプルにすることや、設備等のスペックを落とす必要があります。さらにアパート1戸の床面積を40平方メートル以上にすると、不動産取得税の減額が可能です。

続いて、アパート建設費用を抑えるための対策を具体的に紹介します。

シンプルな形状にする

アパートの建設費用は、正方形や長方形などシンプルな形のほうが安く抑えられます。敷地の形に合わせて曲線を含む建物や中庭を囲んだコの字型など、建物の形状を複雑にするほど建設費用が高額になります。

また2階建てアパートの場合は、上下階の床面積がほぼ同じになる総2階タイプは低コストです。通し柱の利用などによって材料を少なくできるため、上下階が不ぞろいなアパートと比べると建設費用が安くなります。

木造にする

建物の構造の中で、最も費用相場が安いのは木造です。材料費が安く工期が短いため、建設費用を抑えるのに効果的です。ただし木造は2~3階の低層アパートに限られます。

また、アパート建設後の維持・管理費など将来的な出費も考えると、耐久性や耐震性の高い構造を選んだほうが安くなることもあります。そのためアパートの構造は、長期的な視野で慎重に選ぶことがおすすめです。

設備等のスペックを低めにする

電気や空調、キッチンや浴室など、設備のグレードを低めにすると建設費用が抑えられます。ただし入居者ターゲットを意識することが重要です。例えば、1Rや1Kの単身世帯を想定しているアパートの場合は、浴室の追い炊き機能は通常必要ありません。

またアパートの内外装は、グレードの高いものを使用することで、オプション料金が発生する場合があります。低コストに抑えるためには、なるべくスタンダードなものを選ぶのがおすすめです。特にクロスや床材は退去時に張替えが発生するため、グレードの高いものを使用すると初期費用もランニングコストも高くなります

40平米以上の間取りで造る

アパート1戸あたりの床面積を40平方メートル以上にすると、税金が減額されて建設費用を抑えられます。アパートを建てると、不動産取得税の支払いが必要です。この税金は都道府県に支払う地方税で、アパートを所有したときに一度だけ課税されます。税額の計算方法は次の通りです。

不動産取得税=固定資産税評価額×4%

ただしこの税金には、1戸あたりの固定資産税評価額から1,200万円が控除される軽減措置があり、適用するためには次の条件を満たす必要があります。

  • 新築アパートであること
  • 1戸あたりの床面積が40平方メートル以上、240平方メートル以下であること

この軽減措置は、アパートを取得した日から60日以内に都道府県税事務所に申告して行われます。期日を過ぎると控除を受けられない可能性があるため注意しましょう。

“参考:東京都主税局Q12 新築住宅を取得したときに不動産取得税の軽減制度はありますか。

アパート建設の際に用意すべき自己資金の目安

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アパート建設ではローンを利用することがほとんどですが、自己資金が多いほどアパートローンの負担を少なくできます。続いて、アパート建設にあたり自己資金はいくら用意すべきか見ていきましょう。

物件価格の1~3割以上が理想

アパートを建てる際の自己資金は、物件価格の1~3割以上が目安で、残りの費用は通常アパートローンを利用します。物件価格や所有者の年収によっても異なりますが、一般的に金融機関のアパートローンの融資限度額は、家賃収入も含めて収入の10~30倍です。

ただし、自己資金が物件価格の1割に満たない場合には、ローンの審査基準が高くなります。場合によっては滞納リスクが高いとして、ローン審査に通らないかもしれません。

自己資金は多めにしておいたほうが安心

自己資金は、できるだけ多めに準備することがおすすめです。ローンの返済期間を短くして月々の負担を軽くすることができます

また自己資金を多めに用意すると、金融機関は返済が滞る可能性が低いと判断し、審査にも通りやすくなります。さらに金融機関の信頼を得ることで、金利交渉が有利に進められる可能性もあるでしょう。

不動産投資に必要な自己資金については、こちらの記事を参考にしてください。

https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/24792

アパート建設会社の選び方

アパート建設の依頼先は、建てようと考えているアパートの構造に慣れていて、得意としている会社を選びましょう。さらに建設予定地域の需要にぴったりのプランを選ぶことも重要です。

建てたいアパートの構造を得意としているかどうかで選ぶ

アパート建設会社を選ぶ際は、建てようとしているアパートの構造を得意としている会社を選ぶことがおすすめです。設計プランを相談するときも経験を参考に適切なアドバイスがもらえます

各建設会社には、実績を重ねて作り慣れている構造や間取り・デザインがあります。実際に物件を見学したり、ウェブサイトで施工実績を確認したりして、どのようなアパートを多く建設しているのかを調べることが重要です。

地域の需要を満たした物件をプランニングしてくれるかどうか

アパート建設を依頼する会社が建設予定地域の需要に詳しく、最適なプランを提供できるかを見極める必要があります。アパートは、入居者の希望にマッチするものを建てなければなりません。その地域の環境に対応していて、需要を満たす間取りや内装・設備であることが重要です。

また、できるだけ複数の会社からプランを取り寄せ、比較することもおすすめです。複数社のプランを比べることで、建設費用の相場が分かりやすくなります。さらに建設会社に他社のプランと比べていることを伝えると、建設費用が相場よりも高額になることを避けることが可能です。

アパート建設でおすすめの会社について詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。

https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/20715

まとめ

アパートの坪単価は構造・工法によって異なり、広くて頑丈な建物にするほど建設費用が高額になります。建設費用を抑えるためには建物の形状をシンプルにしたり、設備や内外装のスペックを低くしたりすることがおすすめです。さらに、1戸の床面積が40平方メートル以上になるように間取りを組むと、税金を減額できます。

またアパートの建設会社を選ぶ際は、複数の会社からプランや見積もりを取り寄せ、吟味することが重要です。より良いプランを選べるほか、相場がつかみやすくなります。さらに建設会社と交渉することで、有利に進められる場合もあるでしょう。

アパートは建設後の経営も大切で、空室状況が少なく安定した経営が長く続けられるようにしなければなりません。そのためにも、地域環境に合わせた入居者の需要に合う最適なアパートを建設しましょう。

アパート経営については、次の記事でも取り扱っていますのでぜひご覧ください。

https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/12143

https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/13418

https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/12168


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